開発スピードと安全のジレンマ
AI内製化を爆速で進めたテレビ朝日 追い付かないセキュリティをどう立て直したか
テレビ朝日は、AI技術を活用した内製開発の加速に伴う「Google Cloud」のセキュリティ課題を解決するため、「Cloudbase」を導入した。専任の担当者を置かず、少人数のチームで運用体制を構築した方法とは。
テレビ朝日は2025年7月に「AI戦略部」を設立し、「業務効率化」「コンテンツ開発」「ビジネス開発」の3つの軸で全社的なAI技術活用と内製開発を推進している。AI技術の活用によって、従来3~6カ月かかっていた開発が1~2週間で実用レベルに達するなど、開発サイクルが劇的に加速した。一方で、これまで外部ベンダーに任せていたセキュリティ対策やシステムの可用性を自前で管理する必要が生じたことで、新たな課題に直面していた。
次々と新しいサービスが生まれる中、従来実施していた年1回の脆弱(ぜいじゃく)性診断では開発スピードに追い付けなかった。限られた人数で、変化するクラウドサービスの設定を手作業で管理することは現実的ではなく、人力では管理し切れない状況に陥っていた。
この課題を解消するため、テレビ朝日はクラウドセキュリティツール「Cloudbase」を導入した。「Google Cloud」の設定を常時監視し、設定ミスや脆弱性をリアルタイムに把握できるシステム構成を実現している。
専任のセキュリティ担当者が不在の中、テレビ朝日はどのようにして継続的かつ安全なクラウド運用体制を確立したのか。
開発の加速が生んだセキュリティ管理の限界
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開発速度と安全性を両立する
2024年1月に発足したAI推進チームを前身とするAI戦略部は、テレビ朝日社内のAI技術に関する取り組みを一手に引き受ける横断組織だ。コンテンツ制作、社内業務の効率化、データ活用、ガイドラインの策定など、幅広い領域においてGoogle CloudでAI技術を用いたサービスを内製している。
AI戦略部にはコンピュータサイエンスの専門的なバックグラウンドを持たないメンバーも在籍しているが、AI技術の支援を受けることでアプリケーションの部分的な内製化が可能になった。こうした背景から、企画や検証の段階ではインフラを詳細に設計するよりも、現場で実際に動くものを素早く形にして検証することが優先されていた。次々と新たな開発案件が寄せられるため、不要なソースコードの整理に十分な時間を割くことが難しくなり、Google Cloudの設定が十分に検討されないまま放置される事例が見受けられた。
AI戦略部が開発するシステムは、大規模なシステムが少数稼働するものではない。小さなソフトウェアが幾つも存在し、それらが日々構築と破棄を繰り返す。そのため、大規模なシステム構成を前提としたセキュリティツールは機能過多になりがちだった。Cloudbaseは、テレビ朝日の事業規模に適合した過不足のない仕組みとして評価された。
特に、Google Cloudのサービス群を網羅し、ストレージや仮想マシンといったリソースが増減した際に追加の監視設定が不要な点が、開発サイクルの早い現場の要件に合致していた。導入前の数カ月間にわたるトライアルにおいて、Cloudbase社の技術サポート体制も本番採用を後押しした。初期設定時の画面共有を通じた手順確認や、エラー発生時の即時対処といった支援が、専任のセキュリティ担当者が不在の組織において利点になった。
チーム全員で取り組む運用体制の構築
AI戦略部には、クラウドのセキュリティを専門に管理する担当者が存在しない。そのため、Google Cloudにアクセスできるメンバー全員がCloudbaseを利用できる状態にし、システムからのアラートを基にチーム内でリスクを確認し合う運用を確立している。
リスクが検出された際は、システム上で担当者を割り当てて対応を進める。全てのリスクを逐一修正するのではなく、即時対応が必要なものや深刻度の高いリスクを優先して処置する。これによって、開発のスピードを維持しつつ、少人数でも継続的にクラウドのシステム構成を見守る体制を実現した。
専門知識がなくてもリスクの所在や対処方法が日本語で直感的に分かる画面設計は、現場の負担軽減に寄与している。開発メンバー自身がシステムの指摘を通じて修正箇所を即座に把握できるため、新たな脆弱性に関する知識の習得や、チーム全体のセキュリティ意識の底上げにもつながっている。見落としていたリスクを自動で通知してくれる仕組みは、日々の開発業務に安心感をもたらしている。
経営層への説明責任と今後の展望
システムの導入は、現場の運用改善にとどまらず、経営層に対する報告業務においても効果を発揮している。経営層からセキュリティ状況に関する懸念が示された際、Cloudbaseのダッシュボードを提示することで、客観的なデータに基づいた説明が可能になった。どのようなリスクが存在し、どのように対応しているかを根拠を持って報告できるようになったことで、企業としての説明責任を果たす材料を得た点が評価されている。
テレビ朝日は2026年7月時点で、リスクの検出と管理を中心にCloudbaseを活用している。今後は、利用されていない仮想マシンなどのコンピューティングリソースの整理や費用の最適化、システム運用の効率化といった領域への適用拡大も視野に入れている。セキュリティを確保しつつクラウド活用を成熟させていくためのツールとして、監視範囲の拡張も含めたさらなる活用を検討する構えだ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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