Webブラウザ方式には弱点も
AWSのDaaSが対応、Webブラウザで自分のアプリやデスクトップにアクセス可能に
仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」の新機能「Web Access」を利用すれば、ユーザーは任意のPCからWebブラウザを通じてクラウド上のデスクトップとアプリケーションにアクセスできる。
Amazon Web Services社(以下、Amazon)の仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」によってユーザーは、従来の専用クライアントアプリケーションに加えて、Webブラウザ経由でもアプリケーションとデスクトップにアクセスできるようになった。だが競合企業のDaaSと比べると見劣りする機能もある。
新機能の「Amazon WorkSpaces Web Access」を利用すれば、PC上のWebブラウザがクラウドベースの仮想アプリケーション/仮想デスクトップのクライアントになる。これにより、従業員が社内のリソースにアクセスする手段の選択肢が増える。だがAmazon WorkSpacesの競合サービスである「VMware Horizon Air」と「Citrix Cloud」は、既にWebブラウザ経由のアクセス機能を提供しており、モバイル端末とWebブラウザのサポートに関してもAmazonは両サービスに後れを取っている。
Amazon WorkSpaces Web Accessは、「Windows」「Mac」および「Linux」搭載PCで利用できるが、モバイル端末には対応していない。またサポートするWebブラウザは「Google Chrome」と「Mozilla Firefox」だけだ。
ある公益企業でITディレクターを務めるマット・コシュト氏は「これらのWebブラウザを使えない多くのユーザー、あるいは使用を許可されていないユーザーにとって、この制約は大きな障害になるだろう」と指摘する。
一方、VMwareとCitrix SystemsのDaaSは、Chrome、Firefox、「Safari」「Microsoft Edge」「Internet Explorer」をサポートしており、Windows、「macOS」「iOS」および「Android」「Chrome」で動作する。
Webブラウザ方式の弱点
Amazon WorkSpaces Web Accessは、ユーザーがAWS上の仮想デスクトップ/仮想アプリケーションにアクセスするためのURLをユーザーに提供する。IT部門がユーザーのアカウントを設定した後、ユーザーはAmazon WorkSpacesポータルにアクセスし、ユーザー名とパスワードを入力する。ユーザーは何もインストールせず、PCには何も保存しない。AWSが仮想デスクトップ/仮想アプリケーションをホスティングするので、IT部門にとっては管理と保守の負担が軽減する。
だがWebブラウザ経由の仮想デスクトップはパフォーマンスの低下を招く恐れがある。VDI(仮想デスクトップインフラ)を使用する場合とは異なり、端末のCPUパワーを利用しないからだ。
「従来のVDIはクライアント側のコンピューティングパワーを利用するが、Web環境ではそれができない」と話すのは調査会社IDCのアナリスト、ロバート・ヤング氏だ。「このためパフォーマンスが低下することが多い。HTML5では標準的なVDI環境のような高速性能は得られない」(同氏)
Amazon WorkSpacesは、帯域幅の面でも不利である。
DaaSがさらに柔軟に
Amazon WorkSpaces Web AccessのようなWebブラウザ経由のクライアントを利用すれば、ユーザーはマネージド(管理型)クライアントPCを使わなくても仮想コンテンツにアクセスできる。例えば自宅にある家族のPCからでも図書館に置かれた端末からでもログインすることが可能だ。
「これはアンマネージド(非管理型)デバイスを利用するユーザーにとって朗報だ。プラグインも必要なければ、デバイスへのダウンロードも必要ない」とヤング氏は話す。
最近のエンドユーザーは、「Office 365」などのアプリケーションや、「Slack」「Box」などのツールにWebブラウザ経由でアクセスするのに慣れている。
「ほとんどのユーザーは自分のデバイスを使いたいと思っている。Webブラウザからアプリケーションにアクセスできるのが普通になってきた。今では皆がこの方式に慣れている」(ヤング氏)
ZK Researchの創業者で主席アナリストのズース・ケラバラ氏によると、在宅勤務社員などのリモートワーカーや、コンサルタントなどの嘱託従業員やパートタイム従業員にとってはAmazon WorkSpacesのメリットは大きい」と話す。
「誰にでもメリットがあるわけではないが、こうした就業形態のユーザーには大きな価値がある」(同氏)
またAWSは2016年11月末に、「Windows 10」デスクトップを含めた新しいライセンスバンドルのセットをリリースした。これはクラウドでホスティングしたWindows 10デスクトップをIT部門が「Amazon Workspaces Management Console」を通じて起動できるというもの。「Windows 10 Workspaces」はまだWeb Accessには対応していないが、全てのクライアントアプリケーションに対応している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「恥を知るべきだ」 AIデータセンター反対運動を招いた事業者の秘密主義
-
4
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
私も“AIエージェント開発者”に? 裾野を広げる「Agent Bricks」とは
-
7
パスワードはなぜ死んだか 情シスが今すぐ始めるパスキー移行の現実解
-
8
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
9
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
10
リモート入社時研修が労使双方に与える苦悩 大量退職を避けるには?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー