マルチデバイス時代の統合管理を実現するMDM【前編】
iPhoneやAndroidの業務活用を支えるMDMとは?
スマートフォンやタブレットの業務活用時に併せて導入を検討したい製品の1つがMDM(モバイル端末管理)だ。今後、市場の拡大が予想されるMDMの選定時に参考となる主要機能や注意点をまとめた。
MDMと聞いて先に思い浮かぶのは、マスターデータ管理(Master Data Management)だろうか。今回紹介するのは、スマートフォンやタブレットの業務活用が一般化するのと同時に注目され始めたモバイル端末管理(Mobile Device Management)という、新ジャンルの製品だ。2011年は、各ベンダーからMDMのリリースが相次ぎ、2012年にはある程度の市場規模になることが予想される。本稿では、MDMの入門編として、主要機能や導入時の注意点を紹介する。後日公開の後編では、2011年8月現在国内で販売されているMDM製品をピックアップするので、導入を検討する企業はぜひ参照いただきたい。
MDMの特徴を端的にまとめると、「iPhoneやAndroidなどの多種端末を統一ポリシー下で管理でき、リモートロック/ワイプ、位置情報検出といった紛失・盗難対策機能を備えている製品」だといえる。現時点で“スマートフォン/タブレット向けのセキュリティ対策”に定まった解答はないが、数ある対策製品の中でも、セキュリティや管理の視点で機能が充実しているのがMDMである。
ノートPCとは異なり、管理者にとってスマートフォンは業務用端末として見るとやっかいな存在だ。セキュリティポリシーの策定が追い付かない状態で私物端末が自由に業務で使用され、ある意味野放しの状態を黙認せざるを得ない状況にある企業も多いのではないだろうか。管理部門を置いていない中堅・中小企業などでは「気が付いたら従業員が勝手にスマートフォンを業務にも活用していて(メールやスケジュール管理など)、特別なセキュリティ対策もしない状態で端末に業務情報を保存していた」という事態が十分に発生し得る。
一方で、米国などで言われるBYOD(Bring Your Own Device:個人が所有する端末の持ち込み)の考えを参考に、「私物スマートフォンを業務に使わせてしまおう」という動きも見られる。いずれにせよ、MDMのような製品で端末を管理したいというニーズは高い。
スマートフォンやタブレットをどこまで許可するか
MDMの導入を検討する前に、管理者が決めるべきポイントはまず「スマートフォンやタブレットの業務利用をどこまで許可するか」である。許可する範囲によって必要な対策が異なってくるからだ。
例えばメールやWeb閲覧だけなら、ウイルス対策ソフトの導入で済むかもしれない。NTTドコモの端末であればマカフィーのウイルス対策ソフトを無償で利用できる。エフセキュアやカスペルスキー、トレンドマイクロなどはそれぞれ機能限定や試用期間があるが、対策アプリケーションを無償配布している。シマンテックも家電量販店やインターネット通販でウイルス対策ソフトを販売している(関連記事:どれを選ぶ? Android端末向けセキュリティ対策ソフト比較)。
MDMでできること
MDMで実現する機能は大きく以下4つに分類できる。端末のOSによって対応機能が異なるため、導入時にはその点を確かめておくことが必要だ。
(1)端末設定の一斉適応(セキュリティポリシーの一斉配布)
端末が持つセキュリティ機能(単純な文字列ではないパスワード設定、端末ロック)を強制する。
(2)紛失・盗難対策
リモートワイプ/ロック、パスコードの削除、位置情報の取得(Android 2.2以降)ができる。
(3)機能の利用制限
Wi-Fiやカメラ、ブラウザ、アプリケーション(インストール含む)、画面キャプチャーの利用を制限する(※AndroidはWi-Fiの制限のみ)。
(4)従業員の端末情報収集・管理
各従業員の端末情報(デバイスID、OSバージョン、MACアドレスなど)や利用状況を取得・一元管理できる。
この他、ベンダーによっては、アプリケーションやセキュリティパッチの配布、セキュリティ機能(マルウェア・不正プログラム対策、Jailbreak《脱獄》やルート化の検知など)を備えている場合もある。
MDMの注意点
上記でも少し触れたように、端末の一元管理とはいっても、実際には端末のOSによって実現できる機能が異なる。これはMDMに限ったことではないが、例えばAppleのiOSとGoogleのAndroidだけを取ってみても、提供されている管理APIに違いがある。そのため、例えば情報漏えい対策として端末(ストレージ)の暗号化をしたいと思っても、iOSであれば可能だが、Androidは非対応となっている(タブレット向けのAndroid 3.0以降は一部対応)。
後編では、2011年8月現在に国内で販売しているMDM製品・サービスを紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
マルチデバイス時代の統合管理を実現するMDM
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー