メリットは離職防止だけではない
オペレーターの在宅勤務でコールセンターのグリーン化を推進
近年、コールセンターインフラのベンダーは、オペレーターの在宅勤務のメリットとして環境保護を説くようになっている。
コールセンターのオペレーターを在宅勤務にする目的といえばこれまでは、従業員の満足度向上や離職防止といった要因が基本だった。しかし近年、コールセンターインフラのベンダーは、もう1つのメリットとして環境保護を説くようになっている。
もちろん、ガソリン価格が高騰する中で、ガソリンと電力の節約はかなりの説得力を持つ。
「ベンダーは盛んに環境のことを口にするが、実際のコールセンター担当者と話してみると、結果的にはオペレーター自身の下からの動きが原動力となっていた」。こう語るのは米Yankee Groupのプログラムマネジャー、ケン・ランドライン氏。「1年半ほど前に実施した調査で、人々の行動が変わる分岐点はガソリン価格1ガロン当たり4ドルであることが分かった」という。
通勤交通費の影響をどこよりも理解している組織があるとすれば、American Automobile Association(AAA)が挙げられるだろう。デラウェア、メリーランド、ワシントンD.C.およびペンシルベニア、バージニア、ニュージャージーの各州の一部に300万人以上の会員を持つAAA Mid Atlanticは最近、内部に「グリーンチーム」を設置した。過去5年にわたり、米Avayaの技術で在宅オペレーターを使っている。
しかしAAA Mid Atlanticにとって、コスト削減と効率性の面で、在宅オペレーター制度は急務だった。同社の在宅オペレーター制度は、5カ所あった会員サービスセンターを、2つの中央拠点にある仮想センター1カ所に統合する手段としてスタートした。従業員のつなぎ留めと業績改善の狙いもあった。
真夜中にレッカー車手配の電話をかけてくる会員は、誰かにすぐ電話に出てほしいと思うものだ。翻って同社にとっては、電話応答までの時間を短縮するためのシフトを組むのが難しくなる。
通信技術ディレクターのヴィッキ・ケニー氏は「われわれの目標は、会員からの電話にもっと早く答えることだった」と説明する。
現在、かかってきた電話の95%は30秒以内につながっている。AAA Mid Atlanticにとっては、どんなハードROIよりもこれが急務だった。
「ROIも測定したが、1000万ドルの投資効果は素晴らしいとはいえなかった。それでもわれわれは満足している」とケニー氏は言う。
現在、在宅オペレーターは約100人いるが、AAA Mid Atlanticは今秋この制度を拡大する。従業員に1週間に1日の在宅勤務または自宅に近い拠点での勤務を選んでもらう予定だが、これは必ずしも環境への配慮が動機となっているわけではない。
ケニー氏は言う。「主に従業員にガソリン代を節約してもらうのが狙いだ。ワークライフバランスの向上は、われわれがやろうとしていることの副産物だ」
在宅勤務にはもちろん、環境的なメリットもある。「ホームショアリング」と呼ぶ制度で在宅オペレーターを使っているコンシェルジェサービスのVIPDeskは最近、通勤交通費に関する論文を発表した。
米Frost & Sullivanの戦略アナリスト、マイケル・ディサレス氏によると、グリーン戦略は至る所に存在するが、ある程度環境への配慮が見られるのはアウトソーシング会社と巨大なコールセンターを持つ会社だという。
ディサレス氏は研究報告に次のように記している。「変化をもたらした動機は何かと尋ねると圧倒的に、グリーン化は単純にやるべきことだからという答えが返ってきた。コールセンターを運営している会社は、企業には株主、従業員、顧客、パートナーに対する環境的な義務があるという考えに基づき、企業の社会的責任(CSR)の一環として『環境責任』を盛り込んでいる」
例えば世界コールセンターアウトソーシング会社のConvergysは、CEOからのグリーン化指示に基づき、在宅勤務のオペレーターを年内に現在の倍に増やす意向だ。
米IDCの予想では、在宅勤務のコールセンターオペレーターは2010年までに33万人に達する見通しだ。
それでも多くの組織は今でも説得材料が必要で、小さな規模から始めている。
「少なくとも最初のうちは、従業員を社外で働かせることに対する不信感は常にある。確立されたコールセンターに対しては常に、優秀なオペレーターを選びインセンティブを与えるようアドバイスしている。1つのインセンティブになるのが、週1~2回の在宅勤務を認めることだ」とランドリン氏。
オペレーター側の代償を伴うこともある。通勤しない代わりにオペレーターの給料が5~10%減ることもあれば、施設が満杯のコールセンターは主に混乱を避ける手段として在宅勤務を使っている。
ただしいったん在宅勤務の選択肢を与えた場合、オペレーターが実在のコールセンターに戻ってきてくれることは期待しない方がいい。
「いったん在宅勤務を認めれば、ガソリン価格が下がってもオペレーターは(オフィスには)戻って来ないだろう。従業員にしてみれば、経済力を持てるという点でこれは非常にプラスになるが、このレベルの信頼がいったん築かれると、昔のやり方に戻ることはできなくなる」とランドリン氏は話している。
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