「HDDはなくなるのか、生き残るのか」が議論されて久しい。結局、どうなのか。東芝デバイス&ストレージの欧州子会社にストレージの動向と、今後も変わらないHDDの強みを聞いた。
ストレージ業界では「HDDの終わりが迫っている」という見方が浮上している。HDDは、今後どうなるのか。
HDDはまだ何年も生き残る――。東芝デバイス&ストレージの子会社Toshiba Electronics Europe(TEE)のストレージ製品事業開発担当シニアマネジャーのライナー・ケーゼ氏はそう語る。その根拠は何か。ケーゼ氏にHDDの可能性を聞いた。
―― 企業はHDDをいつまで使い続けるとみていますか。その理由は何でしょうか。
ケーゼ氏 正確な予測は難しいが、少なくともあと5年以上は存続するとみている。ユーザー企業やクラウドベンダーが保存しなければならないデータは爆発的に増加している。HDDは大容量データを保存するための、経済的な記録媒体だと言える。
HDDの大きな強みは、やはりコストメリットだ。これはHDDが生き残る上での鍵になる。1bit当たりの容量単価ではHDDとSSDの差が縮まってきたのは確かだが、HDDがSSDよりはるかに安価なことに変わりはない。
―― コスト面でHDDが優れている一方で、パフォーマンス面ではSSDが評価される傾向にあります。今後、「HDDに適した用途」は何になるのでしょうか。
ケーゼ氏 パフォーマンスに関して言えば、間違いなくSSDが勝る。パフォーマンスとは具体的に、スループット(データ転送速度)や、IOPS(1秒当たりの入出力操作数)などを指す。
HDDが力を発揮するのは大容量データの保存だ。世界では「ペタバイト」や「ゼタバイト」といった単位が使用されるようになっており、今後もIoT(モノのインターネット)といった技術の普及によって大量のデータが生み出される。これらのデータを分析・活用するためには、まず保存する必要がある。大容量データの保存は、パフォーマンスに優れるSSDよりも、コストを抑制しやすいHDDの方が適している。
大容量データを保存するには、テープという選択肢もある。テープはHDDよりも安価であることが大きな強みだ。ただし、基本的にテープはデータを使用するとき以外はネットワークに接続しないため、データ分析には使いにくい側面がある。分析や活用を考えると、大容量データの保存にはやはりHDDが適する。
―― 今後、HDDはSSDとどのように競争するのでしょうか。
ケーゼ氏 ストレージインタフェースにNVMe(Non-Volatile Memory Express)を使った1つのSSDは、HDDの5〜20倍のパフォーマンスを発揮する。この点でHDDに競争力はない。ただしHDDがターゲットにするのは、大容量データの保存だ。大容量データの保存には何台ものHDDが必要になるので、単一のコンポーネントのパフォーマンスを比較しても意味がないと考えている。
ストレージベンダーは、何台ものHDDを組み合わせて大容量データ用のストレージシステムを構築するノウハウを培ってきた。企業が保有するデータ量が増えるにつれ、こうしたHDDの仕組みはますます重要になる。
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