セカンドライフの仮想世界が、なぜ企業を魅せるのかIT変革力【第26回】

米国で始まった仮想のビジネスでの売買ができるセカンドライフが、日本でも注目され始めました。米国では、有名企業が続々と企業として参加しています。参加企業にとって、セカンドライフの魅力とは何なのでしょうか。これから日本語版の公開が決定しているセカンドライフに着目しました。

2006年11月21日 19時52分 公開
[TechTarget]

 米国で始まった3次元オンラインゲームの発展型であるセカンドライフが、我が国でも注目されています。米国のリンデンラボが運営するセカンドライフとは、従来のゲームのように決まったシナリオはなく、参加者は皆、アバターを活用して自己表現を行い、土地を買い、いわばパワーポイントの三次元部品を組み合わせたようなビルを建ててオフィスを作り上げ、お互いが3Dコンテンツ販売のビジネスを行うという、参加者により全体のシナリオが作られる仮想世界の遊びです。仮想のビジネスでの売買はリンデンドルという仮想通貨によって行われ、実際のドルとも交換できるRMT(リアルマネー・トレード)が普及し始めています。

ビジネスの可能性を秘めた仮想世界

 この仮想世界の遊びに一般企業が参加を始めました。その裏にはマスメディアからインターネット、特にソーシャルメディアへの広告費のシフトの波があります。セカンドライフは、その中でのキラーアプリケーションの1つになるかもしれません。

 マスマーケティングの曖昧な効果に疑問を持つ企業がインターネットに広告費をシフトする流れは、日米共に加速する勢いですが、その一部がセカンドライフの仮想世界型オンラインゲームに向かい始めました。ボランティア的な参加者の大衆表現とインターネットにシフトする広告費の支えるWeb2.0型の経済が、ゲームの世界にも進出を始めたと考えられます。

 米国では2005年春、動画サイトのYouTubeが登場した時と同じような現象として捉えられているようです。

 2003年にサービスを開始したセカンドライフは、2006年春頃には参加者数が約10万人でしたが、その後、経営雑誌のビジネスウィーク、経済新聞のウォールストリート・ジャーナル、英国BBCなどに取り上げられ、すっかり有名になりました。その結果、現在、毎月38%ずつ参加者数が増えています。一般参加者とともに企業の参加数が増え始めている点にマスコミも注目しています。セカンドライフでは、誰でもビジネスパートナーとして登録すればプロジェクトを立ち上げることができます。その結果、内部で土地の販売や情報提供、アバターの服装部品や建物部品の販売などが行われています。

 特に1ドル=280リンデンドルといった現実の通貨と変動型交換レートを設けるなど、ビジネスの仕組みに熱心なのも特徴の1つです。1日に50万ドル以上が内部で使われていると言われています。

 筆者の見立てでは、セカンドライフの仮想世界は単なるゲームの延長ではありません。バーチャルリアリティによる住宅や商品のデザイン販売に繋がる新しい21世紀型マーケティングに発達する可能性があるからです。

 うまくいけばオタクのゲーマーだけの狭い世界だけではなく、一般の消費者にアピールしそうです。

企業も続々と進出している理由は

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