個人的なつながりを醸成
どこでもビデオ会議が生み出す、“出張費削減”以上のうれしい効果
手軽に利用できるクラウドベースのビデオ会議サービスが浸透してきている。どこでも使えて視覚的表現も豊かなこのサービスは、企業や従業員に、“出張費の削減”以上の効果をもたらしている。
ビデオ会議が高価なハイエンドのテレプレゼンスルームから解き放たれたおかげで、企業はデスクトップビデオ通話システムや、管理型ビデオサービス、クラウドベースのビデオサービスなど、業務の改善につながる可能性がある各種のビデオ通話製品を検討し始めた。
手軽に利用できるビデオ端末の登場によって、ビデオ会議製品ベンダー各社の願望の実現の妨げとなってきた最後の障害の1つが取り除かれようとしている。その願望とは「ユビキタス(どこでも使える)ビデオ通話」である。企業が各地に支店や営業所を開設する一方で、自宅内や移動中に仕事をする従業員が増えるなど、今日の職場環境が大きく変化していることも、ビデオの活用が業務に浸透する一因となっている。
ユビキタスなビジネスビデオ通話を業務に利用する準備が整っていない企業もあるが、その一方で、広範囲に分散するオフィスや従業員とつながるのに視覚的コミュニケーションツールを利用している企業は増えつつある。クラウドベースのユニファイドコミュニケーションサービスを提供している米Simple Signalのデイブ・ギルバート最高経営責任者(CEO)は「ビデオ技術のおかげで、企業はありとあらゆる場所から優秀な人材を雇い入れることが可能になってきた」と話す。
Simple Signalでは、全米数カ所のオフィスに分散した54人の従業員とビデオ技術を使って接続し、10~15分の朝礼会議を開いている。「従業員が隣のブースにいようと、遠隔地からビデオカメラで接続していようとも、その違いを意識することはなく、同じように会話することが可能だ。ビデオはまさにわれわれを同じ会社の仲間として結び付けた」とギルバート氏は語る。
ビジネスビデオ通話は多くの企業ユーザーにとって比較的新しい技術である。また、自宅でパジャマ姿で仕事をするのに慣れた従業員や、“撮影されたくない”ような状態の家の中で仕事をしている従業員にとっては迷惑な技術かもしれない。
Simple Signalは、従業員をビデオでつなぐことに伴う“人間的要素”を考慮し、より自然な会話ができるように、ビデオ通話中は自分の個性や興味を反映した物を背景に置くことを従業員に勧めている。
「私の場合、サーフボードを背景に置いている。サーフィンが好きで、海岸の近くに住んでいるからだ。おかげで会議の合間も会話が弾む」とギルバート氏は話す。
クラウドベースのコールセンターソフトウェアのプロバイダーである米CorvisaCloudでは、互いに離れた場所にいる従業員が会議中に個人的なつながりを築けるようにするためにビデオ通話を採用した。同社が選んだのは、ハードウェア製品ではなく、オンラインビデオ会議サービスプロバイダーの米Blue Jeansが提供するサービスだ。
「単に声が聞こえるだけでなく、ボディーランゲージが見えるというのは、実際に相手と一緒に仕事をしているという気持ちにさせるものだ」と話すのは、米CorvisaCloudのマーケティング担当副社長、ケイティ・クリーゲル氏だ。「私の上司はフロリダ州タンパにいるが、週に何度か彼と会っている。多いときは1日に数回会うこともある。Blue Jeansのビデオを通じてだ」
社内にビジネスビデオ通話を導入する前、CorvisaCloudの幹部たちは、同社のミルウォーキーとシカゴのオフィスに行き来するのに多くの時間と経費を費やしていた。「ビデオ通話のおかげで出張の必要が少なくなり、経費を節減できたが、それよりも重要なのは、従業員が自宅で過ごす時間が増え、移動する時間が減ったことではないかと思う」とクリーゲル氏は語る。
「ビデオは出張費の削減に大きな効果をもたらしているだけでなく、従業員にとっては家族と一緒に過ごす時間が増え、しかも他の地区の同僚と個人的かつ職業的なつながりを維持できるというメリットが大きい」(同氏)
ユビキタスなビジネスビデオ通話が業務に必要なのか、また自社の社風に合うのかといった問題をまだ検討中の企業も多い。だがその間にも、ハードウェアベンダーとサービスプロバイダーの努力によってビデオ技術は進化を続け、企業にはコスト削減のチャンスが与えられ、従業員にとっては極めて重要なワークライフバランスを改善する斬新な手段が提供されるだろう。
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