SNSに対抗する個別セキュリティ戦略
従業員のソーシャルメディア利用をどう管理するか
FacebookやYouTubeなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は、既存の方法では対処し切れないさまざまな危険性を新たに生み出している。
ネットワーク管理者もほとんどの従業員も、迷惑メール、フィッシング詐欺、マルウェアを仕掛けたWebサイトの危険性については既に十分認識しているだろう。エンタープライズネットワークの大半はスパム対策フィルタで守られ、ワークステーションの大半は最新のマルウェア対策ソフトで更新状態が保たれている。
しかしソーシャルネットワーキングサービス(SNS)はどうだろう。FacebookやYouTubeなどのSNSは、既存の方法では対処し切れないさまざまな危険性を新たに生み出している。
管理者は自社を守る戦略を確立し、防御の一助となる製品を導入する必要がある。本稿では、SNSのセキュリティリスク対策を支援する方法について解説する。
SNSのセキュリティリスクと弱点
電子メール経由でも手違いによる社外秘情報流出はあり得るが、電子メールは少数の相手にしか届かないのが普通だ。これに対してSNSはもっと幅広い層に開かれている。
例えば、次のような状況を想定してほしい。
小規模なソフトウェア上場企業の幹部が、ワシントン州レドモンドに出張するので不在になると、友人に知らせようとしたとする。電子メールで送れば読む相手は数人だけだが、その情報をFacebookに掲載すれば、この幹部のページをチェックして買収の可能性を探っている相手に手掛かりを与えてしまいかねない。
SNSで作られた友情は、情報を引き出したりマルウェアに感染させたりする目的で悪用される可能性もある。知らない相手に電子メールで、自分の勤務先の四半期決算見通しを教える人はいないはずだ。しかし友達と思っている相手に「ここのところ売り上げがすごくて、仕事が本当に忙しい」と言ってしまうことは容易に想定できる。
SNSでは、一般的なWebサイトや電子メールと同種のマルウェアも広まるが、それ以上のペースで新種のマルウェアが感染を広げることもある。例えばYouTubeやFacebookでうわさに火のついた感染動画をたった1日で何万人もが閲覧し、ウイルス対策ソフトメーカーのアップデート開発・配布は後手に回る――ということもある。
ファイアウォールベンダーの製品
従業員が会社のネットワークからSNSにアクセスするのを認めるかどうかをめぐり、ネットワーク管理者の対応は分かれている。チャネルパートナーには、それぞれの選択肢について顧客にメリットとデメリットを理解してもらう手助けができる。アクセスさせないと決めた場合、ソリューションの設計と、顧客それぞれのニーズに合った機器の選定を支援できる。
Barracuda NetworksやCheck Point Software Technologiesなどのファイアウォールベンダーは、SNSからのトラフィックを検出・遮断できる機能を提供している。BarracudaのWeb Filterでは個々のアプリケーションごとにアクセス権を設定できるので、例えばLinkedInへのアクセスは許可、Facebookは不許可といった対応ができる。組織内の部局ごとにアクセス権を設定することも可能だ。例えば人事部門には転職サイトへのアクセスを認め、マーケティング部門にはその組織のFacebookページの管理責任を与えることができる。
Check PointのApplication Control Software Bladeでは、4500以上のアプリケーションを網羅した同社のAppWikiをベースにトラフィックを判別する。ネットワーク管理者は、許可するアプリケーションと禁止するアプリケーションをAppWikiのリストの中から選択できる。
Check Pointの製品にはUserCheckという機能があり、設定しておくと、従業員がアクセスしようとしているアプリケーションが仕事用なのか私用なのかをその従業員に問い掛ける。また、自分のアクセス権と会社のネットワーク利用ポリシーについて従業員に知らせる反応を返すこともできる。この機能はSNSの正規利用を許可しながら、アクセスが監視されている事実を認識させる貴重な手段となる。
スマートフォンからのSNS利用
単純に会社のネットワークからSNSへのトラフィックを遮断するだけでは十分ではない。従業員は会社が支給したスマートフォンや個人のスマートフォンを使ってSNSにアクセスすることもできる。
企業は、自社が支給する携帯電話全てにマルウェア対策ソフトをインストールするプロセスの開発とメンテナンスに当たる必要がある。Kaspersky Lab、McAfee、Trend Microなどのベンダーは、一般的なスマートフォン全てに対応したソフトウェアパッケージを提供している。
従業員の私物のスマートフォンへの対応はさらに難しい課題だ。携帯電話もPCと同じように脆弱で、両方のマルウェア対策ソフトを最新の状態に保つ必要があると従業員に認識させなければならない。
会社支給のノートPCおよび従業員の私物ノートPCからのリモートアクセスにも、スマートフォンと同じ問題が当てはまる。解決策も同様だ。会社のコンピュータではマルウェア対策ソフトを最新の状態に保ち、従業員の私物PCについても同じ対策を促さなければならない。
SNSのセキュリティリスクに関する社員教育
会社のセキュリティポリシーでSNS利用を禁止していてもいなくても、従業員に会社支給のスマートフォンやノートPCを持たせていてもいなくても、鍵となるのは教育だ。社外秘情報が流出したり、従業員がSNS利用に起因する詐欺の手口にだまされたりする事態は、技術製品だけでは食い止められない。
管理者は、社内のあらゆるレベルの従業員を対象に、詐欺の手口を知ってもらうための研修制度を創設してはどうだろう。一見したところ社外秘情報の暴露につながるとは思えない内容をSNSに投稿することの隠れた危険性についても周知を図りたい。
本稿筆者のデービッド・B・ジェイコブズ氏はThe Jacobs Groupに勤務し、ネットワーキング業界で20年以上の経験を持つ。最先端のソフトウェア開発プロジェクト管理、フォーチュン500企業やソフトウェア新興企業のコンサルティングを手掛けてきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー