価格は一般的なWAN最適化製品の1/10~1/20
1000ドルを切るWAN最適化装置「nano|engine」は市場を変えるか?
IpanemaのWAN最適化装置「nano|engine」は、「支社向け」とはいえ競合製品の10分の1~20分の1に当たる1000ドル以下という価格を実現し、市場にインパクトを与えている。これは低価格化の始まりなのか?
WAN最適化技術の導入率は、景気低迷下でも着実に上昇している。だが、コストがネックとなり、企業はWAN最適化装置を全ての支社に配備するには至っていない。ベンダーは、WAN最適化の説得力あるROI計算を基に、1万ドルの装置であれば1年で元が取れるという説明図を企業に提示するだろうが、こうしたマシンを多数導入すると、設備投資コストがかさむことになる。仏Ipanema Technologiesは、1000ドルを切る支社向けマシン「nano|engine」ファミリーにより、こうしたコスト課題に新たな方法で挑戦している。
「WAN最適化製品は、価格のせいで限定的にしか市場に普及していない。一般に、機器の購入コストが支社当たりで最低2500~3500ドルに達する場合、導入を正当化できる台数や場所は限られる。このコストが1000ドルを下回れば状況は大きく違ってくる」と、米Gartner Researchの副社長、ジョー・スコルパ氏は指摘した。
nano|engineとは
Ipanema Technologiesのnano|engineは、WAN最適化コントローラー(WOC:WAN Optimization Controller)の製品ファミリー。最初のモデルである「nano|2」と「nano|5」が2011年10月に発売されている。nano|2とnano|5は小規模オフィスのニーズに合わせて設計されており、それぞれユーザー数が最大20人、50人の支社をターゲットとしている。ローエンドのnano|2の価格が595ドル、より強力なnano|5が995ドルだ。
Ipanemaは、nano|2とnano|5の機能を経路選択、QoS(サービス品質)、監視、可視化に絞っている。だが、これらの機器では、最大3種類のネットワーク接続を作成できる。IpanemaのAutonomic Networking System(ANS:自律的ネットワーキングシステム)技術を利用して、nano|engineファミリーの機器は(同社の他の全製品ファミリーのように)、使用可能な最適な接続を動的に選択し、ネットワークパケットを送信する。
そのおかげで、企業はnano|engine製品を、準備やスタッフが不足しがちな支社で非常に必要とされるディザスタリカバリソリューションとして活用できる。ディザスタリカバリの専門家ポール・カーバン氏は、支社の方が本社よりも通信が途絶する可能性が大きいと説明する。ネットワーク状態を予防的に監視するオンサイトの監視機器や経験豊富な担当者が足りない、あるいは欠けていることが多いからだ。このため、“自律的な”機器は、一般的な支社の状況を改善することになる。
「われわれの製品は、個々のエンドユーザーそれぞれのフローを制御できるため、パフォーマンスを保証できる」とIpanema TechnologiesのCTO(最高技術責任者)、ティエリー・グレノット氏は語った。
価格のインパクト
名前の通り、nano|engine製品は似た機能を持つWAN最適化装置よりもはるかに小さい。ネオングリーンのnano|2とnano|5は手のひらに収まる。だが、このように小型サイズであるだけに、負荷の高い一部のWAN最適化機能、例えば、圧縮などの機能は備えていない。大幅な遅延が発生しやすいグローバルに分散したWANを使っている企業では、より本格的なWOCが必要だろう。
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「nano|engineの最初のモデルは、機能が限られている。遅延を軽減する必要がある企業には向かない。その機能は皆無だからだ」(スコルパ氏)
だが、前述したようにnano|engineは、経路選択、可視化、QoS、制御といった機能を備えている。ほとんどのWOC(大手の米Riverbed製アプライアンスなども含む)はこれらを兼ね備えていない。スコルパ氏によると、nano|engineは、拠点が地理的にあまり分散しておらず(例えば、欧州のみ、アジアのみで事業を展開しており)、遅延があまり問題になっていない企業にはうってつけだという。
結局のところ、小型のWOCを選択するかどうかという問題は、安価なWAN最適化装置をどう評価するかという問題だ。スコルパ氏は、「大きなインパクトがあるのは、nano|engineのサイズではなく価格だ」と語った。
「われわれは、サイズを小さくできるおかげで価格を大幅に安く設定できている。nano|engineの価格は一般的なWOCの10分の1~20分の1にすぎない」と、Ipanemaのグレノット氏は語った。
Ipanema Technologiesは2012年、より強力なモデルをnano|engineファミリーに追加する予定だ。新モデルでは、サポートする支社のエンドユーザー数を最大100人まで増やすことを目指している。
「nano|engineは競合製品より断然安い。新モデルで一層の機能向上が約束されているのであれば、それが登場したら注目を呼ぶはずだ。われわれは、WAN最適化ベンダーが市場を広げるには、今後6カ月間にこうした低価格帯に対応せざるを得なくなると考えている。Ipanemaがこのセグメントにいち早く進出したのは、非常に賢明だと思う」(スコルパ氏)
本稿執筆時点(2011年10月17日時点)では、nano|engineファミリーはサービスプロバイダーとVARを通じて販売されている。
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