知ってるつもり? IP電話AtoZ(1)
IP電話とユニファイドコミュニケーションの密なる関係
企業、家庭を問わず広く利用されるIP電話だが、それを支えるIPインフラのソリューションや技術は何か小難しい印象がある。IP電話システムの導入で役立つ、知っておきたいキーワードを紹介していこう。
IP電話にまつわる言葉には特殊ものが多いため、難しいイメージを持っているユーザーも多い。今回から、こうしたIP電話にかかわるキーワードを解説していく。さらに、用語と共に関連した製品の導入、運用、製品選択のトピックを挙げていく予定だ。今回はまず、IT用語、IP電話の関連用語として話題に上ることの多い「ユニファイドコミュニケーション」を取り上げる。
キーワード解説(1) ユニファイドコミュニケーション
ユニファイドコミュニケーション(以下、UC)は、昨今のIP電話事情を考える場合にまず挙がってくる言葉である。従来は電話/留守電、Web会議/ビデオ会議、プレゼンス/チャット、モバイルのツールが個別に存在しており、バラバラに使用されていた。これらのコミュニケーションツールを、名前の通り統合(Unified)して利用するのがUC/コラボレーションだ。もともとはツールごとに個別の専業メーカーが製品を提供していたが、製品間のつながりが重視されるに従って、各メーカーが買収を経ながら製品ラインアップを拡充する形態へと変化してきている。
業務効果
UCを導入することにより、それぞれ個別のツールを利用した場合に比べて業務効率を高めることが可能だ。例えば、電話中に相手と資料の共有をしたい場合がある。その場合は逐一メールで相手に資料を送付してページ番号を確認しながら作業をする必要があり、効率が悪い。そこで通話中にワンクリックして、相手と資料共有をしながら作業すれば時間のロスやコミュニケーションエラーを防げるようになる。このような各UC製品の組み合わせの仕方や使い方によって、業務効率を高めることが可能だ。
業務効果を測るためには、まずは営業部門、製造部門、事務部門などの導入企業に合わせた代表的な働き方に対してUCを適用するとどの程度効率化されるかを見ていく。自社単独でその作業が難しい場合は、アセスメントのサービスが提供されているので、第三者に分析と導入効果を評価してもらうのもよい。
導入と運用
UC導入に関して、全ての製品を一気に導入する必要はない。例えば、電話のみの導入や、チャットやプレゼンスのみの導入も可能だ。もちろん複数の製品を同時に導入すれば、導入効果は大きくなる。
一方、ユーザーから見ると、別メーカーから製品を置き換えた場合には、操作感の変化からストレスを感じることが多い。そのため、ユーザーが導入メリットを感じられるよう、複数の製品を組み合わせて導入し、業務効率を高める工夫が重要となる。
さらに、導入製品が増えるのでそれらを一括して運用するための運用効率化ツールを導入したり、マネージドサービスで運用を外部に出したり、UCaaS(UC as a Service)のようなサービス形態を利用することで、運用負荷を減らせるだろう。
製品選定のポイント
UC製品群を販売するメーカー各社は、製品間の連携を押し出している。製品の選択に際しては、メーカーごとに、ツールをどこまで自社の製品で提供して、どこまでをサードパーティー製品でカバーしているかの確認も重要となる。また、各製品間で連携が実現する範囲についても確認しておきたい。例えば、マイクロソフトやIBMのチャット/プレゼンスシステムと各ベンダーのPBXは連携できるようになっているため、PBX部分は複数の製品から選べる。
また、ライセンスの確認も重要だ。各社共に製品ライセンスを一括購入できる仕組みを用意している。複数製品を導入する場合は、この一括購入のライセンスを選択するとトータルコストを抑えることが可能となる。例えば、シスコシステムズは「Cisco Unified Workspace License」でIP電話/留守電、Web会議、プレゼンス/チャットの各製品ライセンスをパッケージ化して販売している。
| シスコシステムズ | 日本アイ・ビー・エム | マイクロソフト | |
|---|---|---|---|
| プレゼンス/チャット | Cisco Unified Presence/Unified Personal Communicator | Lotus Sametime | Microsoft Lync |
| Web会議 | WebEx | Lotus Sametime | Microsoft Live Meeting |
| 電話、電話連携 | Cisco Unified Communications Manager | Lotus Sametime | Microsoft Lync |
