「協調型セキュリティ」とは何か、なぜ必要なのか「RSA Conference 2017」基調講演レポート

RSA Securityのズルフィカー・ラムザン最高技術責任者(CTO)は「RSA Conference 2017」の基調講演で、協調型セキュリティに関する判断が及ぼす影響について強調した。

2017年02月22日 15時00分 公開
[Michael HellerTechTarget]

 「RSA Conference 2017」のオープニング基調講演は「広範囲にわたる影響をもたらすのはサイバー攻撃だけではない。設計から実装に至る各段階における協調型セキュリティに関する判断も将来に広範な影響を与える」と企業に注意を促す内容だった。

「RSA Conference 2017」に登壇するRSA Securityのズルフィカー・ラムザン最高技術責任者(CTO)《クリックで拡大》

 RSA Securityのズルフィカー・ラムザン最高技術責任者(CTO)は「ビジネス主導型セキュリティ」という流行語を用いたが、同氏が基調講演で特に強調したのは「協力」「協調型セキュリティ」「設計段階でのセキュリティ」というテーマだ。

 「自然界の真実はわれわれにとっても真実だ。行動と判断は波及効果を生み、その結果はわれわれの生活に深く影響する。こうした波及効果がもたらす混乱は、途方もないチャレンジと素晴らしいチャンスをもたらす。異なる分野を分け隔てる境界線を引いてはならない。異なる分野を結び付ける線を引くのだ。私の経験から言えば、今日のセキュリティプロフェッショナルは、セキュリティ技術とビジネス目標を結び付ける線も引かなければならない」とラムザン氏は語った

 日々の小さな判断は「下流に巨大な影響」をもたらす可能性があるという。同氏は潜在的なリスクとして、自動運転車の一斉ハッキングや公共インフラへのサイバー攻撃がもたらす社会の混乱、さらには民主党全国委員会のコンピュータへのハッキングが米大統領選挙に与えたかもしれない影響などを挙げた。

 「この攻撃が米大統領選挙の流れを変えたのかどうかは分からない。だがこの攻撃がその後の論争に影響したのは確かだ。この攻撃の波及効果は民主主義の基礎を揺るがした。これは、サイバー攻撃が起きた当初の時点だけに問題が限定されないことを示している。最大の問題は広範囲にわたる混乱が起きることだ」とラムザン氏は述べた

 ラムザン氏は、サイバー攻撃を2011年の東日本大震災のような自然災害に例えた。この震災は発生当初に大きな被害をもたらしただけでなく、福島の原発事故によるその後の影響も広範囲に及んだ。

 ラムザン氏によると、今後目指すべき方向は協調型セキュリティだという。これは、プログラマーやポリシー策定者、チーム責任者、経営者などあらゆる立場の人が、全体的なセキュリティデザインに対する自身の重要性を理解することだ。

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