Gartnerのアナリストが提言
AIプロジェクトの難易度を図表で理解、企業が考えるべきその優先度とは(1/2 ページ)
Gartnerのバーン・エリオット氏がAIへのアプローチとしてCIOに推奨するやり方は、AIプロジェクトを投資ポートフォリオのように扱い、ハイリスクとローリスクの複数のプロジェクトを同時に進めるというものだ。
エンタープライズAI(人工知能)プロジェクトを立ち上げるには目的とユースケースが不可欠だが、これに加え現実を十分に認識することも重要になる。こう語るのは、Gartnerのアナリスト、バーン・エリオット氏だ。
どのようなAIプロジェクトでも、CIOは以下のことを行う必要がある。
- 投資に見合う利益を得るのに必要な基盤テクノロジーを緻密に計画する
- データの品質を評価し、機能モデルを生成できるほどクリーンかどうかを判断する
- AIプロジェクトを立ち上げるのに必要な技術スキルが組織に備わっているかどうか判断する
これが全てではない。AIプロジェクトを早急に進める準備が整っていないのであれば、CIOは金融アドバイザーのように思考する必要があるとエリオット氏は提案する。AIからメリットを得るには、CIOは1つのAIプロジェクトに全てを懸けてはいけない。複数のプロジェクトに投資するのが望ましい。ローリスクローリターンのプロジェクトとハイリスクハイリターンのプロジェクトを同時進行する必要がある。
全てのAIプロジェクトが同じ価値で作成されるわけではない。仮想アシスタントを使ってカスタマーサービスをサポートするなど、段階的に品質を向上させるプロジェクトもある。こうしたAIアプリケーションは競合他社との差別化をもたらすわけではないが、AIプロジェクトの着手には適している。エリオット氏は2017年5月にGartnerが公開した、企業にAIを導入するためのオンラインセミナーでそう語っている。
一方、より戦略的な性質を持ち、企業が競争上の優位性を求めるAIプロジェクトもある。エリオット氏によると、こうしたプロジェクトには「企業がアクセスできるデータ」や「運営特有のデータ」がかかわることが多いという。こうした戦略的AIプロジェクトの例には、治療を強化するために医療機関が導入する対話型患者アシスタントなどがある。こうしたプロジェクトは段階的に品質を上げていくAIプロジェクトに比べて多くの時間、スキル、実験を必要とする。
AIの難易度を示すバリューチェーンとは
エリオット氏は、AIプロジェクトの難易度を目に見える形にする方法の1つとしてGartnerの「AIバリューチェーン」を紹介する。これは、AIプロジェクトの目的を「複雑性」「必要な専門知識」「プロジェクト例」「テクノロジー」別に分類した図表になっている。
このバリューチェーンには、項目の1つとして「コアAIリサーチ(Core AI Research)」というカテゴリーがある。コアAIリサーチは、データサイエンスと機械学習の専門知識を必要とし、研究機関が実施するのが一般的だ。また、Salesforce.comの「Einstein」やMicrosoftの「Microsoft Office」などのエンタープライズアプリケーションに埋め込まれるパッケージAIソリューションというカテゴリーもある。
この2つの間のカテゴリーには、ソリューション開発(Solution Development)がある。エリオット氏によれば、ソリューション開発にはテクノロジーに関する幅広い専門知識と大量のリソースが必要になるという。ソリューション開発には、複雑性が異なる2つの種類がある。そのうち複雑性の高いソリューション開発を通常特徴付けるのが「(機械に視覚を与える)コンピュータビジョンなど、何らかのアルゴリズムの使い方を確かめるためにGoogleやMicrosoftなどのAPIを活用する大企業」だ。
一方、複雑性の低いソリューション開発は、AIアプリケーションプラットフォームを利用する。このプラットフォームは「ドラッグアンドドロップ」環境を提供して、エンタープライズアーキテクトが(言語を理解してユーザーのタスク完了をサポートする)チャットbotや仮想アシスタントなどを統合できるようにする。「今、最も活気付いているのは、企業開発者が独自にソリューションを構築できるようにするためのプラットフォーム市場だ」とエリオット氏は話す。
同氏によると、AIバリューチェーンの図表を左から右へと移動するにつれ、プロジェクトを順調にスタートさせて目的を実現する際のリスクや時間、コスト、必要なスキルが少なくなる。同時に、戦略的差別化を図る可能性も小さくなる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
2
世界のデータセンター容量は5カ国に69%集中、電力消費「5%の壁」が招くものとは?
-
3
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
4
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
8
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
9
AIをデータ保管場所の近くに置くと安全で経済的 それでも残る“破滅的リスク”
-
10
テレワークやBYODでリスクが拡大、デバイスの多様化を弱点としない管理方法とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー