パフォーマンスは落ちるのか
悩めるデータベース管理者に贈る「SQL Server仮想化の利点と欠点」
サーバを仮想化することで、事業継続性が向上したり、無駄のないITインフラを構築できるなどのメリットが得られる。だが、まだ多くのデータベース管理者がSQL Serverを仮想化すべきかどうかを迷っている。
仮想化はコンピューティングの主要なトレンドであり、企業にコストやパフォーマンスの面で多大なメリットをもたらす。例えば、サーバの集約、消費電力の削減、仮想開発・テスト環境の容易な構築などだ。このトレンドを受けて多くの企業が、Microsoft SQL Serverの仮想化に興味を持っている。
それにはもっともな理由がある。こうした仮想化環境のメリットのおかげで、事業継続性が向上するだけでなく、データベース管理者(DBA)やIT担当者がアジャイル(俊敏)なITインフラを構築できるからだ。これらのことは、ほぼ全てのIT部門が仮想化を何らかの形で利用している理由でもある。だが、まだ多くのDBAが、SQL Serverインフラを仮想化すべきかどうか迷っており、そうすることでどのようなメリットが得られるのかについて、明確な認識を持っていない。
SQL Serverの仮想化に関する記事
SQL Serverを仮想化するメリット
データベースサーバの集約によるデータセンターの有効活用
SQL Serverの実運用環境は、仮想化によるサーバ集約の恩恵を受ける。物理サーバの台数を大幅に削減でき、それらを集中管理することで負担を最小限に抑えられるからだ。
Hyper-Vの技術によって同じ物理マシンで複数の仮想データベースサーバをホストしながら、それらをOSレベルで相互に完全に隔離し続けることができる。このため、仮想アプリケーションサーバごとに、個別にパフォーマンス、セキュリティ、管理性、事業継続性を管理することが可能だ(関連記事:【事例】眼鏡のHOYA、グローバル化に向けてSAP基盤を仮想化)。また、アプリケーションの必要性に応じて、同じハードウェアで柔軟に複数のOSを動かせる。
これらのことは、使用率の低い複数の物理SQL Serverを1台の強力な物理サーバで仮想化できることを意味する。このアプローチを取れば、管理する物理サーバの台数を抑えられる。これは管理の簡素化や、オペレーション、メンテナンス、ハードウェアのコスト削減、データセンターの省スペース化につながる。
ライセンス・運用コストの削減
上で述べたように、物理データベースサーバの台数を減らすことで、データセンターの運用コストを削減できる。電力と冷却の要件が軽減されるおかげだ。
さらに、SQL Server環境の仮想化によって、ライセンスコストも大幅に抑制できる。必要なライセンス数が減るからだ。例えば、OSとユーティリティソフトウェアのライセンスは物理サーバごとに要求されるが、物理サーバの台数を減らせばこれらのライセンスの必要数も少なくなる。
ライセンスコストは、仮想化に使われるソフトウェアや技術にも左右される。例えば、Windows Server 2008 R2 Hyper-Vを使えば、仮想化ソフトウェアを別途購入する必要がない。プレミアムエディションのライセンスを利用して、ライセンスコストをさらに削減することもできる。具体的には、物理サーバ用にライセンスを購入し、それらの物理サーバを使って、SQL Serverの多くのインスタンスを仮想マシンで実行する。
ただし、Windows Server 2008 Enterprise Editionのライセンスを取得した物理サーバではホストできる仮想マシンの台数に制限はないが、Windows Server 2008 Standard Editionのライセンスを取得した物理サーバでは仮想マシンを3台しかホストできない。このことに留意する必要がある。
仮想化のライセンスに関する記事
集中化による管理性の向上
前述したように、SQL Server環境を仮想化することで、管理が簡素化される。リモートデスクトップやSystem Center Virtual Machine Managerのようなツールを使い、仮想マシンを1カ所から管理できるからだ。こうしたツールは、DBAやIT担当者が物理および仮想インフラを中央から管理するのに役立つ。
高可用性およびディザスタリカバリソリューションの向上
SQL Server環境の仮想化により、高可用性機能とディザスタリカバリ(災害対策)機能が強化される。例えば、SQL ServerのAlwaysOn機能を利用して、Hyper-Vが動作する物理ホストのクラスタリングや、仮想HDDのバックアップ、ゲストOSのクラスタリングの実装が行える。これにより、SQL Serverインスタンスの障害など、仮想インフラの障害から環境を保護できる。また、データベースミラーリングを利用して、重要なSQL Server環境を共有ドライブの障害から保護することも可能だ。
SQL Serverを仮想化するデメリット
スケーラビリティとパフォーマンス
仮想化はほとんどの状況に適しているが、全ての状況に合うソリューションではない。例えば、CPUやメモリの使用が多いSQL Serverを仮想化するのは得策ではない。また、仮想化を行う場合、より多くのハードウェアリソースが要求されることは知られているが、問題は、どれだけのリソースが必要になるかを前もって見積もるのはほぼ不可能なことだ。
SQL Serverが仮想化されると、パフォーマンスが低下するケースも指摘されている。仮想化環境におけるSQL Serverのパフォーマンスのベンチマークを適切に行い、このソリューションを注意深くテストしてから、実運用環境に導入することが望ましい。
単一障害点
耐障害性は、SQL Server環境の仮想化におけるもう1つの問題だ。ホストでハードウェア障害が発生すると、そのホスト上で動作している全てのゲストがダウンしてしまうからだ。この問題はホストをクラスタリングすることで解消される。
セキュリティ
仮想化されたSQL Server環境ではセキュリティも懸念事項だ。ホストのセキュリティが侵害されると、そのホスト上で動作している全てのゲストのセキュリティも侵害されることになる。
ソフトウェアサポート
ソフトウェアベンダーは、自社のアプリケーションが使用するデータベースをユーザーが仮想化環境でホストしている場合、そのアプリケーションをサポートしないことがまだ多い。
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