「重要だが創造的ではない業務」を代行させて人間の業務負担を軽減させるために、さまざまな業界がRPAを導入している。RPAが将来「レガシーシステム」になるとき、高度な自動化を実現させるには何が必要なのか。
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の役割は進化し、人工知能(AI)技術を用いた高度な業務自動化である「インテリジェントオートメーション」を実現できるだけの幅広い機能を持つ製品が登場するようになった。そうなると「RPAに期待すること」はどう変わるのだろうか。RPAに対して「単なる反復作業の代行技術」というレッテルを貼ることはできなくなるのではないか。
「AI技術を用いた高度な業務にRPAを取り入れることで、人間と機械のより良い融合に至る扉が開く」。コンサルティング会社Deloitte Consultingのインテリジェントオートメーションチームのパートナー、デビッド・ライト氏はこう説明する。人間と機械がより良い融合を果たすことで、RPAに対する人間側の価値観が変わる、と同氏は考えている。
さまざまなトランザクション処理があり、システム連携をはじめとしたレガシーシステム特有の課題を抱えている企業は、RPAやインテリジェントオートメーションなどの技術を「潜在的なボトルネックを克服する方法」だと考えて期待を寄せる可能性がある。レガシーシステムを最新のアプリケーションに置き換えるための十分な資金がない企業は珍しくない。その場合「インテリジェントオートメーションが、レガシーシステムの最適化や自動化を実現する方法になる」とライト氏は話す。
「インテリジェントオートメーションによって、個々のRPA導入が連携しない問題も解決できる」と話すのは、RPAベンダーLaiyeの欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当ゼネラルマネジャーであるニール・パーカー氏だ。パーカー氏の説明によれば、ナレッジワーカー支援のために複数の業界がRPAを導入して、耐え難い管理作業からナレッジワーカーを解放している。
パーカー氏は「デジタルトランスフォーメーション(DX)が進むにつれ、RPAでさえもレガシーになる」と指摘する。「レガシーになるRPAを、現代の従業員が要求する業務のレベルに引き上げるために、インテリジェントオートメーションは本当に役に立つ」(同氏)
「顧客サービス担当者の膨大な問い合わせ業務のように『重要だが退屈で、創造的ではないプロセス』に大きく依存している業界は、インテリジェントオートメーションの導入に最適だ」とパーカー氏は付け加える。ソフトウェアロボットは、終わりの見えない事務処理を肩代わりして従業員の負荷を軽減する。「担当者の代わりに業務の優先順位付けや分類をしたり、問い合わせチケットをクローズしたりすることで、担当者はより複雑で興味深いタスクに向かうことができる」(同氏)
RPAにとっては興味深い時代になってきた。調査会社Gartnerの評価レポート「Magic Quadrant」(マジッククアドラント)で、UiPathやSalesforce(MuleSoft)、Microsoft、Automation Anywhere、Pegasystemsといったベンダーが頻繁に取り上げられている。これらのベンダーは、次の変革の機会としてインテリジェントオートメーションに目を向けている。
第3回は、「RPAに関心を寄せる意外な業界」の動向について、RPAベンダーの見解を紹介する。
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