スマホに続き、メーカーの殿様商売を助長
タブレット端末のバッテリー交換不可は許せる? 許せない?
高機能なモバイル端末に限って、バッテリーの寿命が短い。多くのユーザーがこうした不満を持つ中、近年人気を集めているタブレット端末の多くが交換用バッテリーを提供していない。その理由とは?
システムの修理は、PCの世界ではいつも冒険だ。OEMの保証規定では、ケースを開けて中をいじるのは望ましくないこととされている。しかし、その一方で、健全な拡張ボード市場や盛況なホワイトボックス/自作市場もある。これらの市場は技術に詳しく、PCの内部を自力で探索できる人向けだ。
対照的に、スマートフォンやiPodのようなモバイル端末は大抵、厳重に密閉されており、ほとんど筐体を開けられない。幸運な場合は、バッテリー交換ならできるかもしれない。
比較的新しく市場に登場してきたタブレット端末は、筐体の開けやすさに関してはスマートフォンの傾向に近いようだ。iPadが厳重に密閉されていて、中を触れないのは意外なことではない。米Appleの最新のMacBookも同様で、顧客はバッテリーを交換できない(関連記事:タブレット端末が企業にもたらす課題とチャンス)。
しかし、業界全体がAppleに続こうとしている。米ZDNetは最近、タブレット端末や一部のUltrabookで中を触れない傾向が進んでいると指摘している。
米MicrosoftのSurface Proがその象徴だ。オンライン修理サイトの米iFixItが容赦なく分解したおかげだろう。iFixItは毎月、複数の端末を分解しており、Surface ProがiPadよりももっと中をいじりにくいことを発見した。Surface Proでは90本以上のねじや大量の接着剤が使われていたという。
iFixItの共同創設者でCEOを務めるカイル・ウィーンズ氏は、「バッテリーがダメになっただけで端末を新しく買い替えなければならない」というこうした流れを批判している。「われわれが、『高い値段で買ったものでも、1~2年も使ったら新品に買い替える』という考え方に洗脳されてしまったのは驚きだ」
現在、第5世代以前のiPodのほとんどは、バッテリーの寿命が切れてもう使えないはずだ。他の部分はきちんと動くにもかかわらずだ。「しかし、人々は見切りをつけて、『新しいモデルがあるから、それを買おう』となってしまう」(ウィーンズ氏)
メーカー純正の交換用バッテリーが市場に出回っていないことが、同氏の大きな不満だ。車はタイヤ交換ができるように、タブレット端末もメンテナンスができなければならないというわけだ。リチウムイオンバッテリーは通常、約300回充電すると摩耗する。毎日充電すれば、1年でバッテリー容量が足りなくなる。
バッテリーがダメになると、充電しながら使うこともできないと、ウィーンズ氏は説明する。「これは問題だ。教科書をiPadに置き換えた学校があるが、こうした学校は大抵、生徒に無償貸与する教科書を7年のサイクルで買い替えていたからだ。これらの学校は、7年目が終わるまでに教科書が使い古されて買い替え時になるのを把握し、対応していく。こうした買い替え費用の節約が、タブレット端末の導入効果としてうたわれているが、タブレット端末は、想定されているよりもはるかに頻繁に交換しなければならないようにみえる」
さらにウィーンズ氏は、政府機関のような大規模組織も、純正の交換用バッテリーが出回っていないことに不満を感じると付け加えた。「こうした組織はタブレット端末を、中期的なサイクルで交換すべき高額製品と位置付ける。だが、交換用バッテリーが手に入らないことから、タブレット端末の交換頻度は多くなってしまう」
これまでのところ、多くのメーカーは、顧客の端末のバッテリーが寿命を迎えたら、端末の買い替えを促す姿勢を示していると、ウィーンズ氏は語った。「タブレット端末は新しく人気があるため、メーカーはノートPCでは決してできなかった殿様商売をしている」
しかし、米Gartnerの消費者向け端末担当リサーチディレクター、バン・ベーカー氏は、バッテリー交換を重視するこうした見解に異議を唱えている。「現在では製品のライフサイクルが短くなっており、全てのメーカーが非常に速いペースで製品を競って投入している。こうした中で端末オーナーは、例えば、3世代前の製品を使っている場合、バッテリーがきちんと動いていても、新しい端末を買うべきか考えるようになっている」
消費者は、新モデルがリリースされるたびにアップグレードしようという気はない。だが、3世代以上前のモデルを使い続けている場合は、進化した機能を目当てにアップグレードするかもしれない。
「肝心なのは、バッテリーではなくマシンの機能だ。携帯電話市場を見ると、製品の寿命は1年半となっている。間違いなくもっと長期間使えるが、人々は買い替える。最新の優れた製品が欲しいからだ。この原動力は市場の一部になっていると思う」と、ベーカー氏は付け加えた。
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