企業を悩ませる不確実性の中身
分かっているけど進まないレガシー移行 成功した企業に共通した「2つの準備」
ROUTE06は、基幹システムの企画・刷新に関わる328人を対象にモダナイゼーション実施に関する調査を実施した。その結果、モダナイゼーションに成功した企業には共通点があることが分かった。
レガシーシステムの刷新を、計画段階から先へ進められない企業は少なくないようだ。
ITコンサルティング企業ROUTE06は、基幹システムの企画・刷新に関わる部署の管理職、SIerやITベンダーで要件定義に関わる担当者を対象に、基幹システムのモダナイゼーションに関する実態調査を実施した。
その結果、多くの企業がレガシーシステムの刷新を「必要」だと確信していながら、約半数が構想段階で足踏みしている実態が明らかになった。一方、モダナイゼーションに成功している企業にはある共通点があった
成功した企業が共通して取り組んだ施策は?
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調査は2026年3月、基幹システムの企画・刷新に関わる部署の管理職、SIerやITベンダーで要件定義に関わる担当者328人を対象に実施したものだ。
企業がモダナイゼーションを進められない背景には、技術的な難易度そのものよりも、「影響範囲が分からない」「コストを見積もれない」「品質を保証できるか不安」といった“判断材料の不足”があるようだ。
「モダナイゼーションが必要なレガシーシステムがあるか」を事業会社所属の165人に尋ねた質問では、「以前はあったが、全て刷新済み」が26.7%、「現在もあり、モダナイゼーションが一部完了」が46.7%で、合計73.4%がモダナイゼーションに取り組んでいることが分かった。
一方で、「モダナイゼーションが必要だが未実施」と回答した企業は17.0%に上った。必要性を認識しながらも着手できていない企業が約2割存在する計算だ。
さらに、レガシーシステムが残る企業の進捗状況を見ると、事業会社の46.7%、SIerやITベンダーが支援する顧客企業では54.7%が「構想段階」と回答した。多くの企業が計画策定までは進むものの、実行フェーズへ移行できていない実態が浮かび上がった。
最大の敵は「技術」ではなく「不確実性」
モダナイゼーションを進められない企業はどのような壁にぶつかっているのか。「モダナイゼーションが本格的に進んでいない理由」を、モダナイゼーションを進められていない事業会社の52人に尋ねたところ、「投資対効果が不明確」(51.9%)、「移行期間やコストを見積もれない」(50.0%)、「業務停止リスクの懸念」(48.1%)が上位を占めた。
顧客企業のモダナイゼーションが進んでいないSIerやITベンダー(n=61人)では、「業務停止リスクが懸念される」(63.9%)、「言語変換の精度や品質への不安」(52.5%)、「改修や移行による他システムへの影響範囲が見えない」(50.8%)が主な理由だった。
つまり、多くの企業は「刷新したくない」のではなく、「何が起きるか分からないため決断できない」状況にあるといえる。
モダナイゼーションが完了した、またはモダナイゼーションが必要な事業会社の149人に「モダナイゼーションを実施する際に重視する点」を聞いたところ、「業務を止めずに移行できること」(59.1%)、「影響範囲・コスト・期間を事前に可視化できること」(57.7%)、「変換後のコード品質が保証されること」(47.7%)と続き、移行の安全性と事前の見通しを重視する傾向が示された。つまり、企業が求めているのは新しい技術そのものではなく、「安心して意思決定できる材料」だという構図が見えてくる。
モダナイゼーション完了後も3割が課題を抱える
調査からは、モダナイゼーションの難しさも見えてきた。
モダナイゼーションを実施した事業会社の121人にモダナイゼーションの達成度を尋ねた結果、「おおむね達成できた」と回答したのは70.2%だった。一方31.4%は「一部は達成できたが課題が残った」と答えている。
課題としては、以下が挙がった。
- システムが複雑すぎて計画を縮小した
- レガシーシステムを改修できる人材がおらずプロジェクトが停滞した
- 想定以上のコストが発生し、要員の確保に手間取った
- 機能の優先順位を社内で統一できず、機能の要不要の判断に時間がかかった
- 単なる言語変換に終わった
- レガシーシステムを完全廃止できず、新システムと併存することになった
成功企業に共通する「2つの準備」
SIerやITベンダーの163人にモダナイゼーションに成功している企業の特徴を尋ねたところ、「明確なロードマップ策定」(55.8%)が最も多く、「影響範囲の事前可視化」(55.2%)、「小規模から段階的に実施」(38.7%)と続いた。つまり、「ロードマップを策定」し、「影響範囲を可視化」しながら段階的にプロジェクトを推進している企業ほど成功しやすい傾向が見られた。
ROUTE06は調査結果について、「モダナイゼーションの最大の課題は技術的難易度ではなく、影響範囲やコスト、品質が事前に見えないことだ」と分析する。
情シスやITマネジメント層への示唆は?
本調査結果からは、モダナイゼーションを阻んでいるのは、技術力ではなく「判断材料の不足」であることが分かった。
ROUTE06の取締役 松本 均氏は、「今後は『モダナイゼーションを実施するかどうか』ではなく、『いかに安全に進められるか』が問われるフェーズに入っている」と指摘する。
さらに、「AI技術を活用して既存システムの構造や影響範囲、コストを事前に可視化・データ化することが、経営陣の投資判断を促し、プロジェクトを前進させる鍵となる」と締めくくっている。
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