SSL VPN製品の選択で考慮すべき4つの基準【後編】
SSL VPN製品選びについてはわがままを言いたい、失敗しない見極め方とは
SSL VPN製品を評価する上で重要な基準は4つ。前回に引き続き残る2つの基準「同時接続ユーザーのサポート」と「ネットワークアクセス制御」について見ていこう。
単体型アプライアンスや仮想アプライアンスの形で提供されるSSL VPN(SSL[Secure Sockets Layer]技術を使用したVPN[Virtual Private Network]ソリューション)製品は、機能自体には大きな差がない。異なるのは、機能がどのように実装されているのかという部分。自社のニーズに合った製品を見つけるには4つの基準がある。前回の記事(似たり寄ったりのSSL VPN製品、自社のニーズに合った製品を見つけるには?)ではそのうち「VPNクライアントソフトウェアの選択肢」と「VPNクライアントに対応するOS」について解説した。今回は残る2つの評価基準について見ていこう。
評価基準3:同時接続ユーザーのサポート
市販のSSL VPN製品は、同時接続ユーザーの数に応じてライセンスされる。大抵のベンダーは数種類のライセンスモデルを用意しており、最も小規模な製品では10ないし15人の同時接続ユーザーをサポートするが、サービス事業者を対象としたものでは1万人の同時接続ユーザーをサポートする。両者の中間的な製品として数百人から数千人の同時接続ユーザーを対象としたライセンスがある。利用人数に制限のないクラウドベースの「仮想アプライアンス」を提供しているベンダーもある。
この評価基準には落とし穴もある。SSL VPN製品が、自社の最大ニーズに対応できるのかという問題を見落としがちなのだ。一般的な例としては、ディザスタリカバリの計画策定が挙げられる。自然災害などで従業員が出社できない事態が発生した場合、これらの従業員は全員、SSL VPNを通じて同時にテレワーク(在宅勤務など社外で働く労働形態)になるかもしれない。SSL VPNの利用が一時的に(数時間あるいは数日間)急増した後、再び通常のレベルに戻る可能性もある。季節的な変動による通常の増加に対処できるようにアプライアンスの規模を適切に見積もることが重要なのは当然としても、異常事態への対処をどうするかという問題も考慮しなければならない。
幸いにも、ライセンスの一時的拡大を可能にしているSSL VPN製品ベンダーもある。これは、追加の同時接続ユーザー用に一時的ライセンスを取得するという方法だ。この種のライセンスはすぐに購入して適用できるので、災害などの事態に伴う予想外のユーザーの急増に対処するには理想的だといえる。だが注意しなければならないのは、アプライアンスが対応できるユーザー数には限界があり、ユーザー数が増加すればパフォーマンスが大幅に低下する可能性があるということだ。
とはいえ、緊急時には低速なアクセスであっても、アクセスできないよりはましだ。
評価基準4:ネットワークアクセス制御
ネットワークアクセス制御機能のサポートは、SSL VPN製品でかなり一般的になってきた。ネットワークアクセス制御とは、クライアント端末が社内のセキュリティポリシーに準拠しているかを確認することを意味する。具体的には、最新のウイルス対策ソフトウェアがデスクトップPCやノートPCにインストールされて動作しているかを確認したり、モバイル端末がJailbreak(脱獄)やroot化されていないことを確認したりといったことだ。各種のSSL VPN製品で異なる可能性があるのは、ネットワークアクセス制御機能がサポートするOSの種類や、各製品がセキュリティポリシーをどの程度まで確認するのかといった部分だ。
ネットワークアクセス制御の一例として、クライアントサイドのデジタル証明書の認証がある。多くの企業では社内の端末にデジタル証明書を発行し、各デバイスが自社の管理下にあることを認証できるようにしている。ネットワークアクセス制御機能を利用すれば、証明書が認証された正規の端末であることを確認した上で社内のリソースへのアクセスを許可することが可能になるかもしれない。
企業はエンタープライズ向けSSL VPN製品を購入する前に、各社の評価用の機器を使ってネットワークアクセス制御機能のテストを行い、各SSL VPN製品が社内のセキュリティポリシーをどの程度までチェックおよび適用できるのかを判断することが望ましい。
各社独自の検証が必要
SSL VPN製品はこの数年で成熟度を高め、どの製品も同じような機能を備えるようになってきた。しかし機能の細かい部分は製品によって異なるので注意が必要だ。
SSL VPN製品では各企業独自のニーズと要件があるため、あらゆる企業に当てはまる単一の評価基準のようなものは存在しない。本記事では「クライアントソフトウェアの選択肢」「対応するOS」「同時接続ユーザーのサポート」「ネットワークアクセス制御」という4つの基準について2回にわたって説明したが、これらはSSL VPN製品を正しく評価するための出発点にすぎない。
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