BroadcomによるVMwareの買収で、欧州委員会をはじめとした規制当局はVMware製品の相互運用性が失われることを懸念している。しかしこの懸念は、実態に即していない可能性がある。その理由とは。
BroadcomによるVMware買収に関して、欧州委員会と英国競争市場庁(CMA)が調査に乗り出している。規制当局は、この買収によってVMware製品がBroadcom以外のハードウェア製品で利用できなくなる可能性を懸念している。これに対して調査会社ABI Researchは、BroadcomによるVMwareの買収で、他ベンダーとの相互運用性が失われることを危険視するのは見当違いだと指摘し、その理由を3つ挙げている。
1つ目の理由は、BroadcomとVMwareが策定した目標を達成するためには、VMware製品の特徴である“相互運用性”が重要になることだ。規制当局が懸念するのは、Broadcomが同社のハードウェア製品だけでVMware製品を実行できるようにすることだ。仮にBroadcomがそうした戦略に出た場合、BroadcomによるVMware買収の価値は減じることになる。収益性で見れば、VMwareのソフトウェア製品の方がBroadcomのハードウェア製品よりも高いと考えられる。より収益性の低い製品を売るために、より収益性の高い製品の機能を制限するのは非効率的だ。
2つ目の理由は、Broadcomのビジネスモデルが、さまざまなベンダーのソフトウェアやハードウェアと組み合わせて利用できる製品の提供を中心としていることだ。Broadcomの半導体製品は、複数社のベンダーのハードウェア製品に組み込まれており、それらの製品は互いに競合している。Broadcomはそれらのベンダーに、半導体製品やソフトウェアを中立的な立場で提供している。
3つ目の理由は、競合するハードウェアベンダーの製品でVMwareのソフトウェアを利用できなくすることは、簡単な話ではないことだ。それを実行するには技術的な課題を解消する必要がある。それに加え、VMware製ソフトウェアの相互運用性が下がれば、その影響は複数のハードウェアベンダーに及び、商業的な悪影響がさまざまな面に出る可能性がある。
市場に存在する製品のライフサイクルは異なるため、製品の相互運用性に干渉しようとする試みは一様には進まず、コストが掛かる。そのような試みは、企業の評判を下げるリスクがある。
第5回は、BroadcomによるVMware買収が、ユーザー企業にとっての利点を生む可能性を探る。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...