仮想化のメリットは既に周知の事実だが、集計・分析用途のシステムを仮想化する際には十分注意が必要だ。Microsoft SQL Serverを例に、仮想化が必ずしも正解とはならない3つのケースを紹介する。
仮想化技術がより洗練されるとともに、Microsoft SQL Serverインスタンスを仮想サーバへ移す動きに、これまでにないほどのインセンティブが生まれている。物理サーバの数が減れば電力消費やライセンス料が削減でき、マシンが仮想化されるためシステム管理も容易になる。良いことずくめだが、一方でMicrosoft SQL Serverの仮想化が必ずしも利益をもたらさないケースがあることも事実だ。
CPUを別にすれば、データベースのパフォーマンスに影響を及ぼす唯一最大のリソースは、ディスクI/Oだ。1つのMicrosoft SQL Serverインスタンス──あるいは複数のインスタンスでも──に特化した物理サーバの場合、I/Oのボトルネックを改善することは比較的容易である。IOPS(1秒当たりの入出力オペレーション)の観点からコスト効率が良ければ、ディスクを高速なタイプにしたり、HDDをSSDに切り替えたり(関連記事:HDDのI/Oスループットを改善するSSD配置方法)、あるいはRAMを追加してバッファを増やすなりすればよい。ただし、トレードオフはコストだ。そうしたアップグレードは決して安くない。
Microsoft SQL Serverを仮想化する場合、ハードウェアは移植する元のハードウェアと同等かそれ以上に高性能であるか、データベースパフォーマンスが十分なものでなければならない。それはI/Oについても同様で、最も望ましくないことはヘビーユースのデータベースに必要なI/O帯域幅を他のものとシェアすることだろう。この問題を改善する方法は幾つかある。例えば、データベースのストレージを他の仮想マシン(VM)から分離した物理ディスクとI/Oチャネルに置くなどだ。しかし、それらはVMに移行する前に行っておかなければならない。
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