iTeachersイベント「Teacher's Night」リポート【前編】
iPad授業のプロが選ぶ、学校で使える“神ツール”8選
教育機関への導入が進むiPad。その導入効果を引き出すのがアプリなどのツールだ。iPadの授業利用を進める俊英館の小池氏が推す、iPadの教育利用に役立つツールを紹介する。
iPadを学校などの教育現場で活用する際に役立つアプリケーションやコンテンツ、周辺機器が充実し始めた。プレゼンテーションアプリ「Keynote」を始めとするオフィススイートの「iWork」、コンテンツ作成/編集アプリの「ロイロノート」など、既にiPadを使った教育機関で幅広く利用され、高い評価を持つツールも少なくない。
教育現場へのIT活用を実践する教育者チーム「iTeachers」が2013年12月、大阪・心斎橋のアップルストア心斎橋で開催した教育関係者向けイベント「Teacher's Night」では、iPadを生かした講義を展開する俊英館のマーケティング部長兼教育ICTコンサルタントの小池幸司氏が講演。教育現場で役立つiPad向けの一押しツール8種を解説した。その内容を紹介する。
EZ Cam Lite:iPhoneで撮った写真をiPadへ即転送
| ツール名 | 価格/料金 |
|---|---|
| EZ Cam Lite | 無料 |
iPhoneで撮影した写真をBluetoothや無線LAN経由でiPadへ転送できるアプリが「EZ Cam Lite」だ。俊英館では、例えば小学校5年生向けの国語の授業で、講師が児童の興味深い解答をiPhoneで撮影してiPadへ転送し、その写真をiPadと接続したプロジェクターへ投影してクラス全員で共有する、といった使い方をしているという(写真1)。iPadにもカメラは搭載されているが、iPadとプロジェクターを物理ケーブルで接続しているなどでiPadの移動範囲が制限される場合などにも役立つ。
常用漢字筆順辞典:漢字の筆順練習に最適
漢字学習の一環として、児童や生徒に漢字の書き取りを課す学校は多い。書き終えた漢字の形が正しいかどうかは書き取りノートを見れば確認できるが、筆順まで確認しようとなると、「クラスの全員の筆順を1人ひとり確認するのは非常に困難」だと小池氏は語る。
そこで役に立つのが、筆順を確認できる「常用漢字筆順辞典」だ。筆順を示すガイドに従って漢字を指でなぞることで、筆順を習得できる。ガイドを表示しないテスト機能も用意し、筆順が合っているかどうかを自動認識して採点する。筆順を確認できる漢字は、義務教育で習う常用漢字と人名漢字の一部など計2411字。平仮名や片仮名の筆順も確認可能だ。
NHK for School:使える映像教材を無償で
| ツール名 | 価格/料金 |
|---|---|
| NHK for School | 無料(営利企業の場合は有料) |
iPadを使った学習で効果を発揮するのが、動画である。静止画とテキストの組み合わせではなく、映像や音を組み合わせた動画を活用することで、児童や生徒、学生の理解を深めようと取り組む教育機関は少なくない。
小学校向けや中学校向けの教育番組を閲覧できるのが「NHK for School」だ。NHK for Schoolでは、過去にNHKが放送した学校向け番組を中心とした映像素材を無料で提供する。歴史上の資料など、「他の教材にはない映像も豊富に含まれているのが魅力」だという。
2013年9月から、iPadやiPhoneといったiOS端末でも閲覧可能になった。「単元ごとの短いビデオクリップもあるので、授業でちょっと使ってみるといった用途にも役立つ」と小池氏は評価する。
AC Flip:“付せん”を使って何でも教材に
| ツール名 | 価格/料金 |
|---|---|
| AC Flip | 無料 |
PDFの資料や写真に付せんを貼り付けることができるのが「AC Flip」である(写真2)。一般的なプレゼンテーションツールでもアニメーション機能を利用して付せんの貼り剥がしを再現できるが、貼り剥がしの順番を事前に決めなければならない。一方のAC Flipは、貼り剥がしの順番を自由に決めることができるのが利点だ。教員の端末と児童/生徒の端末を無線LAN経由で接続して画面を同期する機能も備える。
小池氏は、このAC Flipを使って「デジタル教材を簡単に作ることができる」と説明する。例えば、歴史について解説した紙のプリントをカメラで撮影し、人物などの重要なキーワードを付せんで隠せば教材になる、といった具合だ。無料版では資料の数は3つまでといった機能制限があるが、有償版の「Proバージョン」では制限なしで利用できる。
