BroadcomはVMwareの買収を通して、マルチクラウドで利用可能な製品の開発に力を入れる姿勢だ。この買収と、その後のVMwareがクラウド市場にもたらす影響とは。
半導体ベンダーのBroadcomは、2022年にVMwareの買収を発表した。Broadcomはこの買収を通して、複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」向け製品の開発に注力する意向だ。
クラウド市場は、大規模データセンターを手掛ける一部のクラウドベンダーがほぼ独占している。それより事業規模の小さなベンダーが参入し、競争することは簡単ではない。これはユーザー企業にとっても警戒すべき状況だ。大手クラウドベンダー同士の競争が激しくなるほど、新規参入のハードルは高くなる。BroadcomによるVMware買収は、この問題にどう影響する可能性があるのか。
一部のクラウドベンダーがクラウド市場を独占していることは、ユーザー企業にとってのデメリットを生む。特定の大手クラウドベンダーのサービスや料金体系に依存せざるを得なくなるためだ。大手クラウドベンダーのサービスから、他のインフラに自社のシステムを移行させる難しさを訴えるユーザー企業もある。コストの負担を避けることができないからだ。
ほとんどの場合、コストやリファクタリング(システムの内部構造の変更)の手間を掛けずに、他ベンダーのクラウドサービスにアプリケーションを移行させることはできない。一部のクラウドベンダーが市場を独占することで、ユーザー企業がベンダーロックインの影響を受けるリスクが高まり、他の競合ベンダーにとっては市場競争を阻害する要因になる。これが米国や欧州連合(EU)、英国の規制当局が定期的に大手クラウドベンダーを調査する理由となっている。
BroadcomはVMwareの買収によって、ユーザー企業がアプリケーションをさまざまなインフラ間で容易に移動できる製品開発に注力するという計画を立てている。リソースを自社専有にする「プライベートクラウド」、リソースを他ユーザーと共有する「パブリッククラウド」、オンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する「ハイブリッドクラウド」などが、そのインフラの対象となる。そのためのコストや人的リソースをVMwareが単独で用意するのではなく、Broadcomが知見や予算を提供することで、VMwareはクラウド市場における競争力を高められる可能性がある。
ユーザー企業は大手クラウドベンダーによるベンダーロックインという課題を解消し、事業のニーズに応じて複数のクラウドインフラでアプリケーションを稼働させられるようにする方法を求めている。Broadcomによる買収後にVMwareが発表する製品やサービスは、マルチクラウドの市場をより健全な方向に導く可能性がある。
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