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日本企業のIFRS適用が大幅増? 金融庁が方針まとめる
IFRSを任意起用する企業を増やすための方針を金融庁がまとめた。従来の要件を大幅に緩和したり、日本企業が適用しやすいようIFRSを修正するのが柱だ。
IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)適用に関する金融庁の方針がほぼ固まった。「任意適用要件の緩和」と「J-IFRS創設」「単体開示の簡素化」が柱。こうした施策によってIFRS任意適用企業の大幅増加を狙う。金融庁は6月19日にもこれらの内容を含む報告書案を公表する予定だ。
金融庁は6月12日に開催した企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議で「これまでの議論の整理」を公表した。前回の合同会議でも「任意適用要件の緩和」「J-IFRS創設」「単体開示の簡素化」について言及されていたが、さらに踏み込んだ(参考記事:最大で全上場企業のIFRS任意適用が可能に――金融庁が要件緩和を提案)。
未上場でもIFRS適用可能に
任意適用要件の緩和については、「IFRSに基づく適正な財務諸表を作成する意欲と能力がある企業がIFRSを適用できるような制度上の改善を図ることが考えられる」と指摘。その上で企業がIFRSを任意適用できる3つの要件のうち、「上場していること」「国際的な財務活動または事業活動を行っていること」の2つを外すことを提言した。残る要件は「IFRSによる連結財務諸表の適正性確保への取り組み・体制整備をしていること」だけで、実質的に未上場企業を含めて、意欲があり、連結財務諸表を作成していればIFRSを任意適用できるようになる。
委員からはこの案に大きな反対はなかった。日本取引所グループ 取締役兼代表執行役グループCEOの斉藤 惇氏は「IPO(新規株式公開)時点からIFRS適用を希望する企業が最近増えてきた」と話した。同社が1月に上場したことにも触れ、「IFRSを適用したくて仕方なかったが、できなかった」と振り返った。
単体開示は会社法ベースに統一
金融商品取引法に基づく単体開示の簡素化についても大きな反対はなかった。現在は連結財務諸表の開示が重視されていて、金商法の単体開示は不要との声もある。金融庁では単体の本表(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)については会社法の要件に合わせることで簡素化する。注記などについても会社法ベースに統一。「金商法の連結財務諸表において十分な情報が開示されている場合には、金商法の単体ベースの開示を免除することを基本としてはどうか」と提言した。
ただ、連結財務諸表を作成せず、単体開示だけの企業については従来と同じ開示を求める。規制業種など単体開示の有用性が高いとされる企業については別途、監督官庁などと協議し、方針を決める。
不透明なJ-IFRSの行方
流動的なのは、基準内容の一部を除外・修正(カーブアウト)する「エンドースメントIFRS」(J-IFRSなどとも呼ばれる)の行方だ。金融庁は「これまでの議論の整理」で、「IFRS任意適用企業数の増加を図る中で、多くの国々で採用しているエンドースメントプロセスを取り入れることは、非常時の対応などわが国の国益を確保する観点から有用であると考えられるのではないか」と説明した。
また、エンドースメントIFRSについては「ピュアなIFRSと現行日本基準との中間に位置するものである。現行日本基準がこれまでのコンバージェンスの努力によって欧州での同等性評価を得るなど、ピュアなIFRSとの相違点がかなり解消されてきていることを踏まえれば、財務諸表の比較可能性に重大な支障をもたらすものではないと考えられる」とした。
IFRSの個別基準を判断する上では、以下の点を考慮すると説明した。
- 会計基準の考え方
- 実務上の困難さ(作成コストが便益に合わないなど)
- 周辺制度との関連など(各種業規制などに関連して適用が困難または多大なコストを要する)
エンドースメントの方法については、企業会計基準委員会(ASBJ)がIFRSの個別基準を精査し、対応を検討。その結果を金融庁が指定する方法を想定している。
条件付きの賛成
委員からはこのエンドースメントIFRSについて「条件付きの賛成」が多かった。斉藤氏はエンドースメントIFRSについて明確に反対はしないものの、IFRSの任意適用を認めながら、別にカーブアウトしたIFRSを用いる国が少数にとどまることを指摘。「ずっとここにいても国際的な影響力は持てない」と話した。
三菱電機 常任顧問の佐藤行弘氏も「(日本基準、米国基準、ピュアIFRS、エンドースメントIFRSの)4つの基準が併存するのは国際的にはネガティブに受け止められるリスクがある。エンドースメントIFRSを導入するならピュアIFRSは選択できないようにした方がいい」と述べた。日本格付研究所の水口啓子氏は「できるだけ早い段階で、エンドースメントIFRSが日本基準と同一になることを期待している」とした。
対してエンドースメントIFRSを支持する横河電機 顧問の八木和則氏は「若干の方言は入れるとしても、結果的にはピュアIFRSから少し(内容を)引く程度になると思っている。IFRSがこうあってほしいと提案するのがJ-IFRSの姿勢」と説明した(参考記事:IFRS任意適用拡大を目指す経団連、事例集を公表)。金融庁の「これまでの議論の整理」でもエンドースメントIFRSについては「日本が考えるあるべきIFRSを国際的に示すことになる」としている。
また、ASBJ委員長の西川郁生氏はエンドースメントIFRSを実際に開発する場合、「『その他の包括利益』のノンリサイクリングが最初に議論すべき問題」と話した。
金融庁は「これまでの議論の整理」と委員からの意見を基に報告書案を作成し、6月19日に示す方針。7月中には報告書を正式決定する考えだ。
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