目指すは「人とAIのハイブリッド運用」
情シスの73.0%がヘルプデスク負荷増を実感 人員増強を見限りAIと外部委託へ
ヘルプデスク業務における人手不足で情報システム部門の負荷が増加する一方、生成AIの活用にも運用面に課題が残る。キヤノンMJの調査結果から、人とAIを融合させたヘルプデスク運用の重要性を解き明かす。
ITインフラの運用管理を担う情報システム部門の負担が限界に達しつつある。キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)が実施した調査によれば、中堅企業の情報システム担当者の73.0%が、社内ヘルプデスク業務の負荷が3年前の2023年よりも増加していると実感している。課題の筆頭は「人員不足による1人当たりの負担増」(55.1%)であり、担当者の80.2%が現在の体制に課題を感じている。
人員増強による解決が難航する中、企業はツールの導入や外部委託へと活路を見いだしている。調査対象企業の約9割がヘルプデスク業務の一部または全部を外部に委託している実態が明らかになった。
AIツールの活用など自動化への期待が高まる一方で、なぜ企業は「人」によるサポートを求めているのか。
本調査は、2026年6月12日から同年6月15日にかけて、従業員数300人から1000人未満の企業に勤務する情報システム部門のヘルプデスク担当者111人を対象にした定点調査だ。
ヘルプデスク業務の効率化に向けて、企業がどのような手段を講じているかを見ると、「問い合わせ対応支援ツールなどの導入」(47.7%)や「チャットbotの活用」(45.0%)が上位を占める。一方、「人員を増強する」という回答は28.8%にとどまり、2025年の調査結果から15.2ポイント低下した。企業は人員増による解決を見限り、技術を活用した仕組み化へと明確にかじを切っている。
とりわけ注目されるのが、生成AIの活用状況だ。自社開発や外部サービスを含め、生成AIを活用・検討している企業においては、88.5%が「本格的に活用し定着している」あるいは「一部業務で本格活用を開始している」という段階に達している。活用の主な領域は、「FAQ自動作成」(62.9%)や「チャットbotでの自動対応」(54.3%)など、業務の標準化や初期対応の無人化を可能にする仕組みに集中している。
生成AIの活用が急速に本格化する一方で、まだ導入初期のフェーズにとどまる企業においては、運用上のリアルな壁に直面している。
今回の調査で「実証実験(PoC)や検討段階」にとどまっていると答えた企業は、2025年調査の21社からわずか4社へと激減した。本格活用(88.5%)の波に取り残された格好となるこの少数企業(4社)に対し、生成AI活用の課題を尋ねたところ、「どこから導入するのがよいか分からない」(75.0%)、「スタッフへの教育が負担」(50.0%)、「業務の知見が整っておらず、AIの精度が上がらない」(50.0%)といった回答が並んだ。
特筆点は、2025年調査で過半数(57.1%)を占めて最多だった「どのサービスがよいか分からない」との回答が、今回は0.0%(0社)になったことだ。この動きからも、検討中の企業でさえ、技術の選定という「入り口の悩み」は解消されつつあり、自社の業務にいかに適合させ、運用するという「実践的な壁」へと関心がシフトしている傾向がうかがえる。
こうした変化に合わせてヘルプデスク業務を外部のBPO事業者に委託する動きが加速しているが、そこで求められる条件も変化している。外部委託を実施している、または検討している企業が重視する条件の首位は、「自動化と有人対応を組み合わせたハイブリッド運用ができること」(58.7%)だった。次いで「IT資産管理やアカウント管理などヘルプデスク以外の業務も任せられること」(50.0%)が続く。
単なる人手の代替として業務を丸投げするのではなく、定型的な問い合わせはAIツールやチャットbotによる自動化で効率よく処理し、複雑なトラブルには専門知識を持った担当者が対応するという、多層的な仕組みの構築が求められているのだ。また、外部委託によって得たい成果として「セキュリティ体制の強化」が51.9%(2025年比16.9ポイント増)で最多となった。クラウド化に伴い、安全なITインフラの維持がヘルプデスクの重要な使命となっている。
社内ヘルプデスクは、単なるトラブル処理の窓口から、従業員の生産性を高め、安全な業務環境を維持するための中核機能へと変わりつつある。人員増強による課題解決が困難な現代において、人と最新技術を適切に組み合わせた運用体制を構築することは急務だ。今後、情報システム部門はツールの導入にとどまらず、業務プロセス全体を再設計する必要がある。AI技術と人間の専門性を融合させ、継続的に進化し続ける支援体制を共に築き上げる外部パートナーとの連携は、そうしたプロセス再設計を後押しする一手だと言える。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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