2013年はEMC、日立、HP、IBM、NetAppが相次ぎ参入
【製品動向】SSDの弱点を独自技術でカバーするフラッシュストレージ新規参入5社
これまでは米Violin Memoryなど新興ベンダーが中心だったオールフラッシュストレージ市場。2013年になり大手ストレージベンダーが対応製品を発表して市場に参入している。いわば“後発組”となるベンダー5社の製品を紹介する。
フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)を活用するストレージ製品が市場に多く登場している。特に、データの永続的な保存先となるプライマリストレージとして活用する“オールフラッシュアレイストレージ製品”が相次いで発表されている。オールフラッシュストレージのメリットやデメリットを整理しつつ、主要な5製品からオールフラッシュストレージの最新動向を読み解いていこう。
オールフラッシュストレージのメリット/デメリットとは?
サーバ仮想化やVDI(仮想デスクトップインフラ)環境の普及により、ストレージI/Oの処理待ちが発生し、システム性能のボトルネックになるという課題が浮かび上がっている。複数の仮想マシンでストレージを共有することで、ストレージへのランダムアクセスが増え、その処理に時間がかかる。こうした課題を解決する方法として注目を集めているのが、オールフラッシュストレージだ。その特徴は、従来のHDDに比べてデータの読み込み・書き込み処理を高速化できる点である。
とはいえ、オールフラッシュストレージにはデメリットもある。例えば、「書き込み回数の上限」。SLC(シングルレベルセル)であれば10万回程度、eMLC(エンタープライズマルチレベルセル)では3万回程度、MLC(マルチレベルセル)では1万回程度といわれる。また、年々価格は下がってはいるものの、いまだに「HDDとの容量単価の差」がある。さらに、ランダムI/Oのホットスポット(一部のストレージ領域に大量のI/Oアクセスが集中すること)が発生することで「パフォーマンスがスケールしない」点が懸念されている。オールフラッシュストレージ製品を提供する各社は、そうした弱点を独自技術で補う工夫をしている。
EMCジャパン:日本独自の“Flash Everywhere”を掲げる
こうした中、EMCジャパンは2013年11月21日、オールフラッシュアレイストレージ「EMC XtremIO」の国内提供を開始した。EMC XtremIOは、6Uサイズの筺体「X-Brick」の中に、32CPU、512Gバイトのキャッシュメモリを持つコントローラー2台を搭載し、InfiniBandで接続する。ストレージにはeMLCを25基搭載でき、最大物理ストレージ容量は10Tバイト(論理用量は250Tバイト)。最大100万 IOPS(1秒間に処理できるI/O数)の処理性能を実現するという。また、InfiniBandスイッチによってX-Brick同士を接続することで、最大4台まで拡張するクラスタ構成が可能。
データを保存する際にはX-Brickクラスタ内の全てのコントローラーをまたがるグローバルメモリ領域を使用でき、データを分割して全てのコントローラーに均等に格納する。また、キャッシュ上でのメタデータ管理やインライン重複排除などによって、データ保存時の書き込み容量を削減する。さらに、4Kバイト単位のシンプロビジョニングでパフォーマンス低下や余計なオーバーヘッドの発生を防ぎ、従来シンプロビジョニングに必要なガベージコレクションも不要だという。その他、独自のデータ保護技術「XDP(XtemIO Data Protection)」によってRAID 1、RAID 5、RAID 6を組み合わせたデータ保護機能を提供し、X-Brick1台当たり6基の故障を許容できる。
EMCジャパン マーケティング本部 本部長 上原 宏氏は「日本独自の標語“Flash Everywhere”を掲げており、フラッシュ関連の製品ポートフォリオ全体で勝負する」と他社との差別化ポイントを説明する。同社はXtremIOの他にも、サーバ内蔵型ハードウェア「XtremSF」やその専用ソフトウェア「XtremSW」、HDDと組み合わせた自動階層機能を持つハイブリッドアレイ型ストレージ「EMC VMAX」「EMC VNX」「EMC Isilon」などフラッシュ関連の製品ラインアップがある。
また、EMCジャパンは2014年第1四半期に1台当たり20Tバイトの物理容量を持つX-Brickの20Tバイト版をリリースする予定だ。X-Brick(10Tバイト版)の販売価格は、3726万2500円から(税別:導入サービス/保守サポート費を除く)。
日立製作所:ミッドレンジ向け製品ラインアップを拡充
日立製作所も現在、同社独自のフラッシュモジュール「Hitachi Accelerated Flash」(HAF)を搭載するミッドレンジ向けのオールフラッシュストレージ製品を拡充している。2013年7月に中規模システム向けユニファイドストレージ「Hitachi Unified Storage VM」のオールフラッシュ版「Hitachi Unified Storage VM all flash」(以下、HUS VM all flash)を、同11月に同じく中規模システム向けユニファイドストレージ「Hitachi Unified Storage 150」のオールフラッシュ版「Hitachi Unified Storage 150 all flash」(以下、HUS150 all flash)を販売開始した。同社によると、「従来の大規模システムだけではなく、より小規模なシステムにおけるフラッシュ活用によるデータ処理の高速化のニーズが高まってきたことに対応した」という。
HAFは、大規模システム向けディスクアレイ「Hitachi Virtual Storage Platform」(VSP)向け製品として2012年に開発されたコントローラー。現在は、HUS150シリーズ向けの1.6Tバイト型とVSP/HUS VMシリーズ向けの3.2Tバイト型の2種類がある。データ処理高速化ソフトウェア「Flash acceleration」と組み合わせることで、同社のVSPやHUS VMにおける一般的なフラッシュメモリ(800Gバイト SSD)の同等構成で比較した場合、約2倍のデータの読み込み速度を実現するという。また、定期データチェック機能、データ回復機能により信頼性を高めている。HAFの販売価格は、1.6Tバイト型が363万5000円から、3.2Tバイト型が611万5000円から(いずれも税別)。
