データ統制と自動化のジレンマ
三菱UFJ eスマート証券が肥大化するオンプレDBを刷新
複数のオンプレミス製品で構成されたDBは運用負荷を増大させる。放置すればシステム改善への投資を阻むリスクがある。データ統制とクラウドサービスの利点を両立させる判断基準を、三菱UFJ eスマート証券の事例を基に解説する。
国内でオンライン証券事業を展開し、約210万口座(2026年7月末時点)を抱える三菱UFJ eスマート証券。同社のオンライン取引サービスを支えているのが、株式発注システム「RAIDEN」をはじめとする証券基幹システムだ。
金融機関の基幹システムの運用で、高い処理性能や可用性の確保は最優先事項だ。この点に関して、三菱UFJ eスマート証券はデータベースの運用に大きな課題を抱えていた。複数のオンプレミス製品を組み合わせたインフラは保守や運用の負荷が大きく、ストレージ固有の機能に依存したバックアップやデータの複製といった作業が極めて複雑化していた。
複雑化したデータベースの運用を見直す際、一般的にはパブリッククラウドへの完全移行が有力な選択肢となる。しかし三菱UFJ eスマート証券は、金融機関に求められる厳格なデータ統制を保つために、データを自社のデータセンター内に保持し続ける必要があった。同社が選んだシステム構成とは。
データ統制の壁を越える「次期インフラの選定基準」
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Oracle製品の活用
三菱UFJ eスマート証券は、株式発注システム「RAIDEN」と、勘定、売買審査のデータベースの次期インフラに、「Oracle Exadata Cloud@Customer」上の「Oracle Exadata Database Service」を採用した。約210万口座を持つオンライン証券事業を支えるインフラで、2027年3月までに移行を終える計画だ。2026年10月23日、日本オラクルとアシストが発表した。
RAIDENは、国内株式の現物と信用取引、先物とオプション取引の注文の取り次ぎ、注文、約定と取引履歴の管理に加え、金銭と有価証券の残高、信用取引の保証金、先物取引の証拠金などを管理する株式発注システムだ。2014年に稼働を開始し、オンライン取引サービスを支える中核システムの一つとして運用してきた。同社は、2026年7月末時点で約210万口座を持つ。
データベースインフラの更改に当たり、複数のオンプレミス製品で構成されたインフラの保守と運用の負荷、ストレージ固有の機能に依存した、バックアップとデータ複製の複雑な運用を、見直す必要があった。証券取引を支える基幹システムとして、高い処理性能、拡張性、可用性を確保しながら、金融機関に求められるデータ統制を保つことも、不可欠だった。データを自社のデータセンター内に保持しながら、クラウドサービスの自動化とライフサイクル管理を使える点を評価し、Oracle Exadata Cloud@Customerを選んだ。既存の「Oracle AI Database」のワークロードとの親和性が高く、本番環境と準本番環境に使う。BCP環境には、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)上の「Oracle Base Database Service」を使って、BCP環境を含む、一貫したデータベース構成にする。
2026年5月にOracle Exadata Cloud@Customerが納品され、データベースの構築とテストを段階的に進め、2027年3月に、対象のデータベースを切り替える計画だ。基礎検討の段階では、Oracle Customer Success Servicesのコンサルタントが、PoCと方式設計を、技術面から支援した。本番稼働後は、クラウドサービスの自動化とライフサイクル管理でパッチ適用を含む運用を標準化、効率化して、IT部門がデータベースや業務システムの改善に注力できる体制を整える。「Oracle Real Application Testing」で、パッチ適用などの変更の影響を本番適用前に検証し、安定した運用の維持を図る。
三菱UFJ eスマート証券 システム技術部長の高橋佑太氏は、RAIDENをはじめとする証券基幹システムには、性能と高い可用性、統制が不可欠だと話す。Oracle Exadata Cloud@Customerで、「データを自社データセンター内に保持しながらクラウドの運用性を取り入れ」、将来にわたって安定したサービスを支えるインフラを築く考えだ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「三菱UFJ eスマート証券、基幹システムのDBをExadataに移行 2027年3月完了へ」(2026年10月26日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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