ソーシャルメディアが変えたリクルート活動
集団ダンス「ハーレムシェイク」動画で企業が求人する理由
ソーシャルメディアの利用拡大で企業の採用活動も大きく変化している。ネットで流行している集団ダンス「ハーレムシェイク」を使って求人する企業は何を狙っているのか?
ミスティー・サットン氏は社員リクルートのために勧誘電話をかけるのがかつての日課だった。今はハーレムシェイク(編注)のビデオを作っている。
編注:インターネットで流行している集団ダンス。社員のダンスを撮影してYouTubeなどに投稿する企業も多い
サットン氏は、米国アトランタを拠点にするクラウドサービスブローカーである米Cloud Sherpasのグローバルリクルート部門の責任者。以前は、自分のデスクからリクルートの電話をかけていた。しかし、最近ではアトランタ、ムンバイ、ボストンのチームを対象に、採用候補者に自社の企業文化を紹介するビデオの作成コンテストを企画している。「わが社で楽しく働けることを伝えたい」とサットン氏は話す。「いつも仕事一色というわけではないのだから」
サットン氏が利用したYouTubeなどのソーシャルプラットフォームは求人情報の発信、推薦情報の提供、ブランドの宣伝に大きな変化をもたらした。
ソーシャルリクルートを成功させるには信頼性を備えた専任の求人担当者が戦略を持って始めなくてはならない、というのが専門家たちの意見だ。もっとも会社で楽しく働けることを応募者にアピールすることは害にはならないだろう。
サットン氏も「何よりもまずは戦略を構築することだ」と力説する。「どのチャンネルを使用するか、どういう理由でそれを使用するかを知ることが重要だ。漫然といろんな内容を盛り込み、様子を見るということをしてはいけない」
さらにサットン氏は応募者の層を見極めることの重要性を強調する。求める応募者像が分かれば戦略が決まるのだ。「例えばFacebook上でグローバル展開の次期副社長を見つけようとは思わない。Facebookはそのクラスの求人にふさわしい場所ではないからだ」
「インターネットで一番活発な分野はソーシャルメディアだ」と、米国オクラホマシティーに拠点を置く米Xceptional HRのCEOであるジェシカ・ミラー・メレル氏は言う。多くの人がソーシャルメディアで時間を過ごしているとして「求人担当者は、応募者がいる場に参加すべきだ」と話す。
ソーシャルメディアで人とのつながりを築く
ソーシャルツールを使った人材募集方法を企業に指南する、米Ongigの創業者ジェイソン・ウェブスター氏は、「読んで、参加して、返答する担当者が求人チームには必要」と述べる。
「単にコンテンツをオンラインに掲載するだけだったり、求人情報をツイートするだけでは何の役にも立たない。Facebookにページを持っているだけで変化が起こることはない」(ウェブスター氏)。従業員が参加して、投稿、コメントし、情報を共有する必要があるのだ。「ソーシャルメディアは利用するだけではなく、実際にかかわることが必要だ」と同氏は付け加える。
しかし、ソーシャルメディアも自動化され人間らしさを失うことがある。HootsuiteやTweetdeckのようなツールを使えば、求人担当者は何週間も先の投稿をスケジュールできる。だが、その間に内容が古くなってしまう場合もある。「そうすると応募者は、担当者がきちんと相手をしていないことを悟ってしまう」とサットン氏。「応募者にコンタクトする場合は、反対側に人間がいることを心得ておくべきだ。ソーシャルリクルートは人付き合いであり、人間を扱うビジネスといえる」
ソーシャルリクルート戦略のもう1つの重要な要素は、応募者が繰り返し会社のWebサイトにアクセスしたくなるような仕組みを作ることだ。「Webサイトを第一に考えて、世界の中心にいるつもりで作らなくてはならない」とミラー・メレル氏は話す。
ビデオで企業文化を紹介
ソーシャルリクルートの背後にある考えは、応募者をソーシャルチャンネルで見つけるだけではないと同氏は指摘する。「TwitterやFacebookに求人を投稿して、誰かが見てくれるのを期待するだけではダメだ。企業文化や、会社の実際の仕事を紹介し、会社を知ってもらうことが大切だ」(サットン氏)
サットン氏はその上で「企業文化や実際の仕事を紹介する一番いい方法の1つがビデオだ。ビデオには大きな可能性がある」と語る。ビデオを通じて、若い応募者が会社の楽しい文化を見ることができるし、社内で昇進してきた従業員とのインタビューからはキャリア開発について学ぶことができる。「目で見ることが重要だ。ビデオはもっと人付き合いや交流に利用できる」
同氏はOngigプラットフォームを通じて採用されたある応募者を取材した。応募者は、「ビデオが会社の文化とマネジメントスタイルを理解するのに役立った」と述べた。サットン氏は「彼女は応募する前に、どんな人が会社にいるのかを見ることができたのだ」と振り返った。
ビデオを見た応募者は面接をそつなくこなし、全体的に良い印象を残したと人事担当者はウェブスター氏に語った。「人間は視覚に依存しているし、その傾向は強まっている。SnapchatやVine、Instagramが良い例だ」(ウェブスター氏)
サットン氏がハーレムシェイクのビデオを名案だと思う理由が、これだ。衣装を着た従業員が野性的にダンスを踊るビデオは、会社の企業文化と募集したい人材を明確に示している。
先見の明のあるの人事担当者に必要なものは、多数のソーシャルプラットフォームではなく、堅実なソーシャルメディア戦略である。「最終的には、多くの企業がソーシャルメディア戦略を必要とする」とウェブスター氏は強調する。「競合企業も同じようにソーシャルメディア戦略を立ててくるからだ」
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