クラウド移行とAI連携による最適解
サービスデスク「通話5分に作業15分」を改善 NRIが築いた“後処理ゼロ”体制
人材不足が深刻化する中、サービスデスクの膨大な「後処理」の手間は現場を疲弊させ、業務拡大の足かせになる。金融水準の厳格な要件をクリアし、「後処理ほぼゼロ」を実現した野村総研のシステム移行術に迫る。
社内や顧客からの問い合わせを処理するサービスデスクにおいて、「通話そのもの」よりも担当者を苦しめているものがある。通話後の記録や整理といった「後処理」(アフターコールワーク)だ。
5分程度の通話に対して、内容の要約やシステムへの入力確認に15分を要する――。こうした付随作業が現場の生産性を著しく低下させ、人材不足が叫ばれる中で事業拡大の致命的なボトルネックになっている。
大手証券会社や流通会社のシステム開発・運用を担う野村総合研究所のサービスデスクも、同様の課題に直面していた。同社は24時間365日体制で社会インフラに関わるシステムを支えており、既存のオンプレミスシステム構成の保守期限を契機に、将来を見据えたクラウド化の検討を開始した。しかし、そこには金融業界特有の極めて厳格な要件が立ちはだかっていた。
システムを絶対に止めてはならないという高い「可用性」と、FISC(金融情報システムセンター)が定める基準への適合をはじめとする強固な「セキュリティ」。野村総合研究所が次期システムに求めたチェックリストは約180項目に及んだ。
180項目に及ぶ要件の壁を越えて実現した「後処理ほぼゼロ」体制
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サポートサービスの自動化
野村総合研究所は、サービスデスクシステムとしてリンクのクラウド型コールセンターシステム「BIZTEL」を採用した。2026年5月25日にリンクが発表した。自社ツールおよびAIツールと連携させ、通話応対から記録作業までの一連の業務プロセスの見直しを進めている。
野村総合研究所は、証券会社や流通業などのシステムを対象に、24時間365日体制でサービスデスクを運用している。社会インフラに関わるシステムの安定運用を支える役割を担っており、システムのインフラには高い可用性とセキュリティが求められる。今回、サービスデスクを運用する既存システムの保守期限を契機として、将来の拡張性や運用負荷の低減を見据えたクラウド化の検討を進めた。
新システムの選定では、安定稼働を前提とした可用性やセキュリティに加え、運用の効率化やAI・ツールの活用のしやすさも評価項目とした。約180項目に及ぶ要件を基に比較検討をし、要件を満たすシステムとしてBIZTELを採用した。
導入後は、野村総合研究所が自社開発したサービスデスクツール「Senju Service Manager」とBIZTELを連携させ、音声認識AIおよび生成AIを組み合わせた運用を構築した(図)。通話内容はリアルタイムでテキスト化され、その内容を基に要約が生成され、応対履歴として自動登録される仕組みを実現した。これによって、従来はオペレーターが手作業で実行していた記録作業の一部をシステムで処理する形に変更した。
従来の運用では、通話後に内容を整理し、システムに入力する作業が発生していた。例えば5分程度の通話に対して、記録や確認に約15分を要するケースがあり、業務全体の負荷となっていた。新システムではこれらの工程の見直しを進め、処理時間の短縮を図っている。通話中にメモを取る必要が減ったことで、オペレーターが顧客対応に集中しやすい環境を整備した。
クラウド化によって、インフラの保守や運用管理に関する負担も分散された。これまで自社で担っていた運用の一部をベンダーに委ねることで、システム管理業務の見直しにもつなげている。
今後は、AIツールとの連携による自動化の範囲拡大や運用改善を進めながら、サービスデスク業務全体の最適化を図る。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「野村総研、AI連携でサービスデスク業務を自動化」(2026年5月26日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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