HUS VM all flashは、HAF5台とFlash accelerationを標準搭載。最大96台のHAFを搭載でき、307.2Tバイトまで容量の拡張が可能。また、データ処理高速化オプション「Flash optimization」と組み合わせることで、最大100万 IOPSのデータ処理速度を実現する。販売価格は、3787万円から(税別:導入サービス/保守サポート費を除く)。
HUS150 all flashはデュアルコントローラー構成で、1.6TバイトのHAF5台やキャッシュメモリ(32Gバイト)、ファイバーチャネル(FC)インタフェース(8ポート)などを標準搭載。最大480台のHAFを搭載でき、768Tバイトまでストレージ容量を拡張可能だ。同社によると、一般的なフラッシュメモリのシステム構成(800Gバイト SSD)と比較して、容量当たりの導入コストを約40%削減できるという。販売価格は、1968万6000円から(税別:導入サービス/保守サポート費を除く)。
日本HP : 3PAR機能を継承しつつ、フラッシュに最適化して一から設計
日立と同月の2013年7月に、大規模システム向けストレージ製品「HP 3PAR StoreServ」(以下、HP 3PAR)の新製品として、オールフラッシュストレージ「HP 3PAR StoreServ 7450」を発表したのが日本ヒューレット・パッカード(HP)だ。
HP 3PAR StoreServ 7450は、3PARの大規模システム向けの高信頼な機能を備えつつ、フラッシュ用途に最適化した技術を搭載する独自のアーキテクチャを持つ(関連記事:専用ASICで高速処理を実現するミッドレンジ向け「HP 3PAR StoreServ 7000」)。また、QoS(Quality of Service)機能を提供するソフトウェア「Priority Optimization」によって、マルチテナントに対応しアプリケーションごとに異なるサービスレベルを制御する。
HP 3PAR StoreServ 7450では、コントローラーのノード数が異なる「2ノードモデル」「4ノードモデル」の2種類を用意。2ノードモデルは、キャッシュ容量が64Gバイト、最大 28万IOPSで1秒当たりの最大スループット量は3000Mバイト。4ノードモデルは、キャッシュ容量が128Gバイト、最大55万4000IOPSで1秒当たりの最大スループット量は6000Mバイト。両モデルとも100Gバイト/200GバイトのSLC、400GバイトのMLCを搭載可能だ。1筺体当たりの最大24基搭載でき、データ容量は96Tバイトから。
HP 3PAR StoreServ 7450の販売価格は2ノードモデルが1340万4000円から、4ノードモデルが2646万8000円から(いずれも税別)。
日本IBM :1Uサイズのオールフラッシュストレージを販売
上記3社に先立つ2013年4月、日本IBMはオールフラッシュストレージ「IBM FlashSystem」を販売開始した。2012年10月に買収した米Texas Memory Systemsの技術をベースにしている。
IBM FlashSystemは1Uの筺体サイズで、エントリモデル2機種「IBM FlashSystem 710」「IBM FlashSystem 810」と、可用性を強化したHAモデル2機種「IBM FlashSystem 720」「IBM FlashSystem 820」が用意されている。IBM FlashSystem 810とIBM FlashSystem 820はeMLCを、IBM FlashSystem 710とIBM FlashSystem 720はSLCを搭載可能。IBM FlashSystem 710が最大5.2Tバイト、IBM FlashSystem 820が最大24.7Tバイトまで容量拡張が可能。その最大IOPSは52万5000(IBM FlashSystem 820の場合)。
日本IBMによると「従来のHDD搭載ストレージと比較して、オンライントランザクション処理(OLTP)時間を90%、バッチ処理時間を85%、エネルギー消費量を80%削減できる」という。また、特許取得済みの「Variable Stripe RAID」技術によって、障害が発生したフラッシュメモリは自動的にRAIDグループから外れ、残りのフラッシュメモリが処理を引き継ぐことも可能。
IBM FlashSystem 710の販売価格は840万9600円から(税別:最小構成の場合)。
ネットアップ:2014年には新しい製品群を提供予定
ネットアップは2013年2月、オールフラッシュストレージ「NetApp EF540フラッシュ アレイ」(以下、NetApp EF540)を販売開始した。
NetApp EF540は2Uの筺体サイズで、キャッシュメモリは24Gバイト、2.5インチ型SSD(800Gバイト)を最大24基搭載可能。物理容量は最大38Tバイト。FCやSAS、iSCSI、InfiniBandなどに対応。同社によると、1万5000rpm(1分間当たりの回転数)のHDD 1000本分以上に相当する30万IOPSを超える性能を持ち、必要なラックスペースや消費電力、冷却コストを最大95%削減できるという。
また、同社の既存ストレージ製品群「Eシリーズ」と同様、ストレージ管理OS「NetApp SANtricity」をベースに開発されており、I/Oパスの自動フェイルオーバー機能を持つデュアルアクティブコントローラーを採用し、RAID 0、1、3、5、6、10をサポートする。さらに、書き込み回数の上限値を監視する機能を搭載。SSDの書き込み回数の閾値に達した場合は、警告メッセージを表示する。NetApp EF540の販売価格は2054万円から(税別)。
ネットアップは、2014年に新しいOSを搭載するオールフラッシュストレージの製品群「FlashRay」を提供することを表明している。
上記で見てきたように、2013年は新興ベンダーがけん引してきたフラッシュストレージ市場に大手ベンダーが相次いで参入している。ストレージの性能要件へのニーズは今後さらに厳しくなることが予想され、2014年以降も同市場はさらに拡大するといえるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー