リモートコラボレーション実現の一手
「悪名高い」SharePointを快適にするWebコンテンツ最適化技術
Webベースのファイル共有ソフトウェアやコラボレーションソフトウェアが普及する中で、アクセス環境によるパフォーマンスが気になる人は多いだろう。SharePoint Serverを例にWebコンテンツ最適化技術の効果を解説する。
近年、WANは帯域幅を大量に消費するプラットフォームやアプリケーションの問題にそれなりに取り組まなければならなくなってきている(関連記事:WAN高速化装置の導入効果が得られる条件とは?)。またWebベースのファイル共有ソフトウェアやビジネスコラボレーションソフトウェアのプラットフォームがよりリッチになる中で、Webコンテンツ最適化は世界規模でビジネスを行うマルチサイト企業にとって必須項目となっている。
とりわけ、企業が関心を抱いているのは米MicrosoftのSharePoint Serverの最適化技術だ。プロトコルの最適化や圧縮、重複排除などを用いてWANリンクの効率向上を図るWAN最適化技術は多くのベンダーが提供している。だが、そうした技術の中には、Webベースの企業向けアプリケーションの基底にあるHTMLコードの非効率性の問題を解消するものは少ない。
ユーザーは中央のデータセンターからますます遠く離れ、こうしたデータ集約的なWebベースのアプリケーションで高いレイテンシを体験するようになってきている。既に数社のベンダーから、WebサーバからブラウザにHTMLをロードする方法を変えることでWebベースアプリケーションの効率改善を目指すWebコンテンツ最適化製品が提供されている(関連記事:カタログでは分からないWAN高速化製品の「実力」の見方)。
Webコンテンツの最適化技術でコラボレーションを促進
カナダのStrangeloopや米Akamaiといったベンダー数社は、Webページとブラウザ間の通信効率の向上を目指したWebコンテンツ最適化製品を提供している。WAN最適化ベンダーの米Riverbed Technologyも2011年にニュージーランドのAptimizeを買収し、この市場に参入している。
Webコンテンツ最適化技術にはさらに、企業向けアプリケーション、とりわけSharePoint Serverの最適化の効果を期待できる。SharePoint ServerはWebベースの企業向けコラボレーションおよびファイル共有アプリケーションだ。米Forrester Researchのアナリスト、アンドレ・キンドネス氏によると、SharePoint Serverは「画像やスクリプトのリクエストをサーバとユーザーの間で往復させ、WANを圧倒させることで悪名高い」という。
Riverbedの上級製品マネジャー、ナビン・プラブ氏によると、同社のWebコンテンツ最適化製品である「Stingray Aptimizer」はSharePoint ServerやSalesforceといったコンテンツリッチなコラボレーションアプリケーションをWAN全体にわたって最適化できるよう強化されているという。
「Webユーザーがカフェや自宅からSharePoint Serverにログインするときに、ログインやページのロードを待たなければ作業に取り掛かれないのはよくない。Stingray AptimizerはMicrosoftのWebサービスに直接追加できるサーバ拡張機能のようなものだ。SharePoint Serverなどのプログラムができる限り帯域を消費しないよう手助けできる。消費する帯域が減るということは、ダウンロードもより容易になるということだ」とプラブ氏。
Forresterのキンドネス氏によれば、Stingray AptimizerはWAN経由でファイルが送信される方法やサーバへのアクセス数を整理統合することで、帯域幅に関する企業の懸念を軽減できるという。「SharePoint Serverのインタフェースは複雑な方法で構築されているため、WAN経由での転送に多くの時間がかかる。あちこちでレイテンシが起きている」と同氏。
米デューク大学の非営利支援団体であるDuke Corporate Educationは最近、SharePoint Serverの最適化のためにStingray Aptimizerを導入した。幹部教育プログラムを手掛ける同社のビジネスは世界の4つの大陸にわたっており、スタッフの過半数がSharePoint Serverを使用しているという。
SharePoint Serverには多数のオブジェクトが含まれており、ユーザーにページを表示するためには、そうしたオブジェクトをブラウザまで送信する必要がある。「デューク大学のノースカロライナ州のデータセンター内のSharePoint Serverに国外からアクセスするユーザーにとっては、時間のかかる処理だった」とDuke Corporate Educationのシステムアーキテクトを務めるエリック・ロジソン氏は言う。
「Stingray Aptimizerを導入するまで、ユーザーにとってSharePoint Serverは非常に遅くて魅力のない存在だった。AptimizerはクライアントブラウザがSharePoint ServerのWebサーバからページをレンダリングするのに必要なラウンドトリップの回数を減らしてくれる」と同氏。
さらに同氏によると、サーバとのラウンドトリップの回数が減るだけでなく、Webページの圧縮も行われるという。「Aptimizerには、Webサーバまでオブジェクトを取りに行くのに必要なラウンドトリップの回数を減らすためのあらゆる要素がパッケージされている」と同氏。
ネットワーキングとアプリケーション開発の世界を橋渡し
Webベースのエンタープライズアプリケーションがより広く普及し、企業ユーザーがリモートオフィスからこうしたアプリケーションにアクセスするようになる中、業界でもWebコンテンツ最適化技術に対する注目が高まっている。キンドネス氏によると、RiverbedやStrangeloopなどのベンダーはネットワーキングの世界とアプリケーション開発の世界の間の断絶を埋めることを目指しているという。
「ネットワークエンジニアとアプリケーション開発者の間には、双方が互いの技術を理解していないという長年の問題がある」と同氏。アプリケーション開発者はユーザー体験を優先して非常に詳細なWebページを構築するが、ネットワーク帯域については必ずしも考慮していないケースが少なくない。
「業界でも最適化の動きが活発だ。多くのアプリケーションがWeb環境へと移行しつつあるからだ。ユーザーはデスクトップではなくWebページにアクセスして、各種のアプリケーションを使うようになっている」とキンドネス氏。
さらに同氏によると、負荷分散やWebアクセラレーションを手掛けるベンダー各社は、別のタイプのソフトウェア最適化技術を用いてWebベースアプリケーションの高速化を図っているという。そしてF5 Networksなど、こうした企業は恐らく独自のWebコンテンツ最適化機能を追加することになる見通しという。「Webインタフェースはソフトウェアごとにわずかながら独自の違いがある。こうしたベンダー各社はそうした差異を埋めることに取り掛かっている」(同氏)
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