社内ブログ/SNSと2ちゃんねる投稿の不思議な相関関係IT変革力【第35回】

多くの日本企業で導入され始めている社内ブログ/SNS。そこで社員が日記を定期的に書くという行動が、実はあの有名な「2ちゃんねる」への投稿と不思議な関係にあることが見えてきました。

2007年01月31日 00時00分 公開
[TechTarget]

 2006年辺りから、規模の大小を問わず多くの日本企業では、社内ブログ/SNSの導入が活発化し始めています。それに併せて、各ソフトウェアベンダーでも社内ブログ/SNSの製品発表が始まっています。例えば、マイクロソフトは昨年末「Microsoft SharePoint Server 2007」の機能に、ブログを含むSNSを装着しています。

 Microsoft Office SharePoint Server ホームページより引用

 Microsoft Office SharePoint Server 2007 の個人用サイトにより、共通の関心を持つ同僚を識別します。Social Networking Web Parts では、個人の組織、コミュニティ、および電子通信に関する情報を使用して、より適切な検索結果を作成します。

 また米IBMは、米フロリダ州オーランドで開催されている年次カンファレンス「Lotusphere」(2007年1月)で、ブログを含むSNS機能「Lotus Connections」を発表しました。この領域には我が国でもブログのドリコム、SNSのBeat Communicationを始め、多くのベンチャー企業が参入しています。

 恐らく2007年には、我が国でも一時のグループウェアの導入ブームに近い社内ブログ/SNSの導入ブームが始まるでしょう。

 それでは、社内ブログ/SNSには一体、どのような効果があるのでしょうか?

 既存のグループウェアとは何が異なるのでしょうか。筆者もちょっと調査をした結果、なかなか興味深い結論が出ました。

先進ユーザー企業で起こった面白い現象

 既に、多くの先進的な日本企業では社内ブログ/SNSの導入により、これまでのグループウェアには見られなかった面白い現象に直面しています。

 まず、お互いの日記などを読み合うことによって、見知らぬ社員同士がお互いに親近感を感じ、それがお互いの「信頼感」に繋がっていくという現象です。これは社会心理学上、「単純接触の原理」と呼ばれています。以前から、SNSのミクシィ上や仲間内でブログを読み合う事例がインターネット上では報告されていました。それと同じことが企業内のイントラネット環境でも起こり始めている、と思われる事例が多数出現しています。

 また、社内ブログ/SNSでは、社員が定期的に書く日記が、社員のプロフェッショナルへの成長を支えているという報告もあります。日記という自己物語を書くことにより、「自分は何者なのか」をいつも自問自答して、アイデンティティ(自分探し)の見直しを行っているわけですね。それに仲間がコメントを付けて励まします。その結果、人の成長において、心理学上有名な「ピグマリオン効果」が働くと考えられるという報告です。

 筆者は、「2ちゃんねる」への書き込みが明らかに減少したという声を多くの企業から聞いています。これはちょっと想定外であり大きな驚きでした。前に述べたような穏やかな環境の下、社員の心に「自浄効果」(カタルシス効果)が働いた結果であると思われます。

なぜ一部の社員は2ちゃんねるに投稿するのか?

ITmedia マーケティング新着記事

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...

news115.jpg

「TikTok禁止法案」に米大統領が署名 気になるこれからにまつわる5つの疑問
米連邦上院が、安全保障上の理由からTikTokの米国事業の売却を要求する法案を可決し、バ...

news077.jpg

「気候危機」に対する理解 日本は米国の3分の1
SDGsプロジェクトはTBWA HAKUHODOのマーケティング戦略組織である65dB TOKYOと共同で、「...