| 留守電 | Cisco Unity Connection | 電話システム使用 | Microsoft Exchange Server |
| ビデオ会議 | Cisco TANDBERG | 電話システム使用 | Microsoft Lync+サードパーティーシステム |
| コールセンター | Cisco Unified Contact Center | 電話システム使用 | サードパーティーシステム |
キーワード解説(2) IP呼制御装置(unPBX/IP-PBX)
IP呼制御装置は、先に取り上げたUCソリューションの核になる場合が多い。IP呼制御装置は、名前の通り企業内の電話機やゲートウェイの呼の制御をIPで行う。一般の家庭内電話にはない追加機能として、転送やピックアップ、音声会議のミキシング機能を提供している。ソフトベースのIP呼制御装置は「unPBX」、ハードベースのものは「IP-PBX」と呼ばれることもある。
業務効果
IP呼制御装置は、旧来のPBX(構内回線交換機)とは違ってGUIで設定変更できるようになっていることがあり、システム運用を内製化すると運用コストの削減が望める。また、配線がイーサネットに一本化されるため、配線コストの削減や、拠点にPBXを置かない場合は機器と管理コストの削減も期待できる。このような環境では、例えば席替えや引越し時にユーザーにはPCと同様に電話機と一緒に移動してもらい、管理者は電話のグルーピングをGUIで変更するだけという運用も可能となる。
導入と運用
IP-PBX/unPBXは従来のPBXと同じ構成での導入も可能だが、IPベースのメリットを生かすために、全国をカバーする1つの大きなPBXとして導入することが可能だ。これにより中央で一括して拠点の電話を管理できるため、各拠点に呼制御装置を置かない運用も可能になる。その際の考慮点としては、WAN回線が切れた場合に簡易的な呼制御を提供する「サバイバル機能」の導入がある。その他、IP上で音声を伝送させるための設計がネットワーク側に必要となってくる。
運用は通常のPBXと同様で、外線の回線管理や電話機の配置、内線番号の管理、ピックアップグループの管理などがある。また、新しくネットワーク上に乗るアプリケーションとなるため、その管理をどの部門が行うのかという点も考慮事項となる。IT部門でやるのか、引き続き総務部門でやるのかで運用主体が変わってくる。総務部門の場合は新しくネットワークの知識を得なければならないし、IT部門の場合はPBXの知識を得なければならない。この点については、各ユーザー企業の社内ルールによって変わるようだ。
製品選定のポイント
まずは、IP-PBX、unPBXいずれにするかが選択のポイントとなる。IP-PBXの場合、同一メーカーであれば旧来の資産が活用できることが多い。unPBXも一部の機器を再利用可能なことはあるが、基本的には置き換えとなる。さらに、将来も含めた想定ユーザー数を何人規模にするかによって選択する製品が異なってくるので注意したい。例えば、unPBXの場合はサーバの機種によってサポート可能な端末数が変化する。
また、電話機をPC上のアプリケーションで操作するCTI(Computer Telephony Integration)連携によって、呼制御のキャパシティーが下がったり、別途CTIサーバが必要になるケースもある。各製品で場所による制約を超えた冗長化機能、仮想化への対応、IP電話端末の取りそろえも考慮事項となるだろう。
| 製品 | シスコシステムズ | マイクロソフト | NEC |
|---|---|---|---|
| 小規模 | Cisco Unified Communications Manager Express | Microsoft Lync | Aspire X |
| 中大規模 | Cisco Unified Communications Manager | Microsoft Lync | UNIVERGE SV 8000 |
| サバイバル機能 | ルータで実現 | SBA(Survival Blanch Appliance)サーバ 例:UX2000(NET社製) |
SR-MGC |
| 管理画面 | Web | GUI | GUI |
荒牧大樹
ネットワンシステムズ 営業推進本部
2001年よりIP電話機構築にかかわる。国内の大手金融や製造系の大規模なUCネットワーク構築において、先端UC技術をいち早く取り入れてきた。メーカー以外の企業のエンジニアとして、UC技術の最高資格である「CCIE Voice」を国内で初めて取得。現在はネットワンシステムズにてUC製品の先端技術サポートを行っている。
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