「RSA Conference 2017」基調講演レポート
「協調型セキュリティ」とは何か、なぜ必要なのか
RSA Securityのズルフィカー・ラムザン最高技術責任者(CTO)は「RSA Conference 2017」の基調講演で、協調型セキュリティに関する判断が及ぼす影響について強調した。
「RSA Conference 2017」のオープニング基調講演は「広範囲にわたる影響をもたらすのはサイバー攻撃だけではない。設計から実装に至る各段階における協調型セキュリティに関する判断も将来に広範な影響を与える」と企業に注意を促す内容だった。
RSA Securityのズルフィカー・ラムザン最高技術責任者(CTO)は「ビジネス主導型セキュリティ」という流行語を用いたが、同氏が基調講演で特に強調したのは「協力」「協調型セキュリティ」「設計段階でのセキュリティ」というテーマだ。
「自然界の真実はわれわれにとっても真実だ。行動と判断は波及効果を生み、その結果はわれわれの生活に深く影響する。こうした波及効果がもたらす混乱は、途方もないチャレンジと素晴らしいチャンスをもたらす。異なる分野を分け隔てる境界線を引いてはならない。異なる分野を結び付ける線を引くのだ。私の経験から言えば、今日のセキュリティプロフェッショナルは、セキュリティ技術とビジネス目標を結び付ける線も引かなければならない」とラムザン氏は語った
日々の小さな判断は「下流に巨大な影響」をもたらす可能性があるという。同氏は潜在的なリスクとして、自動運転車の一斉ハッキングや公共インフラへのサイバー攻撃がもたらす社会の混乱、さらには民主党全国委員会のコンピュータへのハッキングが米大統領選挙に与えたかもしれない影響などを挙げた。
「この攻撃が米大統領選挙の流れを変えたのかどうかは分からない。だがこの攻撃がその後の論争に影響したのは確かだ。この攻撃の波及効果は民主主義の基礎を揺るがした。これは、サイバー攻撃が起きた当初の時点だけに問題が限定されないことを示している。最大の問題は広範囲にわたる混乱が起きることだ」とラムザン氏は述べた
ラムザン氏は、サイバー攻撃を2011年の東日本大震災のような自然災害に例えた。この震災は発生当初に大きな被害をもたらしただけでなく、福島の原発事故によるその後の影響も広範囲に及んだ。
ラムザン氏によると、今後目指すべき方向は協調型セキュリティだという。これは、プログラマーやポリシー策定者、チーム責任者、経営者などあらゆる立場の人が、全体的なセキュリティデザインに対する自身の重要性を理解することだ。
協調と個人の責任に関するこうした考え方は、同氏に続いて基調講演を行ったMicrosoftのブラッド・スミス プレジデント兼最高法務責任者(CLO)およびIntel Securityのクリストファー・ヤング上席副社長兼ゼネラルマネジャーの発言にも表れていた。
ヤング氏は1992年に開催されたバルセロナオリンピックの米国男子バスケットボールチーム「Dream Team」を引き合いに出し、個々の選手がそれぞれの役割を果たすことで全体として優れたチームを作り出したと述べた。「互いに協力し、賢く働くことが真の改革につながるのだ」とヤング氏は語る。
ラズマン氏は、セキュリティはさらに良くなるという期待を表明した。「イノベーションは新たな攻撃を招くが、われわれは人間の英知という強力な武器を持って戦っていることを忘れてはならない」(ラズマン氏)
ラズマン氏は協調型セキュリティという考え方を強くアピールすべく、Dell Technologiesの創業者であるマイケル・デル最高経営責任者(CEO)を壇上に招いてRSAC 2017の聴衆を驚かせた。
デル氏は自身の経験に基づき、「CEOというのは、クロスサイトスクリプティングやマルウェアインジェクションだけを心配しているわけではない。ビジネスリスクも心配なのだ。これはCEOにとって、まさにビジネスの問題であり、彼らはどうすれば自社の環境をセキュアにできるのかを知りたいのだ」と語った。さらに同氏は、「IoT」(モノのインターネット)の爆発的普及が全く新たなビジネスチャンスと同時にセキュリティのリスクも生み出したと説明した。「ITはITという枠を超えて『BT』、すなわちビジネステクノロジーになりつつある」(デル氏)というわけだ。
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