第3回 グリーンIT&省エネソリューションEXPOリポート
データセンターのさらなる省電力対策が注目されたグリーンIT&省エネEXPO
IT関連の総合展示会「Japan IT Week 2011春」で開催された、「第3回 グリーンIT&省エネソリューションEXPO」の展示内容を紹介する。
5月11日~13日の3日間、東京ビッグサイトで「第3回 グリーンIT&省エネソリューションEXPO」が開催された。今回は「次世代データセンターゾーン」「エネルギー管理・監視ゾーン」が設けられ、データセンターの消費電力の可視化や電力削減などに関する製品・ソリューションが出展されていた。企業の情報システム部門の担当者やデータセンター事業者などが来場し盛況であった。
データセンターの状況を可視化
データセンターの省電力対策には、
- 冷却システムの最適化
- 電子回路の省電力化
- IT機器の効率的な運用
- 電力供給システムの効率化
などが挙げられる。その前提条件として「マシンルーム全体やサーバラックなどの機器の現状を正確かつ詳細にリアルタイムで可視化する」ことが求められる。今回のEXPOでは、そうしたデータセンター内のさまざまな測定情報を収集、一括管理するシステムが出展されていた。
日本ノーベル データセンター監視システム「iDCNavi」
iDCNaviは、サーバルームの電流や温度などのデータを収集して一括管理するシステム。サーバラックや空調機、分電盤などに500カ所の測定ポイントを設置し、監視端末からの数値をリアルタイムで監視する。監視端末では、温度分布表示や異常発生場所を特定するマップ表示によって、サーバルーム全体の電流や温度などの情報を視覚的に確認できる。
また、ラック単位で温度や湿度の偏りなどを3D表示でき、コンセントごとの電流使用量なども監視。
iDCNaviのWeb画面では、データセンターのユーザー自身が使用サーバの状況をリアルタイムで遠隔監視できる。ラック内の機器表示は、同社のラック内デバイス管理システム「UnitPORTER」との連携で可能になる。
アバール長崎 「AVAL Rack Monitoring System」
アバール長崎は、ラックや電源などの電力や電流、温度などを監視するユニット製品群「AVAL Rack Monitoring System」(以下、RMS)と統合監視ソフトウェア「RMS Software 4」を展示。
RMS Software 4は、RMSなどのセンサー情報を収集して監視・制御を行うソフトウェア。SNMPに準拠しており、他社の測定機器と連携できる。遠隔地の各種計測データを収集して管理でき、無人設備のシステム監視や遠隔制御などを支援する。
リタール インテリジェントPDU「Switched-PDU」
リタールは、ラックごとの使用電流量をリアルタイムに監視するPDU(Power Distribution Unit:電源タップ)「Switched-PDU」を展示。温度・湿度監視センサーをプラグ&プレイでPDUに取り付け、PDUのLEDディスプレーを直接確認したり、Webブラウザ上で使用電流量の確認や電源の制御などが可能だ。
冷却システムの最適化を支援
企業のデータセンターやマシンルームの電力消費量の約3分の1を占めるといわれる機器冷却。空冷、水冷の方式を問わず、電力・コストを最適化させた効率の良い対策が求められる。今回のEXPOでも、そうした冷却システムの最適化を支援するソリューションが展示されていた。
サイエンス ソリューションズ 熱流体解析ツール「TileFlow」
サイエンス ソリューションズは、米国Innovative Researchが開発したデータセンター専用の熱流体解析用ソフトウェア「TileFlow」を展示。TileFlowは、データセンターに設置される機器の仕様をデータベース化して、その熱解析シミュレーションモデルを構築。マシンルームの気流パターンや温度分析、各ラックの冷却状況などを計算し、データセンターの冷却に最適な対策の構築・運営を支援する。グローバルでは既にIBMやヒューレット・パッカードなどで採用されている。
また、物理的な冷却対策として、1ラックに取り付けるブランクパネル「PLENAFILL」なども展示。PLENAFILLはラック内の機器を搭載していない部分に取り付けて、排熱が吸気側に回り込むのを遮断して機器の冷却状況を改善する。はさみなどで切断でき、簡単に設置可能。
富士古河E&C 「熱溜り対策ソリューション」
富士古河E&Cは、データセンターにおける熱対策ソリューションを紹介。同社は、温度分析や気流計測などから現状を調査・分析し、マシンルームの熱たまりや気流の改善などを提案して、その施工や効果検証までを含めたサービスを提供している。
電力供給の効率化に向けて
サーバへの給電方式を交流(AC)ではなく直流(DC)にすることで、UPS(無停電電源装置)を含めた交流・直流変換による電力ロスを防ぐことができる。現在、より変換効率に優れた方式として「高電圧直流給電(HVDC)システム」が注目されている。HVDCは、高電圧直流を集中電源で降圧した上でサーバに給電する方式だ。さくらインターネットは5月9日、同社が2011年秋に完成予定の北海道石狩データセンターでHVDCシステムの採用に向けた評価検証を実施することを発表している。
日本無線 高電圧直流給電システム「FRESH HVDC」
日本無線とNTTデータ先端技術は、高電圧直流給電システム「FRESH HVDC」を出展し、データセンターにおける省エネ対策や経費削減、設備投資の見直しなどを提案していた。
FRESH HVDCは、300Vを超える高電圧直流を集中電源で12Vへと降圧した上でサーバに給電する「HVDC 12V」方式を採用している。従来のAC方式の給電システムと比較し、IT機器部分での電力損失が少なく効率性に優れ、UPSやサーバ内部の電源ユニットが不要となる。
企業の省エネ対策は、2009年に改正された「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)によって進められてきた。政府の電力需給緊急対策本部が2011年5月13日に発表した「夏期の電力需給対策について」を受け、一律15%の節電目標が掲げられた。今後、さらに省電力対策に向けた取り組みが活発になるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー