戦渦のウクライナで事業を継続するIT企業、それぞれの「信念」ウクライナIT企業の「経済的存続」を懸けた戦い【前編】

戦渦に巻き込まれながら、ウクライナのIT企業は目の前の仕事に最善を尽くそうとしている。安全な地域に移転して事業を継続する、それぞれの企業の信念とは。

2022年05月02日 10時00分 公開
[John MooreTechTarget]

 ウクライナでソフトウェア開発やコンサルティングを手掛けるIT企業は、戦渦に巻き込まれ、経済的存続を懸けて戦っている。2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が続く中、ウクライナのIT企業は、業務継続のためにできる限りの力を尽くしてサービスを提供し、人材を雇用し、新規顧客との契約を結び続けてきた。そうした企業は、自社の仕事が国家への貢献になると考えている。

ウクライナで事業継続を目指すIT企業、それぞれの「戦い」

 「私にとっては第二の戦線のようなものだ」。ソフトウェア開発・コンサルティング企業Softjournのマネージングディレクター、セルギー・フィトサック氏はそう話す。同社は米国、ポーランド、ウクライナに拠点を持ち、ウクライナには研究開発センターがある。「第二の戦線はウクライナの経済を支えるためにある」とフィトサック氏は言い切る。「ウクライナで戦争前と同じ範囲で業務を続けている産業は、ITをはじめとする技術産業だ」(同氏)

 ソフトウェア開発企業のDataArt Solutionsは、米国、英国、アルゼンチン、北欧の他、ウクライナを含む東欧諸国で事業を展開している。同社の共同創業者でマネージングディレクターのアレクセイ・ミラー氏によると、DataArt Solutionsのウクライナの従業員は2022年3月時点で約70%が業務を続けていた。

 「誰もが今、目の前の仕事に最善を尽くそうとしている」とミラー氏は言う。ウクライナで業務が継続できていることについては「驚くべきことだ」と、同氏は現地スタッフを称賛する。「仕事は平常に通じる道であり、平常心を思い起こさせてくれるものでもある」と同氏は語り、現地での業務継続の重要性を訴える。「彼らは生計を立てるために、そして、これからもっといい日が来ると自分に思い出させる機会として、仕事を利用している」(同氏)

 戦争の悲劇から目をそらす「気晴らしとしての仕事」は、Softjournにも通底している。従業員のモチベーションはそれぞれだが、フィトサック氏によれば「ただ悲惨なニュースを読みたくないという理由で仕事を続ける従業員もいる」。生産性は戦争前と同程度か、向上していると同氏は言い添える。


 中編は、ウクライナおよびロシアにおけるIT人材の移転状況と人件費への影響について、DataArt Solutionsの事例とともに紹介する。

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