AIが学生の質問に答える
近畿大学が導入した「バーチャルTA」とは? 多忙な教員やTAを楽に
近畿大学は、JIECの問い合わせ返答サービス「manaBrain」を使ったバーチャルティーチングアシスタント(V-TA)を導入した。講師とTAの業務負担軽減や、時間を問わない受講生の疑問解決に効果が見られたという。
近畿大学は、講義を補佐するティーチングアシスタント(TA)の業務をチャットbotで自動化する「バーチャルティーチングアシスタント」(V-TA)を2018年9月に導入した。学生などの受講生からの質問に対して自動で回答する仕組みを設けることで、教員などの講師とTAの業務負担を削減した。受講生は講義で生じた疑問を講義時間外でもV-TAに問い合わせできるようになり、受講生の疑問やニーズを収集して今後の講義にフィードバックする仕組みを実現できたという。
「その場で解決」することの難しさと重要性
近畿大学は、理工学部情報学科情報メディアコースの講義「情報メディアプロジェクトII」で、企業から講師を招き実習形式の授業を実施している。その中で2017年にシステムインテグレーター(SI)のJIECが講師を担当した講義において、同じ内容の質問が受講生から同時に挙がる場合が多かったという。その結果、講師やTAの回答が追い付かないことに加え、受講生の疑問をその場で解決できない問題が生じた。実習形式の講義において疑問の即時解決は、受講生の講義内容に対する理解度向上と、授業の円滑な進行のために重要といえる。これらの課題を受け、近畿大学はV-TAの導入に踏み切った。
質問の半数以上に自動で回答
V-TAのベースはJIECが開発した自動問い合わせ返答サービス「manaBrain」で、そのAIエンジンはIBMの「IBM Watson」だ。受講生は講義用Webサイトとメッセージアプリケーション「LINE」を通じて質問でき、講義時間外でもシステムを利用できる。V-TAが回答を生成できない場合はその旨を表示する。
約100人の学生が受講する情報メディアプロジェクトIIの講義で、2018年9月から2019年1月までV-TAを運用したところ、受講生から1589件の質問を得たという(図)。質問のうち約25%は講義時間外に送信されたものだった。講義内容に関する質問は813件で、そのうちV-TAが自動で返答できたのは約57%だった。このことから、V-TAは講師とTAが受講生からの質問に応答するのにかける労力の削減に一定の効果があったといえる。V-TAが回答できなかった質問については講師やTAが個別に回答した。近畿大学はプロジェクトを通じて収集した質問データを、講義資料の改善やV-TAの学習データとして活用した。
課題は回答率の向上だ。受講生ごとに理解度が異なり、質問のレベルが多岐にわたることが、回答率を上げる際のハードルとなっている。JIECは、「講義内容は毎回変わるので、単年度の運用では前回の講義で得た質問および回答情報をフィードバックとして活用することが難しかったことも原因となった」とみている。近畿大学とJIECは引き続き取り組みを続け、こうした課題の解消を進めていく考えだ。
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