BroadcomのVMware買収で高まる不安【前編】
Broadcom配下で「脱VMware」が止まらない?
これまでに買収した企業の事業を売りさばいてきたBroadcomが、VMwareを買収した。VMwareの製品やサービスを利用する企業にとって、今回の買収は事業にまで影響を及ぼす変化を生む可能性があるという。その影響とは。
半導体ベンダーBroadcomは2023年11月、VMwareの買収を完了させた。VMware製品の今後を見通すに当たり、まずBroadcomの“前歴”に触れておこう。2018年11月、Broadcomは189億ドルを投じてソフトウェアベンダーCA Technologiesを買収した。買収完了のわずか数日後、Broadcomは同社の従業員およそ2000人を犠牲にして事業を「最適化」した。その直後の2019年1月、CA Technologiesのアプリケーションセキュリティテストツール「Veracode」を、プライベートエクイティファンド(複数の投資家から集めた資金を未上場企業に投資するファンド)に売却した。
「VMware離れ」は加速するのか?
2019年11月にBroadcomはセキュリティ企業Symantecのエンタープライズセキュリティ事業を107億ドルで買収し、同じことを繰り返した。その後Symantecのサイバーセキュリティサービス事業がAccentureに売却されたのは、半年後の2020年4月のことだ。
こうした経緯から、Broadcomが610億ドルを投じたVMwareの買収が完了した今、VMwareのパートナー企業や顧客企業は強い懸念を示している。懸念の理由は、買収した企業が買収された企業の製品やサービスを分割して売り払うことだけではない。それらの製品やサービスの料金を値上げしながらも、それに見合う機能強化も価値の向上もないのが常だからだ。
調査会社Forrester Researchの上級アナリスト、トレイシー・ウー氏は次のように指摘する。「CA TechnologiesとSymantecの買収後、Broadcomは自社製品やサービスを値上げしてサポートを減らし、イノベーションへの投資をやめた。VMwareの顧客は出口戦略を立てておいた方が賢明だ」
BroadcomがVMwareの買収を発表して以来、英Computer Weeklyにはアジア太平洋や日本の主要組織からさまざまな問い合わせがあった。VMware製品による仮想マシンを使った複雑なシステムを保持する大企業、特に銀行や保険会社、大手製造業者、重要インフラベンダーといった企業は、買収による変化を見越して、自らの事業に及ぶリスクの回避に目を向けている。
Forrester Researchによると、VMware製品やサービスの変化によるリスクは「大河の一滴」に過ぎない。Forrester Researchの主席アナリストであるミシェル・ペリーノ氏とアンビーン・チャブラ氏は、2024年の予測において、「VMwareの法人顧客の20%はVMware製品やサービスから脱出する」との見解を示す。
ペリーノ氏とチャブラ氏は、「BroadcomによるVMwareの買収は、ただでさえ苦境にあるVMwareの顧客層に影を落としている」と指摘する。買収によってVMwareの顧客企業は、大幅な値上げやサポートの質の低下、不要になりがちなソフトウェアのサブスクリプション契約を強制されるといった影響を受けることになるという。「こうした状況に企業は疲れ果てている」と両氏は語る。
次回は、先行きが不透明なVMwareの顧客企業が検討すべきアプローチを紹介する。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
2
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
5
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
6
パナソニックが国内製造26拠点のERPを「SAP S/4HANA」に統一 アドオン7割削減
-
7
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
8
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
9
守るべきは「開発者のフロー状態」 AIによる生産性改善の6施策
-
10
「RAGの利用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
2
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
6
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
9
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー