ネットワーククローゼットから始める電力効率化(前)
即効性があるIT消費電力の抑制策とは?
IT消費電力の効率化として、企業がサーバやストレージなどのIT機器だけに着目するとコストや手間がかかるため、必ずしも最良の対策とはいえない。
企業におけるIT消費電力の測定や管理では、データセンターのサーバやストレージに重点を置く人が多い。しかし、電力の効率化を進める際には「ネットワーククローゼット」から取り掛かるという手もある。そこにはLANスイッチやルータをはじめ、電力を食う多数の機器が設置されている(関連記事:読者調査で分かった、計画停電後に企業が実施している電源対策)。
ネットワーククローゼットの構成要素を理解する
ネットワークにおける電力効率化の最初のステップは、ネットワークに接続されたデバイスを全て洗い出し、それらの消費電力と、それらの冷却に必要な電力を測定することだ。ネットワーククローゼットにはLANスイッチに加え、時にはルータも設置されている他、普段は忘れられているファン、バッテリー付きUPS、電源、テスト機器、照明、セキュリティアクセスデバイスなども置かれている。
例えば、48ポートのLANスイッチだけで電力および冷却コストが年間98~554ドル掛かり、192ポートのルータも年間1082~2217ドル掛かる。スイッチやルータは電力効率が低く、熱を発生させる。これは電力の浪費だ。ネットワークインフラは、データセンターの消費電力全体のうち12~15%を占めており、HVAC(暖房/換気/空調)の負荷全体のうち同じ割合を占めている。
ネットワーククローゼット内の機器の冷却電力を算出する
機器の冷却には多大な電力が使用され、そのために多大なコストが発生する。このため、データセンターの消費電力を基に、どれだけの冷却電力が必要とされるかを算出することが重要だ。困ったことに、不十分な冷却は、ネットワークパフォーマンスに直接影響する。機器の動作温度が21度を超えると、8度上昇するごとに信頼性が50%低下してしまう。データセンターの冷却に関するある調査によると、冷却能力の最大72%が、IT機器に作用せずに浪費されているという。
クローゼット内の機器の冷却電力を算出するには、以下の項目を調べる必要がある。
- IT機器の使用電力の合計(スイッチ、ルータ、テスト機器など)
- LANエンドスパン(電源供給機能を備えるスイッチからネットワークデバイスに給電する)PoE(Power over Ethernet)の入力電力×0.6
- ミッドスパン(電源供給装置からネットワークデバイスに給電する)PoEの入力電力×0.4
- 照明のワット数の合計
- UPSの定格電力×0.09
- これらのワット数の合計
この合計ワット数に0.86を掛けると、クローゼット内の機器の冷却電力の値が得られる。つまり、クローゼット内の機器の使用電力1000ワット当たりで、それらの機器の冷却電力860ワットが必要になるわけだ。
2004年以前は、データセンターやクローゼットの動作温度は22度だった。米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)によると、2008年にはこの温度は27度に上昇したという。新しい機器は、従来より高温でも高い信頼性で動作するようになったからだ。しかし、古い機器ほど、低い動作温度が要求される。しかも、ベンダーによって許容温度はまちまちだ。
次回は、ネットワークの電力効率化の前提条件となる電力測定方法について解説する。
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