通信障害の多発であらためて脚光
【製品動向】仮想化対応や障害分析の強化が進む「ネットワーク管理製品」
ネットワークの安定運用に欠かせないのが、性能監視や構成管理機能を持つ「ネットワーク管理製品」だ。本稿は、ネットワーク管理製品を取り巻く最新トレンドを紹介する。
ネットワークの性能監視や構成管理の効率化に役立つのが「ネットワーク管理製品」である。運用管理製品の市場動向に詳しいIDC Japanの入谷光浩氏は、「仮想化技術の普及などにより、ネットワーク管理製品に注目が集まりつつある」と語る。
本稿は入谷氏の話を基に、ネットワーク管理製品の市場動向や機能強化のトレンドを解説する。
市場動向:通信障害の多発で関心高まる
LANのトラフィックを監視したり、ネットワーク機器や端末の接続構成(トポロジー)を可視化する機能などを持つネットワーク管理製品。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)や日本アイ・ビー・エム、CA Technologies、BMCソフトウェアといった運用管理製品大手の製品に加え、中堅・中小企業の間で導入が進む「Nagios」などのオープンソースソフトウェアなど、製品の顔ぶれは幅広い。
最近はNTTドコモをはじめとする携帯電話事業者の通信障害の多発を受け、障害の早期検知を目的にネットワーク管理製品の重要性を見直す動きがあるという。「ネットワークの障害を完全になくすことは難しいため、仮に障害が発生しても早期に検出して対処することが必要になる。そのために、ネットワーク管理製品は大いに役立つ」
ネットワーク管理製品の機能強化のトレンド
ネットワーク管理製品の機能面に目を向けると、ベンダー各社は管理対象の多様化や分析機能の強化を推し進めている。
トレンド1:物理/仮想環境を統合管理
仮想的なネットワーク機器である仮想スイッチや仮想NICを管理可能にする動きが進んでいる。サーバ仮想化などの仮想化技術の普及によって、複雑化するネットワークを効率的に管理したいというニーズの高まりが背景にある。
仮想スイッチや仮想NICは物理サーバの内部に論理的に存在するため、物理ネットワークのみを対象としたネットワーク管理製品では管理できない。仮想化ソフトの管理機能を使う方法もあるが、物理ネットワークの管理は対象外となる。そのため、「物理/仮想ネットワークを統合管理できるネットワーク管理製品の注目度が高まっている」。
「2009年ごろに、ネットワーク管理製品の置き換え需要が急速に伸びた。その原動力となったのが仮想環境の管理だ」と入谷氏は指摘する。大規模なクラウド環境を構築するデータセンター事業者や大手ユーザー企業を中心に、物理/仮想ネットワークを統合管理できるネットワーク管理製品に置き換える動きが活発化したためだという。
トレンド2:「ビッグデータ」を障害分析に活用
もう1つのトレンドが、ネットワーク機器から収集するログなどの大量データの活用だ。過去数年間のトラフィック監視で得たログを統計的に分析し、将来のトラフィックを予測する機能を備えたネットワーク管理製品を日本HPなどが販売する。
トラフィック予測だけでなく、障害分析にビッグデータを活用する動きもある。EMCジャパンの「EMC Ionix」は、ネットワーク機器などから収集した情報を相関分析することで、障害の根本原因と影響を割り出す。厳密にはネットワーク管理製品ではないが、NECのシステム性能監視製品「WebSAM Invariant Analyzer」も同様の機能を持つ。
今後の方向性:アプリケーション視点での機能強化が進む
ネットワーク管理製品の今後の方向性として、ネットワーク経由で利用するアプリケーションのレスポンスに影響を与えないようにする機能強化が進むと入谷氏は見る。「ネットワーク経由で利用するアプリケーションが増加するのに伴い、アプリケーション視点での管理がネットワーク管理に求められるようになってきた」
日本HPが2012年4月、同社のネットワーク管理ツール「HP Intelligent Management Center」のアドオンとして発表した「Virtual Application Networks」は、そうした動きを反映した製品の1つといえる。アプリケーションの種類別に最適なネットワーク機器の設定をまとめた「テンプレート」を用意。管理者はテンプレートを指定することで、ネットワーク機器に設定を自動適用できる。こうした製品は今後も相次いで登場するだろう。
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