Web2.0、大衆表現社会がもたらす文化変容問題IT変革力【第12回】

Web2.0により大衆=市民は特別な技術を知らなくても膨大な量の情報や知識を表現し、蓄積できるようになりました。しかし、知識や情報を大量に蓄え、溜め込むことは社会にとって良いことばかりとは限りません。Web2.0という大衆表現社会は、文化や企業にどのような変化をもたらすのでしょうか。

2006年08月18日 09時46分 公開
[TechTarget]

 今回は、ちょっと高い視点からWeb2.0のもたらす社会的なインパクトを考えてみたいと思います。Web2.0によりライセンス重視からITサービス重視に力点がシフトする結果、IT業界においてはますます標準化(オープン化)が進むとか、そう言った話は横に置いておきましょう。今回はWeb2.0を大衆表現社会と捉えて見たいと思います。

Web2.0は大衆表現社会をもたらす

 皆さんはCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)をどのように理解されているでしょうか。これは社会学的にはネットが大衆表現社会をもたらす、という風に捉えることができます。HTMLとかXMLと言った特別なプログラムを知らなくても、市民はプロフィール=簡易個人ホームページを作ったり、ブログや動画ブログ、SNSで情報発信できるため、膨大な量の情報や知識が文字、音声、動画などの形でインターネットやイントラネット上で大衆=市民により表現され、蓄積される時代が到来したのですね。

 筆者も最近、動画ブログのYouTubeを見ていると、著作権の問題は別にしても確かにそういった感を強くしています。

 YouTubeには、例えば以下のようなとんでもないお宝動画が登録してあり、驚愕しました。

▼演説 三島由紀夫 防衛庁突入の瞬間

▼イムジン河 ザ・フォーク・クルセダーズ

 このイムジン河は、1968年当時の人気フォークグループであるザ・フォーク・クルセダーズが歌っていたものですが、原作が作曲された北朝鮮からの申し入れによって東芝レコードがレコード出版直前に発売を中止した、いわくつきの楽曲です。それ以来、楽曲演奏そのものが日本社会から抹殺され、ファンの目には全く触れることがありませんでした。

 分かりやすく言えば社会から抹殺された知識や情報が動画ブログであるYouTubeの発達のおかげで蘇った訳ですね。筆者はここにWeb2.0という大衆表現社会の凄さを感じます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news032.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年1月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news087.jpg

Netflix、さらなる成長戦略は「アドテク自社開発」 広告主のメリットは?
Netflixは2024年第4四半期に1890万人の加入者を増加させ、広告収入を前年同期比で倍増さ...

news007.jpg

「THE MODEL」から脱却 それでも売上高5期連続120%以上を維持する私たちがやっていること
マーケティング・セールスの生産性向上を図るため「THE MODEL」を取り入れたいと考える企...