MyScript Calculator:手書きで数式が書ける電卓アプリ
| ツール名 | 価格/料金 |
|---|---|
| MyScript Calculator | 無料 |
自身も数学を教えていた経験がある小池氏だが、「数学でiPadを使った面白い授業をしている事例は多いわけではなかった」と語る。今までは、算数や数学に有効に使えるiPadアプリが限られていたことが、その一因として考えられるという。
だがここに来て、算数や数学で使えそうなアプリが登場し始めた。その一例が電卓アプリの「MyScript Calculator」だ。画面に手書きした数式を自動認識し、計算結果を表示する。単純な四則演算だけではなく、平方根や三角関数、対数を用いた計算も可能だ。「少々汚い字で書いても正しく認識する。使える用途は幅広く、可能性は広がる」と小池氏は語る。
Geometry Pad:グラフを使った授業や教材作成に有効
| ツール名 | 価格/料金 |
|---|---|
| Geometry Pad | 無料 |
算数や数学では、直線や曲線、放物線といったグラフを描く機会が多い。教員にとって、説明のためにこうしたグラフを都度板書するのはそれなりの負担となる。生徒にとっても、板書内容の書き写しに時間がかかるだけでなく、「丁寧にグラフを書き写せたからといって、生徒の成績が上がるわけではない」という課題もある。
こうした課題を解決するのが、簡単な操作で複雑なグラフを描くことができる「Geometry Pad」というアプリだ。1次関数の直線や2次関数の放物線を引いたり、コンパスで線分の垂直二等分線を引いたりすることもできる。グラフごとに色を変えて見やすくすることも可能である。「余分な板書時間を減らしたり、教材作りにも使えたりと幅広く利用できる」と小池氏は評価する。
Livescribe 3 Smartpen:デジタルと紙の情報を関連付ける“スマートペン”
| ツール名 | 価格/料金 |
|---|---|
| Livescribe 3 Smartpen | SoftBank SELECTION オンラインショップ販売価格1万8800円から |
小池氏が「2014年に火が付くのではないか」と注目するのが、“スマートペン”の名を冠したデジタルペン「Livescribe 3 Smartpen」だ。専用ノートに手書きした内容をリアルタイムにiPadやiPhoneへ転送できる。ソフトバンクBBが2013年12月4日に販売開始した。
位置情報を示すドットを施した専用ノートにLivescribe 3 Smartpenを使って手書きすると、その内容をBluetooth経由でiPadやiPhoneへ転送する(写真3)。録音機能も搭載しており、文字を書きながら録音し、ノートに書いた文字と録音内容を関連付けることができる。後からノートの文字をLivescribe 3 Smartpenでタップすると、その文字を書いたときの音声が再生される、といった具合だ。
iPadを導入している教育機関では、iPadと紙を併用し、双方のメリットを組み合わせて授業を展開していることが多い。デジタルと紙の情報を関連付けられるLivescribe 3 Smartpenのようなツールの登場に、「新しく、わくわくする学びの形が生まれるのではないか」と小池氏は期待を込める。
カメラ:シンプルだからこそ用途が広がる
| ツール名 | 価格/料金 |
|---|---|
| カメラ | 無料(標準搭載) |
この他、小池氏があえて一押しアプリとして取り上げたのがiPad標準搭載の「カメラ」だ。スマートデバイスでは既に当たり前になった機能だが、「カメラを使ってできることはたくさんあるはずだ」と小池氏は強調する。
顕微鏡の写真をカメラで撮影して微生物の高精細画像を共有したり、体育の授業で体の動きを動画に撮って確認するなど、シンプルな機能だからこそ、活用できるシーンは幅広い。カメラに限らず、ありふれた機能や意外な機能が学習に役立つ可能性がある。「機能で用途を限定するのではなく、『このアプリを使ってどんなことができるか』を考える視点も大切だ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
iTeachersイベント「Teacher's Night」リポート
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー