Web2.0の普及により、誰でも簡単に動画や写真を投稿できるようになった今、企業の提供する広告も形を変え始めています。米国で既に始まっている、ブランデッド・エンターテインメント型広告とは一体どのようなものなのでしょうか。
Web2.0の特徴は、誰でも簡単に日記や写真、動画を投稿でき、インターネット上で穏やかな社交が可能な社会環境ができあがった点であると言われてきました。これは、大衆表現社会と言われているものであり、それを支えるソフトウェアなどのICT技術の仕組みはソーシャルメディアと呼ばれています。ソーシャルメディアの活用において、これまで非常に注目を浴びて来たのは、オープンソースマーケティングという呼び名の消費者作成(主導)広告(CGCM)でした。
本日は、原則として消費者ではなく、「マーケティングなどのプロ」が作成する広告の進化について説明しましょう。
ブランデッド・エンターテインメントというのは、商品を提供する企業が映画やテレビ、ラジオなどを媒体として、ストーリー(物語)やテーマ音楽、世界観などの提供の中でコマーシャルを行うマーケティング手法であり、比較的古くから活用されてきた広告手法です。これは共感型のコミュニケーション・マーケティングの1つと考えられてきました。物語の中で、自社の商品やサービスをさり気なく小道具として提供するなどのやり方が典型的です。
米国映画『Runaway Bride』の中で、女優のジュリア・ロバーツが「FedExの車」に乗り込んで恋人に「さよなら」するシーンが出てきます。これは、宅配サービスのFedExの宣伝を兼ねたブランデッド・エンターテインメントとして知られています。
また、ジェームズ・ボンドの映画では、Rolexの時計などの各種商品が場面の至るところに登場しています。テレビでも、ドラマの中に特定ブランドのファッションを織り込んだ番組は盛んに作られています。マラソン中継におけるオフィシャルカーやオフィシャルドリンクの提供も、ブランデッド・エンターテインメントの一種と考えられます。マラソンなどのスポーツというドラマの中で、自社の車や清涼飲料水が脇役を演じているというわけですね。
これまでは、ストーリーはマスコミが主体的に製作し、その中に企業はブランド広告をちょっと埋め込むというタイプのアプローチが主流でした。
さて、そのブランデッド・エンターテインメントが、Web2.0の時代となって大きな進化を遂げ始めました。
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