ARの取り組みが本格化
「Pokemon GO」のヒットで変わったこと、変わらないこと 企業の対応は?(1/2 ページ)
「Pokemon GO」により、ARアプリケーションが企業のモバイル戦略の一部になろうとしている。実際、ビジネスではどのように使われているのだろうか。
かつてゲームやエンターテインメントの領域に限られていた拡張現実(AR)が、多様な業界にも浸透しつつある。AR技術のコストが下がり、2016年夏にNianticとポケモンが共同開発したスマートフォンゲーム「Pokemon GO」がリリースされたことで、ARがいつ法人市場に登場するかという推測に火が付いた。業界で一致した見方として、ARが主流となり、ARアプリケーションが企業のモバイル戦略の一角を占める時代が到来している。
多くの最高情報責任者(CIO)は既にその構図を描いている。IDCのアナリスト、トム・メネリ氏によると、ARソフトウェアを試用中または試用する予定がある組織は50%を超える。「ARは多大な関心を集め、大きな成功を収める。クライアントPCと同じように、企業内のビジネスプロセスを変化させるだろう」と同氏は言う。IDCの予測によると、ARおよび仮想現実市場の売り上げは2016年の520億ドルから、2020年には1620億ドル超へと増える見通しだ。
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「もはや目新しさはなくなったが、まだARは成熟していない。この技術は初期段階にある。今できることは、7~10年後にできるようになることとは大きく違う」。Gartnerのアナリスト、タン・フイ・グエン氏はそう解説する。
ARアプリケーションは実世界で見ているものを、保存されたデータや画像、映像と結び付ける。ARアプリケーションはPokemon GOが実際に訪れた場所の画像にモンスターを重ねるように、ユーザーの目に、実生活の光景に保存された情報が重ねて見せる。一方、仮想現実(VR)はユーザーの視界を覆うヘッドセットやマスクを使い、コンピュータで生成した画像を丸ごと現実世界に置き換える。
ARアプリケーションによる生産性の向上
Pokemon GOで拡張現実を認識したというユーザーも多いかもしれないが、多くの組織は既に、ARアプリケーションに力を入れ、生産性を大幅に向上させている。
「Pokemon GOはARを簡単なものに見せているが、現実はそうではない」と語るのは、Index AR Solutionsの副社長兼最高業務執行責任者(COO)デクスター・リリー氏。同社は2011年にHuntington Ingalls Industries(HII)の子会社Newport News Shipbuilding(NNS)で始まったAR研究で成長した。リリー氏は2012年からこの分野に携わり、NNSの支援で2015年に同技術を商用化した「Index AR」の立ち上げにかかわった。
「われわれはARのやり方を習得した業界とプロセスの専門家集団だ」と同氏は自負する。
PTCのARプラットフォーム「Vuforia AR」で開発されたアプリケーションは、建設中の船の部品を支え、完成すると不要になる「仮設鉄鋼」を識別して撤去する作業に役立つ。かつて仮設鉄鋼を正確に識別して撤去するのは時間のかかる作業だった。作業員は膨大な量の印刷図面を繰り返し参照する必要があり、間違いがあればコストがかさむ。Appleの「iPad」向けIndex ARアプリケーションは、船体の仮設鉄鋼がある部分は画面上で緑色に、常設鉄鋼の部分は紫色に表示される。「ARアプリケーションのおかげで、1週間ではなくわずか90分でこの作業が済む」とリリー氏は話す。
こうした点検アプリケーションは作業員の両手がふさがってしまいがちだ。だがiPadをスタンドに載せれば、ハンズフリーで造船の作業ができるとリリー氏は指摘した。ヘッドセットを使えばもちろんハンズフリーを実現できるが、リリー氏の話では、まだ同氏のアプリケーションに適さないという。ヘッドセットは重すぎて暑くなり、繊細すぎて拡張利用にはコストが高くつく。「しかしそれもあと6カ月~1年半で変わるだろう」と同氏は予想する。
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