「スループットが改善するよ」派と「高いよ」派
SMBが10ギガビットイーサネットへ移行するメリットはあるのか?
10ギガビットイーサネットに移行する中堅・中小企業も現れ始めた。だが、本当にコストに見合うメリットは得られるのか? 移行に成功した企業、コスト面からメリットを見いだせない企業の意見を聞いた。
従業員200人の金融サービス企業でIT担当者を務めるウルフガング・ゲーリック氏の場合、10ギガビットイーサネット(10GbE)への移行には何の障害もなかったようだ。
「他の多くの企業と同様、当社も3年の更新サイクルでITを運用している。2010年はプライベートクラウドの本格導入に伴ってさまざまな可能性を検討し、帯域要求の増大に対応するための重要な基盤が10GbEだと判断した」とゲーリック氏は語る。
それから8カ月後、同氏はこの選択に満足しており、同社で10GbE技術が順調に稼働しているという。
「10GbEの導入だけでなく、サーバとネットワークカードも同時に入れ替えたことも貢献した」と同氏は打ち明ける。これにより、システムインタフェース、スループットそして10GbEが提供する伝送能力の間で最大限の互換性が実現されたからだ。
ゲーリック氏によると、10GbEの導入作業はスムーズに進んだという。
「導入作業を開始したのは1年近く前だ。1つだけ苦労したのは、光ケーブルではなく既存の銅線をそのまま使うことにしたことだ。そのために調整作業が必要となった他、機器同士の距離も制限された」と同氏は話す。
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しかしコストをめぐる懸念が依然として、中小企業の間での10GbEの普及の障害となっているのが実情だ。
米Cisco Systemsの中小企業技術グループでプロダクトマネジャーを務めるアイバー・ディードリクス氏によると、10GbEの低価格化が進んでいるが、まだ相対的に高価な技術であり、中小企業の間では普及が進んでいないという。
ディードリクス氏は米Infonetics Researchの数字を引き合いに出し、「2010年には10GbEの1ポート当たりの価格が22%低下した」と述べた。この傾向は数年前に始まったもので、今後の普及拡大につながる可能性があるという。
中小企業の場合、短期的には10GbEの導入は、サーバ、ストレージ機器およびこれらを接続するスイッチといった部分に限定されるとみられる。また、スイッチ間のバックボーン接続用として利用される可能性もある。「しかしデスクトップに10GbEが導入されるのは、何年も先のことになるだろう」とディードリクス氏は予想する。
一方、中小企業への10GbEの普及に関して楽観的な見方をする人もいる。
米Proteus Networksのジョー・ソリセリーCEOによると、中小企業では10GbEが短期的かつ長期的なメリットをもたらすという単純な理由で同技術にステップアップしているという。
「10GbEは既に成熟した技術であり、ハードウェアベンダー各社は5年以上も前からこれをサポートしている。ユーザーのニーズに対応する形で10GbEポートはネットワークのあらゆる部分の機器に進出しつつある」と同氏は語る。
ソリセリー氏によると、大企業では10GbEによるスループットの改善と遅延の減少というメリットがある。アプリケーションの帯域要求が増大するのに合わせて、ユーザーとコンテンツとの間に存在するコアネットワーク機器には、このトラフィックを処理する能力が求められるという。
「大企業の場合は、10GbEネットワークリンクの配備によるメリットは大きい。それに、最近のネットワークデザインの多くは、従来のアクセス、ディストリビューション、コアという階層モデルからアクセス/コア型モデルに縮小しつつある」とソリセリー氏は指摘する。
同氏によると、この変化はネットワークの運用オーバーヘッドと複雑さの軽減をもたらすものの、機器間のトラフィックを処理するコアレイヤーでは10GbEのニーズが一層高くなり、データセンターとの間を行き来するトラフィックも増大するという。
「しかしSMB(中堅・中小企業)にとっては、10GbEポートの値段は決して安くない」(同氏)
コストの一例として、ソリセリー氏は米Juniperのスイッチに搭載されている光インタフェースの価格を挙げた。1GbEのショートレンジポートの価格が約500ドルであるのに対して、10GbEのショートレンジポートの価格は1500ドルだ。同氏によると、価格に影響する要因としては、その他にもシャーシやラインモジュールなどがある。
しかし縮小型ネットワークデザインと組み合わせた場合、ディストリビューションレイヤーの多数の1GbEポートをなくすことによるコスト削減が10GbEポートの購入後の全体的なコスト削減につながる場合も多いという。
「私個人の考えでは、自社でサーバを運用している全ての企業が、社内ネットワーク用に10GbEリンクを検討すべきだと思う。サーバとの接続用だけでも意味がある」とソリセリー氏は語る。「アプリケーションの帯域幅要求が減少することはない。それどころか、携帯電話やタブレットの爆発的普及に伴って指数的に増大しているのが現状だ」
同氏によると、10GbE技術で面倒なのは、接続に使用するポートコネクタに関連した部分だという。ほとんどの10GbEポートは光ファイバー接続を採用しているため、使用するファイバーケーブルにポートコネクタが適合する必要があるのだ。
また、10GbEポートの多くはギガビットインタフェースコンバータ(GBIC)を使用するため、GBICの要件も重要だという。汎用型のGBICをサポートするベンダーもあれば、そうでないベンダーもあるからだ。
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