紅茶の老舗Twiningsが「Rise with SAP」を使う理由と“クラウドERP”の魅力ERPをクラウド移行するときの勘所は

紅茶の老舗企業Twiningsは、ERPシステムのクラウド移行に当たって「Rise with SAP」を導入した。クラウド移行やRise with SAPの利用における同社の狙いとは。

2023年02月10日 05時00分 公開
[Brian McKennaTechTarget]

 紅茶の老舗ブランド「Twinings」を手掛けるR. Twining and Company(以下、Twinings)は、SAPの「Rise with SAP」を導入した。Rise with SAPは、SAPがERP(統合業務)システムのクラウド移行を支援するサービス群だ。TwiningsはRise with SAPを利用してどのようなクラウド移行に取り組むのか。

Twiningsが「Rise with SAP」の導入で獲得したい変化とは

 TwiningsがRise with SAPを導入することについて、SAPが発表したのは2022年1月のことだ。Rise with SAPで、SAPはTwiningsに以下をまとめて提供する。

  • クラウドインフラの運用管理や保守業務の実施
  • インメモリデータベース(メモリ上にデータを保存するデータベース)「SAP HANA」を利用したERPシステム「SAP S/4 HANA」
  • 調達・購買システム「SAP Ariba」
  • データの管理や分析、人工知能(AI)の機能を持つPaaS(Platform as a Service)「SAP Business Technology Platform」(SAP BTP)

 財務や製造、物流など、事業を支える中核機能の最新化を迅速に実現するためにTwiningsはRise with SAPを導入した。業務プロセスとして例えば以下をRise with SAPで自動化することを通じて、同社の顧客との関係強化や製品の満足度向上、サプライチェーンの効率化を見据えているという。

  • 茶葉に関するデータの即時読み込み
  • 販売や在庫、生産工程に関するデータをリアルタイムに近い状態で可視化

 Rise with SAPの利点について、TwiningsのCIO(最高情報責任者)を務めるサンディープ・シーリパット氏は次のように語る。「社内の既存のデータや業務プロセスを活用して、当社のビジネスに変革をもたらし、顧客満足度を向上させる仕組みを構築できる」

 欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域北部でRise with SAPの市場参入戦略を統括するサイモン・カーペンター氏は、ユーザー企業がクラウドERPに魅力を感じる理由を次のように説明する。「ベンダーが保守や運用といった作業を引き受けることで、ユーザー企業の従業員はデータから洞察を引き出すことや、その洞察を業務に生かすことに集中できる」

 カーペンター氏は、クラウド移行を進めるには、新しい考え方が必要になると指摘する。「移行を考える際は先入観を捨てて、データや業務プロセスの統合や、システムの拡張といった作業を進めることが重要だ」(同氏)

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