Google Cloudの調査で明らかに
生成AIで“年間7兆円”削減できる? 英国公共部門の期待と“立ちはだかる壁”
Google Cloudの調査レポートによると、英国公共部門が生成AIツールを活用すると年間380億ポンドのコスト削減が可能という。ただし、生成AIツールを活用するまでには越えなければならない壁がある。
テキストや画像を自動生成する人工知能(AI)技術「生成AI」を公共部門で活用すると、公共サービスの提供を効率化できるだけではなく、コストを削減できる可能性がある。Google Cloudが公開した調査レポートは、英国の公共部門が生成AIを活用すれば、2030年までに年間380億ポンド(約7兆3000億円)のコスト削減が可能だと結論付けた。生成AIツールを使うと具体的に何ができるのか。
生成AIツールの効果と“立ちはだかる壁”
調査は、 Google Cloudが政策コンサルタントPublic Firstに委託し、2024年10月に実施した。生成AIツールの活用によって公共部門の業務がどのように変わるか、英国の公共部門の労働者415人に尋ねた。
Public Firstのパートナー、ジョナサン・デュポン氏によると、書類の作成やデータ入力、会議の調整といった定型的な事務作業を生成AIツールで自動化できるようになると、次のような効果を得られる可能性がある。
- かかりつけ医(GP:General Practitioner)が370万人を追加で診療できる。
- 1人の教師が担当する生徒数を16%少なくできる。
- 教師が各生徒により多くの時間を割くことができ、教育の質が向上する可能性がある。
- 警察官16万人分の労働時間を削減できる。
- 警察官がパトロールや操作といった重要な任務により長い時間をかけることができる。
回答者の声は、生成AIツールが近い将来、事務作業の処理方法に変革をもたらすだけではなく、公共部門の業務プロセスを効率化する可能性があることを示唆している。
回答者からは、価値がある生成AIツールの活用として、書類の作成(81%)、基本的なデータ分析(79%)、議事録や会議メモの作成支援(75%)が挙がった。
一方で、生成AIツールは公共部門の労働力を代替するものではなく、あくまでも補完的な存在であると回答者の56%が答えた。限られた労働力や時間、予算の中で業務を処理するための手段と見なしているためだ。
実際、どの程度の労働者が生成AIツールを業務に活用しているのか。「生成AIツールを大規模に業務に導入している」と答えた回答者は12%にとどまった。47%は「クラウドサービスやソーシャルメディアよりも生成AIツールを導入する方が時間がかかる」と答えた。AI活用が進まない理由としては「セキュリティ面での不安」「法的要件」「生成AIツールを使いこなすスキルの不足」「生成AIツールへの信頼性の欠如」が挙がった。
調査によれば、生成AIツールを活用するための適切なスキルを持っていると答えた回答者は34%にすぎなかった。加えて、55%は「生成AIツールを十分に活用できるようにするためには、構造化されたデータセットにアクセスできることが必要だ」と答えた。
「生成AIツールが効果を発揮するためには、既存のデータセットを安全かつプライバシーを保護した状態で相互にリンクできる状態にすることが必要だ」。報告書はこのように指摘する。そのためには政府主導の取り組みと規制が必要だという。
英国科学・イノベーション・技術省(DSIT)大臣のピーター・カイル氏は調査結果を「生成AIツールが公共部門の業務に革命的な影響を及ぼす証拠だ」と評した。
TechTarget.AIとは
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
TechTarget.AI
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
“アジャイルの壁”に挑むオリックス生命がIBMの開発管理ツールを選んだ理由
-
4
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
5
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
6
ライオンが挑む「守りのIT」脱却:Google Cloudで加速させるデータ駆動型経営
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
-
9
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
10
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー