「5G SA」「ネットワークスライシング」といった技術は、ホテル業界の未来にどのような影響を与えるのか。スペインのホテルチェーン大手が実践する、先進的な取り組みを紹介する。
スペインでホテルチェーンを運営するMelia Hotels Internationalは、ホテル内で「5G」(第5世代移動通信システム)のネットワークを活用するため、通信事業者Telefonicaや通信機器ベンダーEricsson、半導体ベンダーIntelなどと連携して取り組む。具体的にどのようなサービスの実現を目指しているのかを紹介する。
Melia Hotels Internationalは同社の系列ホテルMelia Madrid Serranoで5Gネットワークの試験運用を実施する。利用するインフラには、5Gの設備だけで構成する「SA」(スタンドアロン)の他、「4G」(第4世代移動通信システム)の設備を一部に利用する「NSA」(ノンスタンドアロン)も含まれる。
こうしたインフラに加えて、Melia Hotels Internationalはネットワーク回線を複数の論理ネットワークに分割する技術「ネットワークスライシング」を利用する。ネットワークスライシングを使うことで、同社は次のようなサービスの品質を保証できるようになると見込む。
今回Melia Hotels Internationalが実施する試験運用では、同時通訳サービスの運用を試みる。データが発生する場所の近くでデータ処理をするエッジコンピューティングと5Gを利用することで、会話やメッセージが即座に翻訳される効果が期待できる。
同時通訳サービスの対象言語は、書き言葉については約80カ国語、話し言葉については約28カ国語となっている。共通言語を持たない人同士の会話をデバイスがリアルタイムに翻訳し、相互理解を促進する。会話の内容をスマートフォンにテキストで送信する機能もある。
5G SAやネットワークスライシングを用いることで、従来よりも高速で安定したネットワーク接続を宿泊客に提供できる可能性がある。Melia Hotels InternationalでIT担当のバイスプレジデントを務めるクリスチャン・パロミノ氏は「当社は先進的な技術を使い、宿泊客の期待を上回るサービスを提供していきたい」と話す。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「TikTok禁止」は結局、誰得? どうするトランプ氏――2025年のSNS大予測(TikTok編)
米国での存続を巡る議論が続く一方で、アプリ内ショッピングやAI機能の拡大など、TikTok...
ネットの口コミを参考に8割超が商品を購入 最も参考にした口コミの掲載先は?
ホットリンクは、口コミ投稿の経験や購買への影響を調査した結果を発表した。
「生成AIの普及でSEOはオワコン」説は本当か?
生成AIの普及によりSEOが「オワコン」化するという言説を頻繁に耳にするようになりました...