ネットワーク仮想化に備える(後)
ネットワーク仮想化の導入を妨げるセキュリティ上の課題
ネットワーク仮想化の導入によるメリットは多い。しかし、一部の企業がその点を認識しつつも、ネットワーク仮想化を敬遠していることも事実だ。
前回の「ネットワーク仮想化のために重要な機器のアップグレード戦略」に続き、ネットワーク仮想化の役割を検討し、企業が10Gbps以上の高速LANに移行する際に考えるべき重要なアップグレード戦略を概説する。今回は、ネットワーク仮想化を実現するために必要なインフラ設計のポイントやその導入のネックとなっている課題を紹介する。
ネットワーク仮想化のプランニング
ネットワーク仮想化は、1回導入すれば事足りるものではない。管理者は、将来のアップグレードの影響も考慮する必要がある。10Gbpsのような高速な物理ネットワークや、40Gbpsや100Gbpsイーサネットなどのさらに高速なインフラに移行した場合、それらはネットワーク仮想化をすぐにサポートできるだろう。管理者はネットワーク仮想化技術を検討し、大幅に高速なトラフィックの負荷にソフトウェアレイヤーが耐えられるようにしなければならない(関連記事:仮想インフラに10ギガビットネットワークは必要か?)。「ネットワーク仮想化技術を、仮想化のベースとなる物理ネットワークの速度に対応させる必要がある」と、ITサービス会社の米Evolve Technologiesのデーブ・ソベルCEOは語った。
ソベル氏は、ネットワーク仮想化の導入や物理ネットワークのアップグレードの前に、準備やプランニング、概念実証テストを行うことの重要性を強調する。データセンターアプリケーションとそのネットワークニーズをつぶさに把握することも、ネットワーク仮想化の効果を押し上げるという。「アプリケーションがイーサネットネットワークの使い方を左右するからだ」(同氏)
また、ネットワークモニタリングやキャパシティープランニングの役割を見落としてはならない。高速なネットワーク機器は優れたトラフィックパフォーマンスを提供するが、むやみにVLANが作成されると、帯域がすぐに逼迫してしまう恐れがある。仮想マシン(VM)のスプロール(無秩序な増殖)によってコンピューティングリソースが突然足りなくなるのと同様だ。
ネットワーク仮想化の導入を避ける企業も
ネットワーク仮想化は、企業が他の方法では達成できないようなセキュリティ、サイト間接続、LAN機能の地理的拡張を実現するのに役立つ。しかし、こうしたメリットが期待できるにもかかわらず、一部の企業はネットワーク仮想化を敬遠し、他のソリューションを利用している。
米TechTargetが2011年にIT担当者を対象に行った仮想化に関する調査では、ネットワーク仮想化導入のさまざまな障害が示されている。ネットワーク仮想化の導入を見合わせたIT担当者の32%強が、その理由として社内のノウハウ不足を挙げ、別の30%が予算の制約を挙げている。現在の景気の厳しさを考えると、いずれも分かりやすい理由だ。また、仮想化に対応した適切なネットワークツールが乏しく、管理が大変なことを挙げる回答者もいる。さらに、一部の回答者は、ネットワーク帯域にそもそも制約があることから、現行の物理LAN上では、有効な仮想ネットワークの数や全体的なパフォーマンスが限られるのではないかと懸念している。
一方、データセキュリティはネットワーク仮想化のメリットとされることが多いが、ソベル氏は「ネットワーク仮想化は、ハッキングの潜在的な攻撃対象を増やしてしまう」と指摘する。このため、ネットワーク仮想化レイヤーからハッカーを締め出す適切な構成とパッチ管理が一段と重要になる。ネットワーク仮想化の導入を見合わせた調査回答者のうち、セキュリティを理由に挙げた人は8%程度にとどまる。だが、ネットワーク仮想化のセキュリティが、IT業界にとって重大な問題であることに変わりはない。
いずれにしても肝心なのは、ビジネス課題に最適な技術ソリューションを利用することだ。「VLANがあるからといって、それらを使う必要があるということにはならない。方法がある限り、結果を出す上でより適切で、より有効な、より効率の高いソリューションを構成、設計しなくてはならない」(モリモト氏)
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