英国の住宅金融組合Nationwide Building Societyでは、2022年にATMの現金引き出し件数が13年ぶりに増加した。専門家はこの行動変容の理由を、どのように考えているのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響で、英国ではここ数年、ATMでの現金引き出し件数が減少傾向にあった。住宅金融組合Nationwide Building Societyの調べによれば、2019年におけるATM現金引き出し件数が4450万件だったのに対して、2020年は2640万件に落ち込んでいた。
こうした状況に変化が生じている。Nationwide Building Societyが2023年1月に公開した調査データによると、2022年には同組合のATM(現金自動預払機)の利用が13年ぶりに増加に転じたのだ。何が起きているのか。
2022年にNationwide Building SocietyのATMで現金の引き出しがあった回数は、3000万回以上に及んだ。2022年のATM引き出し額の平均は105ポンドで、前年比で25%増加した。「生活費の高騰で借金状態に陥ることを避ける目的もあって、消費者が再び現金を使い始める中で、久しぶりに現金の引き出しが自然に増加している」。Nationwide Building Societyの決済担当ディレクターであるオットー・ベンツ氏は、こう説明する。
現金を簡単に引き出せるATMは「社会の中で重要な役割を果たしてきた」とベンツ氏は指摘。加えてATMは機能の拡充が進んでおり、残高の確認や家計費の支払いなど「お金の管理のために利用できる機能が充実し始めている」(同氏)。
家計をうまくやり繰りするために、消費者は現金引き出し以外の目的でもATMを使い始めている。Nationwide Building Societyの調査によると、同銀行のATMにおける取引の49%は、
などのサービス利用となっていた。
Nationwide Building Societyの調査結果は、カード発行・支払い処理サービスベンダーのMarqetaが2022年9月に発表した「State of Credit Report」の結果とは対照的だ。Marqetaは米国、英国、オーストラリアの4000人を対象に調査を実施。その結果によれば、消費者はクレジットカードの利用を増やし、自分の資産をもっとうまく管理しようとしていた。
消費者は生活費の高騰に対処するために、クレジットカードの利用に目を向けている。Nationwide Building Societyの調査では、回答者の57%は過去1年間に家計のやり繰りのためにクレジットカードを使っていた。
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