米TechTarget IT給与満足度調査【後編】
米国CIOの転職理由は? 給与満足度との関係は?
米TechTargetが実施した読者調査により、米国のIT幹部の転職理由が明らかになった。面接でよく聞く「新しいことに挑戦したいから」の本音はやはり……?
前編「2011年はCIOの年収がダウン──CIOの適正年収は?」では、CIOをはじめとする米国のIT幹部の年収が明らかとなった。後編となる今回は、彼らがこの待遇をどう思っているのか、転職理由や給与満足度から分析する。
CIOは待遇に不満
東カロライナ大学でITディレクターを務めるジョエル・スウェット氏が予言する人材の大量流出は既に始まっているのかもしれない。調査の回答者によると、上級IT幹部が退職する最大の理由は、より給料の高い企業に転職するためだ。2011年に転職した上級IT幹部および中堅IT幹部のほぼ半数(45%)は「より高い給与水準を求めたため」と答えている。社内の組織再編も転職の大きな理由となっており、「合併あるいは買収で仕事がなくなった」と答えたのは転職者の15%、「レイオフの対象となった」という回答は3%だった。「新しい上司が気に入らかった」という回答もあった(1%)。転職希望者が面接で理由を聞かれたときに最も多い答えは「新しいことに挑戦したいから」というものだが、今回の調査ではそれを理由に挙げた人は少なかった(12%)。一方、「仕事への不満」という曖昧な理由を挙げた人もいた(9%)。
「『自分は給料をもらい過ぎている』と本心で思っている人などいないだろう」と航空宇宙・防衛分野の米企業のIT担当副社長は皮肉まじりに話す。「私の場合もそうだが、人材流出の最大の原因は給料や賞与が上がらないからだ。景気回復で業績を伸ばす企業が出てくれば、人材の需給バランスが落ち着くまで求人需要が高まるのは間違いない」
メッセージングサービスを専門とする米企業の上級ITディレクターは次のように語る──「これは驚くような状況でない。当社でもこの4カ月で優秀な従業員が7人も去った。2008年および2009年の景気下降以来、各社とも給与の凍結や削減を行ってきた。CIOや上級IT幹部たちはボーナスやストックオプション、401k(確定拠出年金)の受給額が削減される一方で、責任は増大している。度重なる人員削減のあおりを受けて、同じ給与でより多くの仕事を担当せざるを得なくなったからだ」
このような人材流出は不景気を反映したものかもしれないが、景気の状況にかかわらず見受けられる雇用市場の一側面にすぎないという見方もある。米サンタクルーズ郡銀行のジェイミー・マンリケス上級副社長権CIOは「ほとんどのIT幹部は『現在の給与レベルに十分満足していない』部類に入る。少しでも高い給料を常に求めるのは人間の本性ではないだろうか」と話す。「しかし、お金は幸福や仕事への満足度と必ずしもイコールではないことを、私はキャリアの早い時期に学んだ」
CIOの給与に対する満足度
これまでの調査でも、給料に不満を感じている回答者は少なくなかった。2011年の年間給与総額について「やや不満」あるいは「大いに不満」と答えた人は36%だったのに対し、前年の調査ではその数字は37%だった。逆に前年の調査では、給与総額に「非常に満足」あるいは「満足」と感じていた人は44%だったが、今回の調査ではその比率が1ポイント減少した。
給与に対する満足度は転職動向を占う重要な指標であるが、CIOたちは自分の仕事に対する満足度を大きく左右する要因は他にもあると主張する。「私の仕事に対する満足度は給与明細書に書かれた金額とあまり関係がない」と米Alfa Mutual Insuranceで社内プロジェクトガバナンスを担当するジム・マダリス副社長は話す。「私にとって大切なのは仕事の環境だ。変化に対する柔軟性、戦略の策定と実行の権限が幹部に認められているか、データに基づく意思決定主義がポリシー策定に貫かれているか──上級幹部にとってはこういったことが日々の充実感を与えてくれる大きな要因なのだ」
アリゾナ州にある企業でCIOを務めるアイアン・フレミング氏も同じ考えのようだ。CIOの給与は仕事への満足度にとって最も重要な要素ではないという。「私の場合、すごい目的を持っているのだという気持ちが仕事への意欲の源泉となっている。誰もやらなかったことを私のチームが達成したとき、全国的な業界カンファレンスで皆がわれわれの話に熱心に耳を傾けたとき、あるいはわれわれが推進する技術を導入したことで業務コストを削減できたとき──私がやる気をかき立てられるのは、そんなときだ」
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