ERP製品カタログ【第5回】住商情報システム
“超寿命ERP”を実現する「ProActive E2」のアーキテクチャ
中堅企業向けERPとして高いシェアを持つ「ProActive E2」はバージョンアップのしやすさをアーキテクチャで保証する「超寿命ERP」を標ぼうする。その特徴と、IFRSへの対応方針を聞いた。
多くの企業グループでの導入実績を持つ「ProActive E2」
住商情報システムが提供するERPパッケージ製品「ProActiveシリーズ」は、国産ERPパッケージとしては最も長い実績を持つ製品の1つだ。1993年に初代バージョンがリリースされて以来、累計で4000社の企業に導入され、2007年と2008年には中堅企業(年商300億~500億円)におけるERPパッケージの導入シェアで2年連続トップの座を獲得している(ノークリサーチ調べ)。
また、中堅企業向けのパッケージでありながら、企業グループでの一括導入が多いのもProActiveシリーズの特徴である。同製品は既に150の企業グループで導入されており、近年でも東京証券取引所やJR西日本グループといった大手企業が同製品をグループ内の共通業務システムとして採用している。特に、2005年に従来の製品を大幅に機能強化した「ProActive E2」をリリースしてからは、大手企業での導入が増えているという。住商情報システム ProActive事業部 営業推進部 副部長 五月女 雅一氏は次のように述べる。
「もともとProActiveシリーズは年商50億~500億円の中堅企業をターゲットにしていたが、顧客の要望を大幅に取り入れた『ProActive E2』をリリースしてからは、年商1000億を超える企業にも高い評価をいただくようになり、商談で『SAP ERP』や『Oracle E-Business Suite』といった大企業向け製品とコンペになることも多い」
データと業務フローのシームレスな連携
ProActive E2は、下図のように12の機能モジュールから構成されている。
これらのモジュールは個別に導入することも可能だが、ProActive E2の最大の特徴は各モジュールが密接に連携している点にある。例えば、給与モジュールから給与明細を仕訳データとして財務会計にシームレスに取り込む自動仕訳のような連携の仕組みが、数多く組み込まれている。
こうした連携が可能になるのは、マスターデータの共通部分が全体として統合管理されているからだ。また、モジュール間のデータ連携がリアルタイムに行われるのもProActive E2の大きな特徴である。通常は、異なる業務システム間のマスターデータ連携は日次の夜間バッチを経て行われることが多いが、ProActive E2の場合はリアルタイムでマスターデータの更新を行う。
「ProActive E2は『経営状態をいかにリアルタイムに把握できるか』という点を重視しているので、このようなリアルタイム更新の仕組みを実装している。これは、他社製品にはあまりない特徴だと思っている」(五月女氏)
さらに同製品では、各モジュール間をまたがる共通のワークフローエンジンも装備している。この機能を活用することにより、日々の業務を効率化するだけでなく、業務フローの可視化による内部統制の強化という効果も得ることができるという。また内部統制面ではさらに、バージョン情報管理や職務分掌支援機能、アクセス制御などといった機能を備えるほか、標準業務フローのドキュメントをユーザーに無償提供することにより、J-SOX法対応で必要なドキュメント作成作業も支援する。
リッチクライアント技術「Curl」の採用
ProActive E2のもう1つの大きな特徴が、そのユーザーインタフェースだ。同製品は、現場ユーザーの使い勝手にとことんこだわって作られていると五月女氏は言う。
「ERPはもともと海外発祥のシステムなので、『経営者がいかに経営情報をリアルタイムに把握できるか』という経営者視点に立って作られたものだと思っている。しかし、実際にシステムにデータを入力するのは現場であり、現場にとっての使い勝手は決してないがしろにできない。従ってProActiveシリーズは当初から、『現場にやさしいシステム』というコンセプトを標ぼうしてきた」
このコンセプトを実現するためにProActive E2で新たに採用されたのが、「Curl」というリッチクライアント技術だ。Curlは、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)での研究から生まれた、次世代Webアプリケーションのための実装技術である。ProActive E2では、クライアント側の実装技術としてこのCurlを全面採用した結果、ユーザーの操作性を大幅に改善したという。例えば、マウス操作を極力不要にし、[Enter]キーだけで入力項目間を移動できたり、あるいはファンクションキーにさまざまな操作を割り当てることも可能だ。
また、クライアント側のCurl実行環境で多くの処理をこなせるため、サーバやネットワークに掛かる負荷も軽減できる。こうしてCurlを採用することによって、運用管理の効率性やメンテナンス性といったWebシステムのメリットは生かしつつも、その使い勝手面での欠点をカバーする「いいとこ取り」のシステムをProActive E2では目指しているという。
バージョンアップ性を高めて「超寿命ERP」を目指す
ProActive E2が標ぼうするもう1つのコンセプトに「超寿命ERP」がある。環境変化に強く、できるだけ長く使えるシステムを構築するという意味だ。これを実現するための最重要ポイントは「バージョンアップ性」だと住商情報システムでは考えている。なぜならERPパッケージのバージョンアップには膨大な工数が掛かることが多く、それが原因でシステムを破棄したりリプレースせざるを得なくなるケースも少なくないからだ。
スムーズなバージョンアップを妨げる最大の元凶は、ERPパッケージに加えられる大幅なカスタマイズだ。バージョンアップ性を確保し、システムの寿命を延ばすためには、導入時のカスタマイズを最小限に抑える必要がある。その点、ProActive E2はあらかじめ広範な機能を標準で装備することで製品仕様と業務との間のギャップを極小化し、導入時の個別開発を最小限に抑えることができるという。
例えば、同製品の販売管理モジュールは、近年の導入実績では約90%の業務適合率を誇るという。業務が定型化された会計と異なり、販売管理は業種や企業ごとに業務形態が大きく異なるため、通常はパッケージ製品の仕様と業務との間のギャップが大きくなる傾向がある。従って90%というのは、かなり高い適合率だといっていいだろう。
さらに住商情報システムでは2010年2月より、同社が運営するデータセンター「netXDC」のクラウド環境上でProActive E2を稼働させる「ProActive on Cloud」というサービスも開始している。これは、これまで紹介してきたProActive E2のさまざまな導入メリットにさらに加えて、早期導入やTCO削減といったユーザーメリットの提供を狙ったものだ。
コンサルも含めたトータルでのIFRS対応支援
同社は2010年3月、ProActive E2に関連した別のソリューションも提供開始した。それが、「IFRS適用支援ソリューション」だ。昨今、ERPパッケージ市場ではIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)対応が花盛りだ。住商情報システムも、このIFRS適用支援ソリューションの一環としてProActive E2のIFRS対応ロードマップを公表しているが、同ソリューションに特徴的なのは製品の機能追加以外の形でも企業のIFRS対応を支援するサービスを提供する点だ。
そうしたサービスの1つが、「IFRS適用コンサルティングサービス」である。これは、現状の会計業務とIFRSとの間の差異がどの程度存在し、IFRS導入が業務にどのような影響を与えるかを同社のコンサルタントが調査・分析し、IFRS導入計画を策定するために必要な基礎資料を作成するサービスだ。こうしたサービスを提供する理由について、五月女氏は次のように説明する。
「他ベンダーの中には、『このパッケージを入れたらIFRSに対応できます!』とアピールしているところもあるが、実際にはモノだけがあっても意味がない。本来なら、まずは影響度調査を行ってIFRS適用の影響と課題を洗い出した上でシステムの話をしないと、具体的な対応策を立てることはできないはず」
同社が考えるIFRS対応ソリューションは、まずはこうした調査を皮切りに、基準差異への対応、企業グループ内への展開、既存環境からのデータ移行、そして既存のシステム機能のさらなる強化と、段階的にシステムのIFRS対応を進めていく「トータルソリューション」だという。また、こうした対応を進めるために必要となるProActive E2の機能強化も、現在着々と進めているという。
まず、会計コンバージェンスへの対応は順次行われており、「資産除去債務」や「包括利益」などへの対応は既に完了、「過年度遡及修正」に関しても2010年度中には対応を終える予定だという。
一方のIFRSアドプションへの対応だが、同社が公表しているProActive E2のIFRS対応ロードマップによれば、2012年中にはアドプション対応機能をすべて提供するとしている。具体的には、日本会計基準用の会計帳簿とIFRS用の会計帳簿の両方を保有できる「複数帳簿対応」や、IFRS財務諸表の出力機能、固定資産の減価償却のIFRS対応などの実装を予定している。また、これらの機能をリリースした後も、IFRSの制度改正の状況を見極めながら随時必要な機能を提供していくという。
さらに同製品は、「Diva System」や「STRAVIS」といった連結会計システムと密接に連携できるインタフェースを備えるほか、管理会計機能もBIツールとの連携によって強化が図られている。同社では、こうした連携ソリューションの強みもIFRS対応においては大きなメリットになるとしている。
IFRS対応の前にグループ内のERP共通化を
以上のように、コンサルティングサービスとProActive E2の機能強化という2つの施策を中心にIFRS対応のトータルソリューションを展開する住商情報システムだが、五月女氏はIFRS対応の前段階として、まずは企業グループ内の業務システムを共通化することが重要だと強調する。
「グループ経営にとって、グループ内の各企業でばらばらに導入されているERPを共通化することは、IFRS対応のみならず多くの点でメリットが大きい。しかし、ERPの共通化とIFRS対応を同時に一気にやるのは非常にリスクが高い。従って住商情報システムでは、まずはProActive E2をグループ導入してグループ内の業務システムを共通化した上で、次にIFRS対応を行うという、段階的なソリューションを提唱している」
今からProActive E2を導入しておいても、「超寿命ERP」を標ぼうする同製品であれば、将来IFRS対応バージョンがリリースされた際にも確実にバージョンアップでき、IFRS対応機能を利用できるようになるというわけだ。
また同製品のバージョンアップは、保守料を払っていればそれ以上の追加費用なしで、いつでも受けることができる。その保守料も、ライセンス価格の5%が製品保守用(バージョンアップやパッチ提供など)、10%がヘルプデスクのサポートサービス用と、2種類に分かれている。ユーザーは、もしヘルプデスクのサポートサービスが不要であれば、ライセンス価格の5%を払えばバージョンアップを含めた製品保守のサービスのみを受けることができる。
「ProActive E2はそのバージョンアップ性の高さだけでなく、こうした独自のサポート料金体系の点でもランニングコスト削減に貢献できるため、より長く使えるシステムを実現できると考えている」(五月女氏)
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