無償配布中に機能をチェック
WAN最適化仮想アプライアンス「NetEx HyperIP」、無償配布中
米NetExが、仮想アプライアンスのWAN最適化ソリューションを無償配布している。大量のデータ転送を最適化することで、ディザスタリカバリにもうってつけだ。
多くのIT部門がWAN最適化装置からソフトウェアベースのWAN最適化ソリューションに移行している中、米NetExは企業に仮想アプライアンスの利用を促す大きなインセンティブを提供している。それは「NetEx HyperIP」(以下、HyperIP)の無償配布だ。NetExは2011年末までの予定で、このWAN最適化仮想アプライアンスの年間サブスクリプションを無償提供している。
NetEx HyperIPとは
HyperIPは長距離での大量データ転送を最適化できる。WAN経由の少量データ転送も最適化できるが、WAN経由のデータレプリケーション、ファイル転送アプリケーション、事業継続(BC)/ディザスタリカバリ(DR)にうってつけだ。NetExは、HyperIPのフルバージョンは最大800Mbpsでファイルを転送できるとうたっている。HyperIPは、米EMC、米NetApp、米VMware、米Veeam、米HP LeftHand Networks、米EqualLogic、米Symantecなど、多くのベンダーの仮想データレプリケーション製品と互換性がある。
米Dragon Slayer Consultingのマーク・ステイマー社長によると、HyperIPはレプリケーションとあらゆる種類のデータ転送に威力を発揮する。パケットロスが発生すると、標準TCPプロトコルは失われたパケット以降のパケットを全て再送するが、HyperIPは失われたパケットを再送し、それが失われてからのパケットが正しい順序で受信されるようにする。
「HyperIPは、パケットロスが多い回線に非常に適している。パケットロスは人々が考えているよりもはるかに頻繁に発生する」とステイマー氏は語った。
HyperIPはなぜ無償配布されているのか
NetExとVMwareはプロモーション提携の一環として、VMware Virtual Appliance Marketplace(VAM)の新規および既存ユーザーに、HyperIPの年間サブスクリプション(利用登録日から1年間)を無償提供している。このサブスクリプションでは、2Mbpsでのデータ転送が可能だ。この基本サービスは、NetExの通常料金に換算すると2100ドルに相当する。このサービスを利用するには、VAMにユーザー登録する必要がある。登録費、年会費は無料だ。登録すると、仮想アプライアンスの業界最大のオンラインディレクトリであるVAMを利用できる。またNetExは、Veeam Softwareとの提携に基づくHyperIPの無償配布も行っている。2011年7月まで実施されるこのプログラムでも、2Mbpsでのデータ転送が可能な年間サブスクリプションが無料で提供されている。
HyperIPの恩恵を最も受けるのは誰か
「それはVMwareだ」とステイマー氏は語った。「掛け値なしに、HyperIPはVMwareのVMotionの運用に絶大な効果を発揮する。地理的に分散した環境では、同社のStorage VMotionを活用するのに大いに役立つし、SRM(Site Recovery Manager)にも極めて有効だ」
NetExがVMwareのお墨付きを得ているのは、NetEx製品はVMware製品との互換性が非常に高いからだ。また、企業顧客がVMwareを使ってアプリケーションのレプリケーションやバックアップを行う場合も、HyperIPの恩恵を受けるだろう。
「HyperIPは、WAN上でのアプリケーションの全体的なスループットやパフォーマンスを低下させるネットワーク上の問題を軽減する」と、NetExマーケティング部門の事業開発担当副社長、ボブ・マッキンタイア氏は語った。しかし同氏は、仮想デスクトップインフラ(VDI)やVoIPの最適化のためにHyperIPを使うことは勧めなかった。ステイマー氏は、WANの最適化は音声トラフィックを最適化する理想的な方法ではなく、こうした目的のためにはIT部門はQoSを利用すべきだと指摘した。
マッキンタイア氏によると、NetExが行ったラボテストでは、VMware Viewのオフライン仮想デスクトップソリューションと組み合わせて使った場合に、HyperIPが効果的に機能することが検証されているという。VMware Viewのオフラインソリューションでは、仮想デスクトップのチェックインとチェックアウトの際に大量のデータ移動が必要になるからだ。
「われわれは、HyperIPとVMware Viewの組み合わせをテストすることをVMwareに提案している。だが、その実施について彼らのコミットメントは得られていない。このため、そのテストが行われるまでは、われわれは従来同様レプリケーションやDRのような用途でのHyperIPのメリットを主にアピールしていく」とマッキンタイア氏は語った。
「HyperIPは、クラウドでの利用にも非常に適していると思う」とステイマー氏は語った。同氏は、WAN最適化ソフトウェアのビジネスモデルは、クラウドプロバイダーのビジネスモデルと、売り方という点で似通っていると説明した。「どちらのサービスも、販売単位はボトルではなくショットだ」
また、クラウドプロバイダーは、WAN最適化装置ではなく、WAN最適化ソフトウェアを採用する傾向が非常に強い。ステイマー氏は、その理由をこう説明した。
「クラウドでは、コストが極めて重要だ。クラウドを経済的に運営するには、インフラコストを切り詰めなければならない。このコストの中で大きな比重を占めるのが、ハードウェアだ。クラウドプロバイダーはサーバ、スイッチ、ネットワーク、ストレージを所有している。こうしたハードウェアを減らせば、より大きな規模の経済を享受できる」
他のWAN最適化ソリューションと比べたHyperIPの特徴は?
HyperIPは、米Riverbed、米Silver Peak、米Blue Coatといったライバル企業の製品と比べて、ディスクとメモリの使用量がはるかに少ない──。マッキンタイア氏はそう強調している。これは、競合製品と比べてHyperIPはハードウェア要件が低く、そのためにより多くの環境で利用できることを意味する。
HyperIPは、ローカルキャッシングを行う辞書圧縮やWAN帯域幅最適化技術を利用しない。ステイマー氏は、HyperIPがキャッシングを使わないことは何ら問題ではないと語った。HyperIPが実行するWAN最適化のタイプ(レプリケーション)は別の問題を解決するからだ。HyperIPは、大量データ転送の最適化を最も得意としている。
「HyperIPは、少量データ転送も効果的に最適化する」とステイマー氏。「だが、ユーザーが体感するローカルパフォーマンスを維持することが求められる場合には、RiverbedのWAN最適化アプライアンスの方が勝るだろう。ローカルキャッシングを行うからだ。それはHyperIPの強みではない。HyperIPの強みは、利用可能な帯域でデータを極めて高速に移動できることにある」
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