今、企業が策定すべきソーシャルメディアポリシー(後編)
「何かを禁止するポリシーはダメ」CIOを悩ませるソーシャルメディアポリシー
企業もソーシャルメディアの利用が避けられなくなった今、それによるリスクをいかに低減するかが重要になる。まずは3つのリスクを認識することから始めよう。
前編「CIOが想定すべき『ソーシャルメディア3つのリスク』」では、ソーシャルメディアをめぐって企業で生じている事態とそのリスクを概観した。これらは企業の経営層を委縮させるのに十分な脅威といえる。このリスクにどのように対応するべきだろうか。
ソーシャルメディアポリシーの2つの例
前編で紹介したようなリスクがあるため、一部の企業では従業員が勤務中にソーシャルメディアを利用することを規制する動きがある。IT人材派遣会社のRobert Half Technology が4月13日に発表した調査研究によると、米国企業で働くCIOの38%が、従業員の私的および仕事上におけるソーシャルメディアの利用について、規制を強化したと回答している。この数字は、利用規制を緩和したとするCIO(17%)の2倍以上だ。このRobert Halfのデータは、従業員100人以上の米企業1400社のCIOを対象に独立系調査会社が実施した電話インタビューをベースとしている。
効果的なソーシャルメディアポリシーを策定することは容易ではない。「全てのソーシャルメディアサービスをカバーしようとすれば、いつまでたってもその増殖に追い付かないだろう」と語るのは、Burton Groupのアナリストで、データプライバシーを担当し、同社のソーシャルメディアリスクリポートの著者の1人でもあるグレイザー氏だ。
特定のサイトだけを詳細にカバーするソーシャルメディアポリシーは非現実的だ。誰がどのサイトをどのような目的で利用しているかを監視し続けるのは困難であり、ポリシーの設定にも多大な時間を要するからだ。「その手のポリシーを個別に策定し、認証し、実際に運用するのは容易ではない」とグレイザー氏は言う(もっとも、特定のサイトやツールの利用を禁止するだけなら簡単だが)。
ただ、同氏によると、企業は効果的なソーシャルメディアポリシーの記述に徐々に熟達しつつあるようだ。「IBMにできるなら、また連邦政府にできるなら、一般の企業にもできるだろう」と同氏は語る。
米連邦政府は2010年9月、「Guidelines for Secure Use of Social Media(ソーシャルメディアの安全利用に関するガイドライン)」を発行した。このガイドラインは「ソーシャルメディアサービスを利用して、職員、関連省庁、民間との連携、コミュニケーションを図る全ての連邦政府機関」に適用される。またIBMは先ごろソーシャルコンピューティングガイドラインをアップデートし、同社が2005年にブログ利用のガイドラインをリリースした後に出現した「新しい形態の多様なソーシャルメディア」に適用範囲を拡大した。
シラキュース大学情報研究スクール教授で、デジタル化サービスコンサルティング会社Hurst Associatesのオーナーでもあるジル・ハーストウォール氏によると、多くの企業はソーシャルメディアを利用するための正式なポリシーを必要としているという。「それは何かを禁止するポリシーではなく、何をすべきかというポリシーでなければならない」と同氏。「企業は、人々がうまくやっていけるポリシーを目指すべきだ」
「もし何かを禁止するのであれば、従業員にこう命じるだけだ。『おいおい、会社のコンピュータでそんなことをやるんじゃない。みんなスマートフォンを持っているじゃないか。トイレにいって、そこでやってこいよ』」とハーストウォール氏はいう。もし会社や組織が特定のサイトやアクティビティを禁止する必要があるなら、その理由をはっきり明示する義務がある。そうすれば従業員もネガティブな結果を理解し、自分たちの能力を他のものに振り向けるようになるだろう。
いずれにしても、グレイザー氏やハーストウォール氏は、ソーシャルメディアポリシーは特定のサイトに焦点を当てるのではなく、適切な行動と適切なコンテンツについて定義すべきだとアドバイスする。ほとんどの企業の従業員は、不適切な情報の漏えいが解雇の理由になることを理解している。「それらのルールがソーシャルメディアに対しても適用されることを明確にすることが、いま企業にとって最善の方法といえるだろう」とグレイザー氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
今、企業が策定すべきソーシャルメディアポリシー
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー