Amazonが主導する出版業界の変革【後編】
「Kindle Unlimited」の限界と可能性 ヒットメーカーは編集者からAmazonに?
書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited」は幾つかのハードルを抱えるものの、Amazon.comにさまざまなメリットをもたらす。出版業界の慣行を変え得る、そのメリットとは。
Amazon.comは、出版業界に幾つもの変革を及ぼした。代表的なサービスには電子書籍サービス「Kindle」や買収したオーディオブックサービス「Audible」がある。中でも業界に大きな影響を与えたのは恐らく、電子書籍を読み放題で提供するサブスクリプションサービス「Kindle Unlimited」だ。一方でKindle Unlimitedは、幾つかの問題により、その成長が抑制されている可能性がある。
「Kindle Unlimited」の限界と可能性
併せて読みたいお薦め記事
Amazon関連の注目トピック
- AmazonにWalmart――コロナ禍の“勝ち組小売り”は何をした? Accentureに聞く
- 「Amazon S3」内のデータが設定ミスで公開状態に 漏えいしたデータは?
- 「Alexa」「Googleアシスタント」「Siri」の録音は人が聞いていた
『TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス』の注目記事
メディアとコンテンツのコンサルティング会社GiantSteps Media Technology Strategiesの創設者であるビル・ローゼンブラット氏によると、Kindle Unlimitedの成長を抑制する要因の一つは著作権の問題だ。音楽の著作権とは異なり、自費出版の著作権は通常個々の作家が保有するため、交渉が困難になる。米国における主要な出版社5社は「現時点ではAmazon.com主導の計画への参加に関心がない」とローゼンブラット氏は付け加える。
もう一つの理由は、読み放題モデルの特性だ。ニューヨークを拠点とする出版コンサルタントのリチャード・ナッシュ氏によると、「Spotify」をはじめとする聞き放題の音楽ストリーミングサービスは、数分ごとに新しい曲を購入する手間をなくすという明らかな利点がある。書籍においては、1人当たりの年間購入数はわずかだ。「1年に10~15冊しか購入しない書籍では、利点はそれほど明確ではない」(ナッシュ氏)
それでもKindle Unlimitedは、さまざまなメリットをAmazon.comにもたらしている。売上高の安定化はメリットの一つだが、それだけではない。
Amazon.comは、Kindle Unlimitedに書籍を登録する出版社や自費出版の著者に対して、読者に読まれたページ数に応じて報酬を支払う。そのためKindle Unlimitedは、読者がどの書籍をどれだけ読んでいるかが分かるように設計されていると考えられる。これによりAmazon.comは、読者が何をどのように読むかについて洞察を得ることができる。読者に関するこのような膨大で詳細なデータ群は、これまで存在しなかった。
読者の行動に関するデータは、出版業界に大きな影響をもたらす可能性がある。こうしたデータやデータに基づく洞察は、これまで出版社や編集者が担っていた、注目作品や優れた作品を探す目利きの役割を代替し得るからだ。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
ソフトウェア開発生産性向上に取り組む企業は4割 調査で学ぶ「停滞」の正体
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
5
なぜMicrosoft製品か Copilotで問い合わせ6割減の企業事例
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
マンガで解説:KSK2稼働で何が変わる? 税務調査の高度化に備えるデータ管理
-
8
無料の「Apple Business」で十分? 情シスが陥りがちなポイント
-
9
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
10
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
6
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
7
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー