グーグルがYouTube買収を発表し、マスコミ界を中心に米国の著作権に対する見方そのものに衝撃が走りました。一方で、Web2.0というインターネット革命が世界中を震撼させ始めています。この双方が関係して歴史は大きく動き出しているのです。技術論だけではなく経済的な側面からみると、実は大きな一歩が見えてきます。
Web2.0というインターネット革命の新しい妖怪が世界中を震撼させ始めています。しかし、これまでの議論は大部分が単なるIT視点の技術論でしかなく、その経済的な側面に関しては、我が国ではほとんど何も語られていません。そこで本稿では視点を変えて、Web2.0と言われるIT技術の変革が経済面に与えるインパクトを考えてみましょう。
我が国では本年9月にミクシィが上場を果たしました。面白いことにミクシィの収益は、その8割が広告費だけに支えられています。これがWeb2.0経済の一例であると考えられます。
Web2.0の経済面からの特徴は、インターネット上で自己表現をする大量のボランティアと広告料に支えられた無料経済であると考えられます(欧米では無料経済という認識はかなり広まり始めています)。
英語ではCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)と呼ばれる大衆表現社会が、Web2.0のボランティア的な側面をよく表しています。Web技術の発達の結果、インターネット上で穏やかな環境が出現し、多数の市民による自己表現や社交が簡単になり、飛躍的に進み始めています。ブログやSNSブログなどの投稿をはじめ、消費者市民により知識や情報、音楽、動画などが、どんどん無料で提供され始めています。
またWeb2.0は消費者視点で見れば、広告費に支えられた無料経済です。いろいろな予測がありますが、2010年ごろまでには広告費のおおむね10%がマスメディアからインターネットにシフトすると考えられています。世界中の広告費は総額約50〜55兆円といわれているので、その1割がインターネットにシフトしても大変な金額です。
そして、このお金はボランティアによる無償投稿を支えるだけでなく、これまで著作権に守られてきたプロフェッショナルが作成し、企業が販売する書籍や音楽、映画、地図、ビジネスソフト、ドラマなど情報系の商品、サービスなどを無料化する圧力を強めています。
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